2011-01-01から1年間の記事一覧

高橋源一郎『恋する原発』(講談社)レビュー

恋する原発作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/18メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (39件) を見る あはは、たぶん燃料棒とファルスを象徴的に同一化させたところが、発想の出発点だと思うぜ。ってことは…

中川恵一『放射線のひみつ』(朝日出版社)レビュー

放射線のひみつ作者: 中川恵一,寄藤文平出版社/メーカー: 朝日出版社発売日: 2011/05/27メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 7人 クリック: 133回この商品を含むブログ (16件) を見る 200ミリシーベルトで、致死性のがんの発生率が1%増えるわけです…

高田純『福島 嘘と真実─東日本放射線衛生調査からの報告』(医療科学社)レビュー

福島 嘘と真実―東日本放射線衛生調査からの報告 (高田純の放射線防護学入門シリーズ)作者: 高田純出版社/メーカー: 医療科学社発売日: 2011/07/29メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 8人 クリック: 123回この商品を含むブログ (7件) を見る 4月9日、10日…

富永國比古『放射性物質から身を守る食事法  いたずらに恐れず、安心して生活するための知恵』(河出書房新社)レビュー

放射性物質から身を守る食事法---いたずらに恐れず、安心して生活するための知恵作者: 富永國比古出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/06/10メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (2件) を見る 放射線は、…

ブログ『福島原発事故に関して』内記事「チェルノブイリ原発事故と福島原発事故の比較に関して」

福島原発事故による放射能危機を煽動するのが、決して正義ではありません。結局、何にもできない状態になって、それによってフクシマは正しくゴーストタウン化してしまう。 このブログ記事は、それらを一刀両断して、悲観的でもなければ楽観的でもない、冷静…

湊かなえ『境遇』(双葉社)レビュー

境遇作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2011/10/05メディア: 単行本 クリック: 38回この商品を含むブログ (34件) を見る ドメスティック・スリラーの書き手として、着実に地歩を固めている作者だが、本作は、運命性と対峙する負荷が呼び込むサス…

深水黎一郎『人間の尊厳と八〇〇メートル』(東京創元社)レビュー

人間の尊厳と八〇〇メートル作者: 深水黎一郎出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2011/09/29メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (13件) を見る 推協賞受賞作の名品である表題作のほか、ミステリアスなものに対する円熟したアプローチを愉…

吉田恭教『変若水』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 「うん……。農地解放のあとも、あの一族に楯突く者はおらんかったよ。米の販売ルートも牛耳られとったけんな。農地解放とは名ばかりで、以前と何ら変わることはなかった」(p.238) 変若水作者: 吉田恭教出版社/メーカー: 光文社発売日: 2011/…

霞流一『スパイダーZ 』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)こんなバカなトリックじゃ、誰も説得できん」/(…)/「ああ、解っているさ。だから、何かマトモな方法を偽装しなきゃな」(pp.194-195) スパイダーZ (講談社ノベルス)作者: 霞流一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/10/06メディア: …

月原渉『世界が終わる灯』(東京創元社)レビュー

世界が終わる灯作者: 月原渉出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2011/09/29メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 受賞第一作は、…

笠井潔『吸血鬼と精神分析』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 脱血死した屍体には相反する二重の意味がある。血が失われた肉(、、、、、、、)に焦点を当てるなら父なる唯一神に通じる意味が浮かんでくる、肉から失われた血(、、、、、、、、)を問題にすれば吸血鬼(ヴァンピール)の存在が。(p.289…

篠田真由美『黄昏に佇む君は』(原書房)レビュー

黄昏に佇む君は (ミステリー・リーグ)作者: 篠田真由美出版社/メーカー: 原書房発売日: 2011/11/01メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (6件) を見る 建築探偵シリーズ大団円『燔祭の丘』はしっかりと持ち重りのある物語でした。私はこのシ…

ワタクシ的「新世紀本格短編オールベスト・ランキング」ベスト5

『2012本格ミステリ・ベスト10』の「アンケート特集!」企画で、上のようなことをやっていたので、ワタクシめも便乗開陳。全部、表題作になってしまったのはご愛嬌。芝浜謎噺 (神田紅梅亭寄席物帳) (創元推理文庫)作者: 愛川晶出版社/メーカー: 東京創元社…

三津田信三『生霊の如き重るもの』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「あいつは日本の各地方に伝わる怪異譚の蒐集を生き甲斐にしている奴で、(…)その話の全てを相手が喋り切ってしまうまで、絶対に諦めずに取り憑き続けるという悪癖を持つ、何とも恐ろしい奴なんだよ」(「顔無の如き攫うもの」p.311) 生霊の…

島田荘司『ゴーグル男の怪』(新潮社)レビュー

ゴーグル男の怪作者: 島田荘司出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/10/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (12件) を見る 『追憶のカシュガル』は、小説の巧さをひたすら堪能したけれども、このひと独自の枯淡の境地とでもいうべき味わ…

歌野晶午『密室殺人ゲーム・マニアックス』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)ゲームにおける真実というのは、現実ではなく、制作者の頭の中に存在するのであり、それを見抜くことがゲームを攻略するということなのだよ、(…)」(p.147) 密室殺人ゲーム・マニアックス (講談社ノベルス)作者: 歌野晶午出版社/メーカ…

薬丸岳『ハードラック』(徳間書店)レビュー

ハードラック作者: 薬丸 岳出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2011/09/28メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (6件) を見る ノンストップで読めるサスペンス。あざとさギリギリだけれども、これでいい。社会派路線もいいけれども、…

伊与原新『プチ・プロフェスール』(角川書店)レビュー

プチ・プロフェスール作者: 伊与原新出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2011/09/09メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (19件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッ…

道尾秀介『水の柩』(講談社)レビュー

水の柩作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/10/27メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログを見る 力作、だと思うけれども。こういう路線だったら、もっと短編で読みたい、と思う。大藪賞の選評で、自分は子供の出てくる小説は苦…

本城雅人『シューメーカーの足音』(幻冬舎)レビュー

シューメーカーの足音作者: 本城雅人出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2011/10/06メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログを見る スポーツミステリの作者が今回挑んだのは、なんとトラディショナルな職人の世界。品位と審美的価値観の支配する英…

山口雅也『狩場最悪の航海記』(文藝春秋)レビュー

狩場(カリヴァ)最悪の航海記作者: 山口雅也出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/09メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る メタフィクションの融通無碍さが、奇想奔放な物語を出来させる。ていうか、あらゆる表象を、メタファ…

芦辺拓『七人の探偵のための事件』(早川書房)レビュー

七人の探偵のための事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)作者: 芦辺 拓出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2011/10/07メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (8件) を見る 探偵小説家というより本格戯作者としての側面が強まってきたような。セル…

岸田るり子『味なしクッキー』(原書房)レビュー

味なしクッキー作者: 岸田るり子出版社/メーカー: 原書房発売日: 2011/10/07メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (7件) を見る 心理サスペンスと本格ミステリ的プロットの重層的な味わいの愉しめる短編集。短編のかたちで、長編のときよりも…

石持浅海『人面屋敷の惨劇』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 十年も待ちこがれていた子供に、再会できたとする。そのときに、子供が喜びのあまり抱きついてくれるという保証はないのだ。(p.142) 人面屋敷の惨劇 (講談社ノベルス)作者: 石持浅海出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/08/04メディア: 新…

歌野晶午『春から夏、やがて冬』(文藝春秋)レビュー

春から夏、やがて冬作者: 歌野晶午出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/10メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (27件) を見る 贈与と救済と暴力の寓話。“贈与”は、基本的には“救済”につながるものとして肯定されるべきことだろう。だが…

倉阪鬼一郎『五色沼黄緑館藍紫館多重殺人』(講談社ノベルス)レビュー

五色沼黄緑館藍紫館多重殺人 (講談社ノベルス)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/09/07メディア: 新書 クリック: 6回この商品を含むブログ (13件) を見る 年に一度のお楽しみ、作者のギミック小説。融通無碍、奇想奔放、変幻自在、豪腕喝…

探聖、堕つ……

推理小説界の最長老、土屋隆夫さん死去 推理小説界の最長老で作家の土屋隆夫(つちや・たかお)さんが14日午前1時35分、心不全のため死去した。94歳だった。告別式は16日午後0時30分、長野県佐久市協和2361の1カームしらかば。喪主は長男、…

西澤保彦『彼女はもういない』(幻冬舎)レビュー

本日のエピグラフ ……こいつの身元についてはいずれ警察が調べてくれることになるはずだから、と。(p.121) 彼女はもういない作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2011/10/06メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (17件) を見る ミ…

今野敏『転迷 隠蔽捜査4』(新潮社)レビュー

転迷―隠蔽捜査〈4〉作者: 今野敏出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (27件) を見る もう、むちゃくちゃ面白いやんか。無骨すぎる主人公が、所轄署と自らに降りかかった難事を差配するのに…

佐々木譲『警官の条件』(新潮社)レビュー

警官の条件作者: 佐々木譲出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (13件) を見る 道警シリーズの『密売人』も、相変わらずのテンポで読ませるけれども、『警官の血』の続編である本作は、力の…