第21回参議院議員通常選挙、各党公約チェック――私的メモ



 というわけで、共同通信7/16配信記事「実現目指します! 各党公約」をもとに、あくまで私的かつ恣意的な整理を。べつに、以下の文章を読んで、投票の一助になるとも思えませんが。各項目は、当該記事に沿っています。

年金など社会保障

年金問題のみ 自民 民主 日本 
総花 公明 共産 社民 国民 


 なんやかんや言っても、今回は「年金選挙」になりました。アジェンダ設定に引きずられまい、としたら、より包括的に論を立てねばならず、総花的印象になるのは、仕方ないか。

憲法

 
改憲 自民 国民 
護憲 共産 社民  
論憲 民主 
加憲 公明 日本 


 わはは。あとのふたつがねえ。「加憲」といわずに「修正条項」方式(アメンドメント方式)ってはっきり言わないから、ハナシが混乱するのに。――最低投票率制度についていえば、私見では、「改憲」=現憲法条文の改定を目指すのならば、全有権者の50%ラインを設けるべきで、「加憲」=「修正条項」方式でいくのならば、最低投票率制度は設けるべきではない(設けなくていい、では無く)。後法優位の原則で「修正条項」が優先されるけれども、当該「修正条項」によりなんらかの不都合が生じた場合、さらなる「修正条項」を追加(もしくは改廃)するハードルを無くした方がよい、と考えるからだ。何を「憲法意思」とするのかは、アイディアルな議論より、国民(=国家)レベルでのリスクヘッジについての合意形成が占める側面が、なんやかんや言っても、大きいだろう。その際、日本国憲法本文といういわば“参照枠”を残すことで、「憲法意思」の合意形成において、論議再帰的な視点を確保できると思える。――憲法本文に手を入れるのは、この“参照枠”自体を改変することであり、全有権者の50%以下での「改憲」が、六十年にわたる憲法本文の非改定という事実性(=全国民の消極的支持)に見合うものと思われない。決して大仰な話ではなく、<国家>の“威信”が揺らぐリスクがあり、まあ、それゆえ、あまりドハデな「改憲」が――いや、「改憲」それ自体が先送りになるという可能性は、大でしょう。

格差是正

 
「底上げ」 自民 
積極的格差是正 民主 公明 共産 社民 国民 
消極的格差是正  日本 


 ネオリベvs社民リベラルの様相。いづれにせよ、この国は周回遅れの「第三の道」路線の方向へ向かって行かざるを得ないだろう。この「第三の道」のコンセプトが、冷戦終結という事態を受けた、修正社民主義、いわば左から右方向へ軸をズラした中道主義とでもいうべきものだったのに対して、日本の場合、冷戦終結後に長期不況に突入して、そのままグローバリゼーションに曝されたという事情がある。とはいえども、貿易依存率はまだ一割程度、国内経済の動向が日本経済を支えているのは疑いがない。“右”から、“左”とはいわないまでも、平等主義の方向へ軸を移したのが日本版「第三の道」のコンセプトになりそうだ。

政治とカネ

 
「領収書」問題 自民 民主 公明 国民
企業・団体献金禁止  共産 社民 
政治献金の公表  日本 


 あはは、これに関しちゃ、まあ、イヤミなことを言うよなあ。――いや、誰とは申しておりませんです、ハイ。

外交・安保

 
同盟強化 自民 
国連重視 民主 国民 
反米 共産 
ソフト・パワー 公明 社民 日本 


 これも、きれいに分かれているといえば、いえるんですよ。軍備―ソフト、安保体制―国連体制の二軸でマトリックス拵えれば。

経済対策・税制

サプライ・サイド 自民 日本
ディマンド・サイド 共産 社民 国民 
折衷 民主 公明


 いうまでもなく、サプライ・サイドは生産性向上を、ディマンド・サイドは財政政策と累進課税の強化を謳う。まあ、これは、ちょうどグラデーションを描いておるわな。

総評

自民 いずれにせよ、霞ヶ関からの脱却を 
民主 いずれにせよ、官公労からの脱却を 
公明 どうも、宮台真司のいうところの「頭の良いネオコン」化しているのが気になる 
共産 数字には強いんだけどねえ 
社民 プチ民主? ていうかもはや民主左派の別働隊? 
国民 「積極財政」は綱領なんだろうな 
日本 ポスト「二院クラブ」を目指す?