岡崎琢磨『夏を取り戻す』(東京創元社)レビュー

夏を取り戻す (ミステリ・フロンティア)

夏を取り戻す (ミステリ・フロンティア)



 作者の作品はあまり読んでないけれど、本作は作者のポテンシャルを示し得た、というのとはまた違うニュアンスを感じたのだった。子供のセカイをメインに据えているからか、小説世界の狭さを覚えざるを得ないが、ミステリー的結構は満足するものの、子供たちの成長後へ時軸を移す構成がカタルシスをよぶものとは思われない。成長小説のカンどころをつかみ損ねた印象。