2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

有栖川有栖『赤い月、廃駅の上に』(メディアファクトリー)レビュー

赤い月、廃駅の上に (幽BOOKS)作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2009/02/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (28件) を見る 鉄道絡みの幻想譚ということで、縛りがきついかなと思いきや、さすがベ…

森谷明子『深山に棲む声』(双葉社)レビュー

深山に棲む声作者: 森谷明子出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2009/02/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル36 『七姫幻想』の作者だから、とい…

中村文則 『何もかも憂鬱な夜に 』(集英社)レビュー

何もかも憂鬱な夜に作者: 中村文則出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/03/05メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 15回この商品を含むブログ (18件) を見る 死刑制度がテーマだけれども、性と暴力という作者の関心の延長線上に展開したのは誠実なところ。…

田中秀臣『雇用大崩壊 失業率10%時代の到来』(NHK生活人新書)レビュー

雇用大崩壊―失業率10%時代の到来 (生活人新書)作者: 田中秀臣出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2009/03メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 116回この商品を含むブログ (51件) を見る 私が「ロスジェネ」方面の諸言説に眉をしかめるのは、それら…

青木淳悟『このあいだ東京でね』(新潮社)レビュー

このあいだ東京でね作者: 青木淳悟出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/02/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (38件) を見る “東京”の来歴と差異を探る短編。文学なのか小説なのかどうかわからないけれども、大状況が小状況…

柳広司『虎と月』(理論社)レビュー

虎と月 (ミステリーYA!)作者: 柳広司出版社/メーカー: 理論社発売日: 2009/02/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 20回この商品を含むブログ (34件) を見る 一発ネタ。この題材を堂々とジュブナイルに仕立て上げる手腕はさすがなもの。お子様になんの躊…

河野哲也『暴走する脳科学』(光文社新書)レビュー

暴走する脳科学 (光文社新書)作者: 河野哲也出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/11/14メディア: 新書購入: 7人 クリック: 99回この商品を含むブログ (43件) を見る アフォーダンス理論からのバイオエシックスを追求する倫理学者が、脳科学の万能化に警鐘を…

塔山郁『毒殺魔の教室』(宝島社)レビュー

毒殺魔の教室作者: 塔山郁出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2009/02/06メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (27件) を見る 物語に埋め込まれた大胆な逆説は、オレ的にツボ。内容としては、大賞二作に全然引けを取らないけれども、先行作に類…

柴田よしき『私立探偵・麻生龍太郎』(角川書店)レビュー

私立探偵・麻生龍太郎作者: 柴田よしき,.出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2009/02/28メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (15件) を見る ホモセクシャルの幻想にリアリティを持たせるための作意を、女性性で…

佐々木譲『暴雪圏』(新潮社)レビュー

暴雪圏作者: 佐々木譲出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/02メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (30件) を見る いいですね。パニック小説型の結構を踏まえて、臨場感たっぷりにサスペンスが展開される。道警シリーズは警察官の矜持の追求…

貫井徳郎『乱反射』(朝日新聞出版)レビュー

乱反射作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/02/20メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (43件) を見る 力作、であることは間違いない。問題は物語の落とし所だと思う。具体的には言及しないけれども、作者はこの物語が…

塩川伸明『民族とネイション』(岩波新書)レビュー

民族とネイション―ナショナリズムという難問 (岩波新書)作者: 塩川伸明出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/11/20メディア: 新書購入: 15人 クリック: 94回この商品を含むブログ (60件) を見る 大澤真幸『ナショナリズムの由来』が未だ積ん読状態、いつに…

岩田正美『社会的排除』(有斐閣)レビュー

社会的排除―参加の欠如・不確かな帰属 (有斐閣Insight)作者: 岩田正美出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2008/12/18メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 90回この商品を含むブログ (31件) を見る ヨーロッパ発の社会政策のキー概念を、日本の貧困研究者が、…

吉本隆明『貧困と思想』(青土社)レビュー

貧困と思想作者: 吉本隆明出版社/メーカー: 青土社発売日: 2008/12/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (18件) を見る 先般『心的現象論』の本論を刊行した著者だけれども、あんな大部で高価な本、買えませんです。で、これを代…

谷崎由依『舞い落ちる村』(文藝春秋)レビュー

舞い落ちる村作者: 谷崎由依出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/02メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (18件) を見る 純文学フィールドの有力新人。彼岸と此岸の往還を、自意識と無意識のあわいを見据えながら、繊細に叙述していく。…

一ノ宮美成, グループK21『橋下「大阪改革」の正体』(講談社) レビュー

橋下「大阪改革」の正体作者: 一ノ宮美成,グループ・K21出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/01/21メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 69回この商品を含むブログ (15件) を見る 関西のウラ利権を追及してやまないジャーナリストが、橋下府政のウラの裏を…

太鼓持ちのマーチ

「大辞泉」より アカウンタビリティー【accountability】 1 説明の義務・責任。2 政府や公務員が政策やその執行について国民の納得できるように説明する義務を持つこと。説明責任。3 企業が出資者から委託された資金を適正に運用して保全し、その状況を出…

伊藤計劃『ハーモニー』 (早川書房)レビュー

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12メディア: 単行本購入: 50人 クリック: 931回この商品を含むブログ (329件) を見る 生権力論から筆を起こす、来るべき時代の“歴史の終わり”を描く。再…

東山彰良『ジョニー・ザ・ラビット』(双葉社)レビュー

ジョニー・ザ・ラビット作者: 東山彰良出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/12/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (12件) を見る にんげん、じゃないんだもの。そりゃ不都合もいろいろあろうて。はじめは喜劇、やがて哀しき…