行乞は凝惚

 
 面白かった。金子兜太の文章も平明闊達で読みやすい。行乞の道をひとり、ただひとりで闊歩して、しかし求道的ではない、漂白の境地に、自意識を解体/凝縮させた。そうして、観照の精神をさらに研ぎ澄ます。まさに自由律とは、短詩形式の脱構築そのものだ。