2008-10-01から1ヶ月間の記事一覧

乾くるみ『カラット探偵事務所の事件簿?』(PHP)レビュー

カラット探偵事務所の事件簿 1作者: 乾くるみ出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/09/13メディア: ハードカバー クリック: 4回この商品を含むブログ (36件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション8 トー…

大沢在昌『黒の狩人 上・下』(幻冬舎)レビュー

黒の狩人〈上〉作者: 大沢在昌出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2008/09/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (18件) を見る黒の狩人 下 (2)作者: 大沢在昌出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2008/09メディア: 単行本 クリック: 2回この商品…

倉阪鬼一郎『湘南ランナーズ・ハイ』(出版芸術社)レビュー

湘南ランナーズ・ハイ作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 出版芸術社発売日: 2007/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (9件) を見る 作者のマラソンものの二作目。個人的にこういうお話には、弱いのです。走る、というプリミ…

三木笙子『人魚は空に還る』(東京創元社)レビュー

人魚は空に還る (ミステリ・フロンティア)作者: 三木笙子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2008/08メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (24件) を見る いい雰囲気。筆致が地に足が着いているもので、安心して小説世界に身を委ねられる。…

田中啓文『辛い飴 永見緋太郎の事件簿』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)でたらめ、でたらめ、でたらめだから楽しいんだ。ただ……音楽にさえなってりゃそれでいいんだ。でたらめ万歳だ」(「甘い土」P173より) 辛い飴―永見緋太郎の事件簿 (創元クライム・クラブ)作者: 田中啓文出版社/メーカー: 東京創元…

神曲崩壊…………

「過ち犯した」グリーンスパン氏認める 「マエストロ」の面影なく 10月24日19時35分配信 産経新聞 【ワシントン=渡辺浩生】巧みな金融政策のかじ取りから「マエストロ」(巨匠)の異名をもとったグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)前議長が、低…

新津きよみ『トライアングル』(角川書店)レビュー

トライアングル作者: 新津きよみ出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/09/25メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (25件) を見る 謎の設定の仕方がうまい。回想の殺人と、家庭の悲劇の二大定番テーマを絶妙に組み合わせ…

有栖川有栖『有栖川有栖の鉄道ミステリー旅』(山と渓谷社)レビュー

有栖川有栖の鉄道ミステリー旅作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: 山と溪谷社発売日: 2008/08/25メディア: 大型本この商品を含むブログ (13件) を見る 「乗りテツ」を自認する著者の紀行エッセー集+鉄ミスガイド付。著者の青春時代の回想記にもなっていて、…

北森鴻『虚栄の肖像』(文藝春秋)レビュー

虚栄の肖像作者: 北森鴻出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (7件) を見る 『深淵のガランス』に続くシリーズ第二弾だけれども、ますますハードボイルドに傾斜している。が、ミステリとしての結構…

深水黎一郎『トスカの接吻』(講談社ノベルズ)レビュー

トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ (講談社ノベルス)作者: 深水黎一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/08/07メディア: 新書購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (26件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 …

谺健二『肺魚楼の夜』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)阪神大震災で人生が変わって、それから九年間、被災者のために夢中で走ってきたけど、震災当時は自覚のなかった心の痛みが、ここへ来てボディブローのように効いてきた、とでもいうのですかね。(…)」(P61より) 肺魚楼の夜作者: 谺…

有栖川有栖『火村英生に捧げる犯罪』(文藝春秋)レビュー

火村英生に捧げる犯罪作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/09/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 24回この商品を含むブログ (77件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル…

石持浅海『ガーディアン』(光文社カッパノベルス)レビュー

ガーディアン (カッパ・ノベルス)作者: 石持浅海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/08/21メディア: 新書購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (49件) を見る 同一の設定から、パズルとサバイバル、二つの物語を織り上げた。作者の知的強度を見せ…

不知火京介『ただいま』(光文社)レビュー

ただいま作者: 不知火京介出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/09/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 推理小説年鑑に収録された「あなたに会いたくて」が面白かったので繙いたけれども、総体として、“記憶”を介した人と人との出会いを描…

柄刀一『ペガサスと一角獣薬局』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 「伝説のユニコーンは、人を選んだり、判定を下したりするだろう。(…)でも、このシャルウッドの森のユニコーンは、神様の創造物には違いないけど、たぶん、人と自然のかかわりの間で生まれた生き物なのさ。だから、人を探るような力は持っ…

泡坂妻夫『織姫かえる』(文藝春秋)レビュー

織姫かえる―宝引の辰 捕者帳作者: 泡坂妻夫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/08メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 捕物帳における江戸情緒、というよりも、会話文におけるとぼけ具合、絶妙な間合いの取り方は、余人の…

香納諒一『血の冠』(祥伝社)レビュー

血の冠作者: 香納諒一出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2008/07/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る 今現在、単発でハードボイルド作品書くのも、結構大変なことだと思う。主人公の魂の道程を、ひとつの“物語”の内に封じ込めて訴求力を持…

中島岳志 西部邁『パール判決を問い直す』(講談社現代新書)レビュー

パール判決を問い直す「日本無罪論」の真相 (講談社現代新書)作者: 中島岳志,西部邁出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/07/18メディア: 新書購入: 3人 クリック: 83回この商品を含むブログ (16件) を見る 小林よしのりの中島岳志『パール判事』批判をきっ…

大村友貴美『死墓島の殺人』(角川書店)レビュー

死墓島の殺人作者: 大村友貴美出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/08/29メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (12件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル…

太田忠司『誰が疑問符を付けたか?』(幻冬舎)レビュー

誰が疑問符を付けたか?作者: 太田忠司出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2008/07/01メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37 シリーズ…

二階堂黎人『鬼蟻村マジック』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ 「醸造アルコール入りの安酒なんて、本物の日本酒じゃありませんよ。ちゃんとしたものを、わざわざ純米酒>なんて謳うことの方が変なんです」(P70より) 鬼蟻村マジック (ミステリー・リーグ)作者: 二階堂黎人出版社/メーカー: 原書房発売…

折原一『クラスルーム』(理論社)レビュー

クラスルーム (ミステリーYA!)作者: 折原一出版社/メーカー: 理論社発売日: 2008/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (12件) を見る 作者のもつ毒を、ヤングアダルト世代に触れさせるのは、結構正しいことなのかも。学校という…

湊かなえ『告白』(双葉社)レビュー

告白作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/08/05メディア: 単行本購入: 25人 クリック: 692回この商品を含むブログ (755件) を見る 本年度のピカイチの新人であるという評価は妥当なところ。あざとさから紙一重のところですくっているのは、そ…

恩田陸『不連続の世界』(幻冬舎)レビュー

不連続の世界作者: 恩田陸出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2008/07メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (59件) を見る トラベル・ミステリー? でもなんでも、恩田印の佳品集であることは間違いありません。「悪魔を憐れむ歌」と「砂丘ピク…

根井雅弘『経済学とは何か』(中央公論新社)レビュー

経済学とは何か作者: 根井雅弘出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/07/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (8件) を見る 先日、稲葉振一郎の『経済学という教養』の増補版が出たが(必読よ)、稲葉のいう「貨幣的ケインジアン」の社…