2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

大門剛明『レアケース』(PHP研究所)レビュー

レアケース作者: 大門剛明出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2012/08/07メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログを見る 生活保護行政の実態を題材に、「ねずみ小僧」というガジェットを大胆にとり入れた。ミステリ的プロットは、「ねずみ小僧」…

伊岡瞬『桜の咲かない季節』(講談社)レビュー

桜の咲かない季節作者: 伊岡瞬出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/08/21メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 1回この商品を含むブログを見る ミステリーを外したところに、女占い師の霊感を持ってくる。超越性を大胆に物語空間内に導入するけれど…

山口雅也『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)』(早川書房)レビュー

謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル) (ミステリ・ワールド)作者: 山口雅也出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2012/08/24メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (13件) を見る いかにもこの作者らしい凝りようを堪能できる。謎々と書…

本城雅人『球界消滅』(文藝春秋)レビュー

球界消滅作者: 本城雅人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/07メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (3件) を見る さらば、日本野球――ということで、来るべき(?)日本球界のメジャー編入による解体・再編劇を大胆にシュミレートして、大…

佐々木譲『回廊封鎖』(集英社)レビュー

回廊封鎖作者: 佐々木譲出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/08/03メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る 復讐小説として、実行者たちを社会的敗者に設定して、香港から勝者としての資本家がやってくる。物語的訴求性を持たせる…

伊園旬『週末のセッション』(東京創元社)レビュー

週末のセッション (ミステリ・フロンティア)作者: 伊園旬出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/06/28メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログを見る コンゲーム小説とは一線を画した、犯罪喜劇。四人の役者たちの必死さと哀れさを演出するの…

東野圭吾『虚像の道化師 ガリレオ7』(文藝春秋)レビュー

虚像の道化師 ガリレオ 7作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/08/10メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 43回この商品を含むブログ (61件) を見る 風格だね。いささかも気が緩んでいない。後半二編が本格度が高いけれども、二つ目…

麻生荘太郎『少年探偵とドルイッドの密室』(南雲堂) レビュー

少年探偵とドルイッドの密室 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)作者: 麻生荘太郎出版社/メーカー: 南雲堂発売日: 2012/07/30メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログを見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 イ…

竹本健治『かくも水深き不在』(新潮社)レビュー

かくも水深き不在作者: 竹本健治出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログを見る 連城三紀彦の某名短編のテーマを、作者が料理し直してみたら、こんな感じになる。恐怖と狂気の感触を、じわじわ…

津原泰水『猫ノ眼時計 (幽明志怪) 』(筑摩書房)レビュー

猫ノ眼時計 (幽明志怪)作者: 津原泰水出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2012/07/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (12件) を見る んん、シリーズが終わるのか。ひとを食った要素が、前作と比べて大きいような気がする。飄々とした文体…

伊坂幸太郎『夜の国のクーパー』(東京創元社)レビュー

夜の国のクーパー作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/05/30メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (52件) を見る 作者が政治的なるものにアプローチして、だんだんと宮沢賢治に接近しているような。でも、世…

乾くるみ『カラット探偵事務所の事件簿 2 』(PHP文芸文庫) レビュー

カラット探偵事務所の事件簿 2 (PHP文芸文庫)作者: 乾くるみ出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2012/07/17メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (15件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレ…

保科昌彦『名探偵になりたくて (若槻調査事務所の事件ファイル) 』(東京創元社)レビュー

名探偵になりたくて (若槻調査事務所の事件ファイル) (ミステリ・フロンティア)作者: 保科昌彦出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/04/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 二年以上ぶりの続編は、主人公を違えての登場。軽ハードボイ…

2012年8月版

『サファリ』は、南アフリカのミクロコスモスを覗く興味が大だけれども、定石的な展開がダレないのがいい。PR文の強気ぶりがわかる。ローザンのは邦題がいい感じ。得体のしれない敵に振り回されるポジションからの逆襲ぶりにサスペンスの焦点が絞られる。…