天祢涼『葬式組曲』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ

 「(…)ただ、S県民からすると、人が亡くなったらお葬式をするのが当たり前なんです。直葬で送ったら、故人様への気持ちに区切りがつけられなくなるのではないでしょうか。(…)」(p.7)

葬式組曲 (ミステリー・リーグ)

葬式組曲 (ミステリー・リーグ)



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 快作。ってホメ言葉は、誤解を招く? 少子高齢化の最果ての近未来、「お葬式」文化が政治的に駆逐されようとしているなかで、この伝統を守ろうとする小葬儀社が遭遇する奇妙な四つの事件と一つの結末。ハウダニットホワイダニットが、この連作小説の空間内で、拮抗し交錯する。緻密な結構を持つ小説を、奇妙なかたちに捩じり上げた感触を持つが、ここに持ち重りを感じるかどうかで、好悪の判断は分かれそうだ。