2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

霞流一『フライプレイ!  監棺館殺人事件 』(原書房)レビュー

フライプレイ!: 監棺館殺人事件 (ミステリー・リーグ)作者: 霞流一出版社/メーカー: 原書房発売日: 2014/10/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 探偵小説的スノビズムを突き詰めれば、こんなカタチに帰結するのは、ジャンルの宿命か、この…

柄刀一『密室の神話』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)実際は、身近なたった一人の死のほうが、世界の終わりに近いものをもたらしたりしないだろうか。率直に言って、見知らぬ数千人よりも、一人の死のほうが、その個人にとっての世界を変える。粉砕する。(…)」(p.276) 密室の神話作者: 柄…

中山七里『テミスの剣』(文藝春秋)レビュー

テミスの剣作者: 中山七里出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/10/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 作者の、現実の事件をモデルにしたと思しき物語を読んだとき、その題材を扱う手つきに、正直、違和感を覚えてきた。不謹慎とかいう…

内山純『Bハナブサへようこそ』(東京創元社)レビュー

Bハナブサへようこそ作者: 内山純出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/10/12メディア: 単行本この商品を含むブログを見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 今年の鮎川賞受賞作は、ほとんど…

天祢涼『都知事探偵・漆原翔太郎  セシューズ・ハイ』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)答は簡単。みなさん、基本的にはすべて政治家にお任せだからです。(…)結果、地方自治体の首長は長期政権を実現できるのです。要は、情けない総理を辞めさせようと奮闘する国会議員の方が、みなさんよりはるかに気骨があるわけですよ。…

獅子宮敏彦『アジアン・ミステリー』(南雲堂)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)本格マニアなら、勿論、シャーロック・ホームズは読んでいるんだろう?」/(…)/「全部は読んでいません。有名なものだけです」/(…)/「なにしろ、あの時代のイギリスは苦手でして――」(p.37) アジアン・ミステリー (本格ミステリー・…

若月香『屋上と、犬と、ぼくたちと』 (光文社)レビュー

屋上と、犬と、ぼくたちと作者: 若月香出版社/メーカー: 光文社発売日: 2014/09/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る 福ミス優秀作の二冊目。小説は軽妙な仕上がりで、意表を突く展開も堂に入った感がある。サスペンスの醸…

明利英司『旧校舎は茜色の迷宮』 (講談社ノベルス)レビュー

旧校舎は茜色の迷宮 (講談社ノベルス)作者: 明利英司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/08/07メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見る 今年の福ミス候補作は、受賞作以外はすべて優秀作として世に出ることになったが、その一冊目。青春ミステリ…

植田文博『経眼窩式』(原書房)レビュー

経眼窩式作者: 植田文博出版社/メーカー: 原書房発売日: 2014/05/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 今年の福ミス受賞作は、21世紀本格ならぬ21世紀社会派とでもいうべきか。というより、タイトルの漢字四文字が醸し出すブキミ感を、…

天祢涼『もう教祖しかない! 』(双葉社)レビュー

もう教祖しかない!作者: 天祢涼出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/07/16メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 宗教ビジネスを扱った作品は数多あるけれども、本作はエコノミーの一形態として、それを認めよ、と主張をあからさまに…

長岡弘樹『群青のタンデム』(角川春樹事務所)レビュー

群青のタンデム作者: 長岡弘樹出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2014/09/13メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 警察小説にビルドゥングスロマン的要素を持たせた意欲作。連作として、各話、短編巧者ぶりを見せつけるが、語り口がこ…

2014年10月版

今月はぜんぶハヤミスだ。『プリムローズ』は、いやはや、超ツボですよ。この作者は、時代的に(現在的に)信用できる、とラストまで読んで直観した。『瘢痕』は、オーソドックスなPI小説を愉しめた、ということで。このひとは、職人的作家として期待できそ…