2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

青崎有吾『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』(東京創元社)レビュー

風ヶ丘五十円玉祭りの謎作者: 青崎有吾出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/04/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (20件) を見る なんというか、日常の謎系が作者の新境地、という版元のPRの思惑とはウラハラに、まだ若い作者が編集者からプレ…

伊坂幸太郎『首折り男のための協奏曲』(新潮社)レビュー

首折り男のための協奏曲作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/01/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (23件) を見る この作者が、“暴力”なるものに意識を巡らせているのが、痛いほど感得できる短編集だ。作者が、“暴力”という表象を小…

似鳥鶏『迫りくる自分』(光文社)レビュー

迫りくる自分作者: 似鳥鶏出版社/メーカー: 光文社発売日: 2014/02/19メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (7件) を見る ドッペルゲンガー的ホラーと逃走劇の合わせ技で、読者をいつの間にか“あり得ない”方向性へ導くサスペンスフルなプロ…

黒川博行『破門』(KADOKAWA)レビュー

破門 (単行本)作者: 黒川博行出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (22件) を見る 作者の看板シリーズの最新作。痛快ピカレスク小説の王道というか無軌道ぶりを愉しめるけれども、でもやっぱり王道と…

坂木司『僕と先生』(双葉社)レビュー

僕と先生作者: 坂木司出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/02/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る シリーズ前作から七年ぶり。日常の謎系の物語を上手くまとめ上げるのに、ミステリーの構築感をしっかり残すのは、やはりセンスのある人…

薬丸岳『刑事の約束』(講談社)レビュー

刑事の約束作者: 薬丸岳出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/04/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 夏目刑事ものの新作短編集。このシリーズでは、クック的なリリカルな小説世界に傾斜してきたようだ。「無縁」と「終の住処」にそれが顕…

大門剛明『獄の棘』(KADOKAWA)レビュー

獄の棘 (単行本)作者: 大門剛明出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/02/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 刑務所内部という特殊な領域で起こる事件を描いた連作短編集。囚人と刑務官の織り成す小社会の諍いと欺瞞は、しばし外部と…

伊岡瞬『代償 』(KADOKAWA)レビュー

代償 (単行本)作者: 伊岡瞬出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/03/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る モンスター的キャラに罪のない人たちが虐げられる話は、基本的にイヤなのだが、本作は二部構成を採ることにより話のメリハリが…

香納諒一『無縁旅人』(文藝春秋)レビュー

無縁旅人作者: 香納諒一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/03/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 『贄の夜会』から8年ぶりのシリーズ続編ということであれば、帰ってきた、という枕詞を使いたくなるが、本作は前作と違い、正道の社…

長岡弘樹『波形の声』(徳間書店)レビュー

波形の声 (文芸書)作者: 長岡弘樹出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2014/02/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る 昨年一躍ブレイクした作者の最新短編集で、期待にまがうことない粒ぞろいの出来。どの短編もギミック構成だけに担保されぬ…

2014年4月版

ブランドのお化け話は面白かった。変に典雅な思わせぶりと露悪趣味とに一線を画しているのが、最後の意地、というか。『救い』は、痛快というかユカイな部類に入る。七転八倒系のトラブルシューティグものはツボで、浮世の憂さを晴らせるかどうかは、読み手…

月原渉『黒翼鳥  NCIS特別捜査官』(新潮社)レビュー

本日のエピグラフ 任務を終えて帰還すると、彼は英雄になっていた。そうなるよう、命令を下した人間たちが望んでいたからだ。(p.17) 黒翼鳥: NCIS特別捜査官作者: 月原渉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/04/22メディア: 単行本この商品を含むブログ …

「出版か、破滅か」!!

『Wmの憂鬱、隠し球が決めた小保方さんの研究不正確定【日経バイオテクONLINE Vol.2050】』より…… (…) 現在、またも懲りずに理化学研究所の記者会見が開催されている東京両国のファッションタウンの会議室におります。理化学研究所の研究論文の疑義に関す…

若竹七海『暗い越流』(光文社)レビュー

暗い越流作者: 若竹七海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2014/03/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る 作者の久々のお目見えは、昨年の推協賞を受賞した表題作を含む短編集。葉村晶登場のは五編中三編だが、短編集全体として、ただ暗いト…

西澤保彦『探偵が腕貫を外すとき』(実業之日本社)レビュー

探偵が腕貫を外すとき作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2014/03/13メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 シ…

長沢樹『冬空トランス』(KADOKAWA)レビュー

冬空トランス (樋口真由“消失”シリーズ)作者: 長沢樹,青山裕企出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/03/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 …