2009-01-01から1年間の記事一覧

島田荘司・監修 『本格ミステリー・ワールド2010』(南雲堂)レビュー

本格ミステリー・ワールド2010作者: 島田荘司出版社/メーカー: 南雲堂発売日: 2009/12/19メディア: ムック クリック: 43回この商品を含むブログ (7件) を見る いやあ、本書がここまで待ち遠しく思えるとは、思いもよりませんでしたよ。なんだかんだ言っても…

武田一顯『ドキュメント政権交代 自民党崩壊への400日』(河出書房新社)レビュー

ドキュメント政権交代---自民党崩壊への400日作者: 武田一顯出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2009/11/12メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 656回この商品を含むブログ (18件) を見る 時の移ろいやすさを嘆くわけではないものの、こ…

円居挽『丸太町ルヴォワール』(講談社BOX)レビュー

丸太町ルヴォワール (講談社BOX)作者: 円居挽,純出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/11/05メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 155回この商品を含むブログ (48件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 …

伊坂幸太郎『SOSの猿』(中央公論新社)レビュー

SOSの猿作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2009/11/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 154回この商品を含むブログ (162件) を見る 社会システムの内部における疎外と、外部という疎外、それらに対する作者の問題意識が寓話に託され…

道尾秀介『球体の蛇』(角川書店)レビュー

球体の蛇作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/11/19メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 33回この商品を含むブログ (52件) を見る 罪の意識というテーマを、『龍神の雨』よりもさらに深化させた感じ。落ち着…

リック・シェンクマン『アメリカ人は嘆く われわれはどこまでバカか? 』(扶桑社)レビュー

アメリカ人は嘆く われわれはどこまでバカか?作者: リック・シェンクマン出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2009/07/09メディア: 単行本購入: 56人 クリック: 1,211回この商品を含むブログ (6件) を見る 本書を読んでみて一番ショックだったのは、アメリカ人の…

2009年下半期本格ミステリベスト5

今年はやっぱり、下半期2009年5月〜2009年10月に力作が集中しました。年末に向けて、さらにいいものが出てますし。今年はベストテンをくさしましたが、『本ミス』はある程度ナイスな結果が出て満足。こうでなくっちゃ。密室殺人ゲーム2.0 (講談社ノベルス ウ…

青井夏海『シルバー村の恋』(光文社文庫)レビュー

シルバー村の恋 (光文社文庫)作者: 青井夏海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/07/09メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル38 『ジ…

蒼井上鷹『これから自首します 』(祥伝社ノン・ノベル)レビュー

これから自首します (ノン・ノベル)作者: 蒼井上鷹出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2009/05/14メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (14件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39…

蒼井上鷹『最初に探偵が死んだ 』(実業之日本社ジョイ・ノベルス)レビュー

最初に探偵が死んだ (ジョイ・ノベルス)作者: 蒼井上鷹出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2008/11/19メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る 新書ノベルズで意欲作をコンスタントに発表している作者だけれども、個人的には斉藤…

谷原秋桜子『手焼き煎餅の密室』(創元推理文庫)レビュー

手焼き煎餅の密室 (創元推理文庫)作者: 谷原秋桜子,ミギー出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2009/08/30メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (29件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレ…

山下貴光『少年鉄人』(宝島社)レビュー

少年鉄人作者: 山下貴光出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2009/09/10メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (6件) を見る 本編の内容よりも、別のところに関心が行ってしまった。普通、書き手の成長っていうのは、作品ごとに観察されるものだ…

綾辻行人『Another』(角川書店)レビュー

Another作者: 綾辻行人出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/10/30メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 436回この商品を含むブログ (163件) を見る 座敷童子小説、というか『六番目の小夜子』へのオマージュというか。物語の…

佐々木譲『巡査の休日』(角川春樹事務所)レビュー

巡査の休日作者: 佐々木譲出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2009/10/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (10件) を見る 上手いもんですよ、本当に。法と組織の間で“正義”が奈辺にあるのか、という問いが、サスペンスフ…

矢作俊彦 司城志朗『犬なら普通のこと』(早川書房)レビュー

犬なら普通のこと (ハヤカワ・ミステリワールド)作者: 矢作俊彦,司城志朗出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/10/30メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 25回この商品を含むブログ (8件) を見る 欲望の交通路としての沖縄を描ききった。硬質な文体と、ス…

竹本健治『ツグミはツグミの森』(講談社)レビュー

ツグミはツグミの森作者: 竹本健治出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/10/29メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (10件) を見る ああ、『カケス――』と同じかたちのタイトルなので、何かなーと思ったら、そういうことですか。生々…

本年のワタクシめは……

さあ年末ベストテンウィークです。テンが明らかになるまえに、ワタクシめの今年の本ミス読者投票を曝します。だれがトップでもおかしくないぞ、今年は。 2010 1位:『玻璃の家』松本寛大 2位:『秋期限定栗きんとん事件 上・下』米澤穂信 3位:『神国…

似鳥鶏『さよならの次にくる  』(創元推理文庫) レビュー

本日のエピグラフ 「子供、って、そんなに欲しいものですか」/(…)/「いなくてもいいと思う人はいるだろう。だが失っていいと思う人はいない」(P298より) (創元推理文庫)" title="さよならの次にくる (創元推理文庫)">さよならの次にくる (創元推理文庫…

テロルの考現学

北村薫『鷺と雪』が直木賞を結果的に受賞したのは、背景に政治テロを扱っていたからかもしれない。時代の空気を読んだ*1、ってことだけれども、そう思うのは、長山靖生『テロとユートピア』、中島岳志『朝日平吾の鬱屈』と、昭和維新テロに至る精神史とでも…

山口芳宏『妖精島の殺人 上・下』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)でも現在のテクノロジーなら、自分が生きているうちに理想郷をつくることも可能だ。(…)」(上巻 P166より) 妖精島の殺人(上) (講談社ノベルス)作者: 山口芳宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/08メディア: 単行本 クリック:…

東谷暁『エコノミストを格付けする』 (文春新書)レビュー

エコノミストを格付けする (文春新書)作者: 東谷暁出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/09メディア: 新書購入: 3人 クリック: 77回この商品を含むブログ (26件) を見る 帰ってきたエコノミスト閻魔帳企画。今回は、未曾有の繁栄を謳歌していた金融=新自…

原田泰『日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学』(新潮選書)レビュー

新潮選書 日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学作者: 原田泰出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/09/26メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 275回この商品を含むブログ (53件) を見る データも方便、という名言を吐いたのは、パオロ・マ…

犬走文彦『反経済学講座』(新潮社)レビュー

反経済学講座作者: 犬走文彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/08/20メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 読んでる途中で何か似たようなタイトルの本のことがしきりに頭に浮かんできましたが、たぶん気のせいでしょう。金子…

相沢沙呼『午前零時のサンドリヨン』(東京創元社)レビュー

午前零時のサンドリヨン作者: 相沢沙呼出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2009/10/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 173回この商品を含むブログ (73件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トー…

鯨統一郎『空海 七つの奇蹟』(祥伝社ノン・ノベル)レビュー

空海 七つの奇蹟 (ノン・ノベル)作者: 鯨統一郎出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2009/08/29メディア: 新書購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータ…

貫井徳郎『後悔と真実の色』(幻冬舎)レビュー

後悔と真実の色作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (27件) を見る 久しぶりの警察小説は、大満足。それぞれの刑事たちの肖像がくっきりとしているけれども、必要以上にア…

仲正昌樹『なぜ「自由」は不自由なのか 現代のリベラリズム講義』(朝日新聞出版)レビュー

なぜ「自由」は不自由なのか 現代のリベラリズム講義作者: 仲正昌樹出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/08/20メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (5件) を見る 著者の入信時代を綴ったものも刊行されているが、その前に著者の最新…

伊集院光『のはなし に』(宝島社)レビュー

のはなしに作者: 伊集院光出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 162回この商品を含むブログ (103件) を見る 伊集院光の生活と意見ならぬ異見の第二集。読み終わるのが、とっても惜しかったですが、再読再々読に耐…

小島寛之『使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理』(ちくま新書)レビュー

使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理 (ちくま新書)作者: 小島寛之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/10/01メディア: 新書購入: 78人 クリック: 1,969回この商品を含むブログ (40件) を見る 『現代思想』のケインズ特集でのインタビ…

辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』(講談社)レビュー

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 93回この商品を含むブログ (103件) を見る 母と娘の相克という斉藤環的主題を、知ってか知らずか、みごとに具現…