2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

松尾由美『わたしのリミット』(東京創元社)レビュー

わたしのリミット作者: 松尾由美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/09/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 日常の謎系のドラマを、成長小説的範型からややずらしたところに設定する意識が、作者にはあるのだろう。カタルシスは、存在する…

門井慶喜『こちら警視庁美術犯罪捜査班』(光文社)レビュー

こちら警視庁美術犯罪捜査班作者: 門井慶喜出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/10/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 作者のホームグラウンドで、軽快に話が進んでいくので、心地よい。コンゲーム的要素の入っている小説は、…

周木律『双孔堂の殺人 ~Double Torus~ 』(講談社ノベルス)レビュー

双孔堂の殺人 ~Double Torus~ (講談社ノベルス)作者: 周木律出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/07メディア: 新書この商品を含むブログ (11件) を見る 第二作目。なるほど、そうきましたか。特殊構造物にトリックを仕掛けるときの雰囲気作りに、知的装…

丸山天寿『死美女の誘惑 蓮飯店あやかし事件簿 』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「でも、それはどうでも良いことではありませんか。あの方はこの世でも、次の世でも女性の味方のようですから」(「第一話 死美女の誘惑」p.64) 死美女の誘惑 蓮飯店あやかし事件簿 (講談社ノベルス)作者: 丸山天寿出版社/メーカー: 講談社…

嶋戸悠祐『セカンドタウン』(講談社ノベルス)レビュー

セカンドタウン (講談社ノベルス)作者: 嶋戸悠祐出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/08/07メディア: 新書この商品を含むブログを見る 福ミスデビュー後第一作。ホラーと本格ミステリの、作者なりの融合点を探っている。カバー折り返しの作者の言葉を信じる…

吉田恭教『ネメシスの契約』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 「俺は判事なんてまっぴらだな。量刑が重ければ被告に恨まれ、軽ければ被害者側に恨まれる。(…)」(p.129) ネメシスの契約作者: 吉田恭教出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/07/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る ミス…

長沢樹『上石神井さよならレボリューション』(集英社)レビュー

上石神井さよならレボリューション作者: 長沢樹出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/09/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル38 前二作のとは…

島田荘司『星籠の海 上・下』(講談社)レビュー

星籠の海 上作者: 島田荘司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/10/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る星籠の海 下作者: 島田荘司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/10/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る 「御手…

麻耶雄嵩『貴族探偵対女探偵』(集英社)レビュー

本日のエピグラフ 「では、私が依頼すればいいわけか。それなら君の名分もたつしな」/(…)/「どういう意味? あなたは探偵なんでしょ。探偵が探偵に依頼するなんて聞いたことがないわ」(「むべ山風を」p.132) 貴族探偵対女探偵 (貴族探偵)作者: 麻耶雄嵩出…

愛川晶『十一月に死んだ悪魔』(文藝春秋)レビュー

十一月に死んだ悪魔作者: 愛川晶出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/09/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 本格ミステリー風味のサイコ・スリラーの快(?)作。他社で落語ミステリを出しながら、文春ではこういういかがわしいものを刊…

池田久輝『晩夏光』(角川春樹事務所)レビュー

晩夏光作者: 池田久輝出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2013/10/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 今年のニューカマーで評判が良かったようなので、ひもといたけれども、うん、いい感じ。話の進め方が手際よくて、必要以上にねち…

三沢陽一『致死量未満の殺人』(早川書房)レビュー

致死量未満の殺人作者: 三沢陽一出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/10/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション7 トータル39 今年のクリスティー賞は、…

2013年10月版

ディーヴァーの知的アクロバットのショーケース『ポーカー』の私的ベスト3は、「生まれついての悪人」「一事不再理」「36・6度」。ひたすら、おいしいったら、ありゃしない。キングのは、ソフトカバーでよかった。分厚い本で腱鞘炎にならずにすんだ。カ…

市川哲也『名探偵の証明』(東京創元社)レビュー

名探偵の証明作者: 市川哲也出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2013/10/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (16件) を見る 今年の鮎哲賞受賞作を、異色作と見るか、パロディと見るか。もしくは、私立探偵小説とのキメラかも。小説技巧は実際に安定し…

大倉崇裕『問題物件』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 「部屋なぞ、好きなだけ見られるさ。外界と部屋を分けているのは、薄い扉一枚だ。そんなもの、俺が蹴破って……」(「誰もいない部屋」p.273) 問題物件作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/08/13メディア: 単行本(ソフトカ…

古野まほろ『パダム・パダム Eの悲劇'80』(光文社)レビュー

パダム・パダム Eの悲劇'80作者: 古野まほろ出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/06/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 『セーラー服と黙…

東野圭吾『祈りの幕が下りる時』(講談社)レビュー

祈りの幕が下りる時作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/09/13メディア: 単行本この商品を含むブログ (40件) を見る 各紙誌の書評では、松本清張が引き合いに出されているようだ。むべなるかな、と思えど、作者には遊びが許されなくなってき…