2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

古処誠二『メフェナーボウンのつどう道』(文藝春秋)レビュー

メフェナーボウンのつどう道作者: 古処誠二出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/01メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (23件) を見る 本作が濃密な雰囲気を醸し出しているとしたら、それは、自問自答の切実さが文体に昇華しているから…

管賀江留郎『戦前の少年犯罪』(築地書館)レビュー

戦前の少年犯罪作者: 管賀江留郎出版社/メーカー: 築地書館発売日: 2007/10/30メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 13人 クリック: 310回この商品を含むブログ (102件) を見る すでに各メディアで取り上げられているのだけれども、上っ面だけの紹介で、や…

藤木稟 『バチカン奇跡調査官』(角川書店)レビュー

本日のエピグラフ 痛い腹のさぐり合いは止めましょう。どちらにしても私達や貴方達は、世の法律とはまったく違った価値観をもつ治外法権の住人なのですから。(P317より) バチカン奇跡調査官作者: 藤木稟,THORES柴本出版社/メーカー: 角川書店発売日: 200…

坪内祐三『アメリカ 村上春樹と江藤淳の帰還』(扶桑社)レビュー

アメリカ 村上春樹と江藤淳作者: 坪内祐三出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2007/12/07メディア: ハードカバー購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (25件) を見る サブタイトルに掲げられている二人の文学者は、もののみごとにすれ違った。村上春樹…

倉阪鬼一郎『ブランク――空白に棲むもの』(理論社)レビュー

ブランク―空白に棲むもの (ミステリーYA!)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/12/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (22件) を見る ジュブナイルの枠内で、どこまで自身の芸風を繰り広げられるか、という作者の意識が…

太田忠司『カッサンドラの嘲笑』(実業之日本社)レビュー

カッサンドラの嘲笑 (ジョイ・ノベルス)作者: 太田忠司出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2007/11/20メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (14件) を見る PI小説として、安定した出来栄え。甘栗少年との共演も期待どおりあり、そろそろ…

海堂尊『夢見る黄金地球儀』(東京創元社)レビュー

夢見る黄金地球儀 (ミステリ・フロンティア)作者: 海堂尊出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 42回この商品を含むブログ (78件) を見る んまー、高村薫のデビュー作とは、異次元な世界のお話ですね。当たり前で…

大倉崇裕『オチケン!』(理論社)レビュー

[rakuten:book:12259559:detail] ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル35 青春ミステリ。作者のスラップスティックな面がほど良く出ていて、楽しく読める。愛川晶『道具屋殺人事件』の“趣向”の重層性と…

2007年下半期本格ミステリベスト5

気がつけば、幕の内、成人式を過ぎておったわい。2007年5月〜10月の下半期は上半期の不振を挽回した感あり。読み残しは、おいおいエントリすることにして…………女王国の城 (創元クライム・クラブ)作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/09…

歌野晶午『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』(光文社カッパノベルス)レビュー

舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 (カッパ・ノベルス)作者: 歌野晶午出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/11/20メディア: 新書購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (51件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 …

東野圭吾『ダイイング・アイ』(光文社)レビュー

ダイイング・アイ作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/11/20メディア: 単行本 クリック: 27回この商品を含むブログ (135件) を見る ニューロイック・スリラー。現実と非現実のあわいの扱いの上手いこと。帯のコピーは、完全に空回りです。

岸田るり子『ランボー・クラブ』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「一つの鍵ですべての扉を開けることができるような、マスターキーになるような遺伝子があれば可能ですね。(……)」/(……)/「いえ。幻です。あれは幻だったのです。現にそのような遺伝子は存在しないし、学会で発表されたこともありません。…

皆川博子『倒立する塔の殺人』(理論社)レビュー

倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!)作者: 皆川博子出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 127回この商品を含むブログ (77件) を見る 「倒立」とは、戦前‐戦後の価値観の逆転をあからさまに象徴する。安吾的ニヒリズムと…

我孫子武丸『狩人は都を駆ける』(文藝春秋)レビュー

狩人は都を駆ける作者: 我孫子武丸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/12メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (27件) を見る 軽ハードボイルド。各作ツイストが効いているけれども、個人的には表題作以外がとってもいい。イヌネコをフィ…

芦川澄子『ありふれた死因』(東京創元社)

ありふれた死因作者: 芦川澄子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 心理サスペンスの佳品集として読まれるべきだろう。満足いたしました。特に巻末の「道づれ」がとってもナイス。「女に強くなる…

河野哲也『善悪は実在するか』(講談社選書メチエ)レビュー

善悪は実在するか アフォーダンスの倫理学 (講談社選書メチエ)作者: 河野哲也出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/10/11メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 55回この商品を含むブログ (24件) を見る アフォーダンス理論から敷衍して、「…

伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』(新潮社)レビュー

ゴールデンスランバー作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/11/29メディア: ハードカバー購入: 12人 クリック: 551回この商品を含むブログ (766件) を見る 作者のビブリオグラフィーの中でも、最もサスペンスフル。なのに、いつもの文章技巧…