2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

叶紙器『回廊の鬼』(光文社)レビュー

回廊の鬼作者: 叶紙器出版社/メーカー: 光文社発売日: 2014/04/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る 福ミス受賞後第一作。本格ミステリ的な要素と、中盤のパニック型サスペンスの、物語的な整合性が取れているとはいい難い…

貫井徳郎『私に似た人』(朝日新聞出版)レビュー

私に似た人作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/04/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (23件) を見る いわゆるアルカイーダと呼ばれるイスラム過激派テロ組織は、実はCIAが、相互に独立して動いているテロ集団のネットワーク…

湊かなえ『豆の上で眠る』(新潮社)レビュー

豆の上で眠る作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/03/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (20件) を見る 作者自身のドメスティック・スリラーの行き方を、過不足なく示した感じ。このプロットを短編でやれば、ギミックのソリッドさが際…

大屋雄裕『自由か、さもなくば幸福か? 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う』(筑摩選書)レビュー

自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う (筑摩選書)作者: 大屋雄裕出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/03/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (47件) を見る 前作『自由とは何か』から七年、続編ともいうべき著作がやっと…

深水黎一郎『世界で一つだけの殺し方』(南雲堂)レビュー

世界で一つだけの殺し方 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)作者: 深水黎一郎出版社/メーカー: 南雲堂発売日: 2013/12/17メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッシ…

2014年5月版

やっと読めた、じむけりサンの本は、やっぱり面白かったです。サスペンスの醸成の上手さと、それが緊密なプロットに結び付く様の見事さ。原題のニュアンスがいいね。『Q』は、リーダビリティが抜群なので、ポンニチの我々は、とりあえず中世の血生臭い歴史…

大崎梢『忘れ物が届きます』(光文社)レビュー

忘れ物が届きます作者: 大崎梢出版社/メーカー: 光文社発売日: 2014/04/18メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (5件) を見る 作者らしい、たおやかさを満喫するけれども、読了後、急速に印象が薄れた。たぶん、作者が半ば意図的にアクの強…

伊与原新『博物館のファントム 箕作博士のミステリ標本室 』(集英社)レビュー

博物館のファントム 箕作博士のミステリ標本室作者: 伊与原新出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/01/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 宮沢賢治の話が個人的には面白い。一編一編かっちりとまとまった短編集で、純粋な衒学性を可能に…

道尾秀介『貘の檻』(新潮社)レビュー

貘の檻作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/04/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (22件) を見る 作者にとって久々の本格ミステリーということになるのだろうが、むしろ、近年作者が鍛え上げたリリシズムが、サスペンスの器を瑞々しく…

笹本稜平『逆流 越境捜査』(双葉社)レビュー

逆流 越境捜査作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/03/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る シリーズ新作は、物騒な幕開けをするが、あれよあれよという間に、権力者の犯罪醜聞へと、プロットは転がる。濃密な捜査サスペン…