2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

詠坂雄二『乾いた屍体は蛆も湧かない』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ ゾンビはどうなんだろう。/腐りつつあるなら温かいような気もする。温かいなら、なおさら僕と重なるところがあるわけだ。(…)(p.41) 乾いた屍体は蛆も湧かない (講談社ノベルス)作者: 詠坂雄二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/12/07メ…

ほしおさなえ『空き家課まぼろし譚』(講談社ノベルス)レビュー

空き家課まぼろし譚 (講談社ノベルス)作者: ほしおさなえ,くまおり純出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/01/06メディア: 新書購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (9件) を見る ファンタジー要素の挿入の仕方が、ギリギリ宮部みゆきのそれから逃…

孫崎享『日本人のための戦略的思考入門――日米同盟を超えて』(祥伝社新書)

日本人のための戦略的思考入門――日米同盟を超えて(祥伝社新書210)作者: 孫崎 享出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2010/09/01メディア: 新書購入: 5人 クリック: 40回この商品を含むブログ (16件) を見る たとえば日米安保条約には、その第五条に、「日本国…

篠田節子『廃院のミカエル』(集英社)レビュー

廃院のミカエル作者: 篠田節子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/11/26メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る 聖俗を往還する筆致は奔放の感があるけれども、欲望のありようから聖性における超越的なものを照射する視座は、も…

丸山天寿『琅邪の虎』(講談社ノベルス)レビュー

琅邪の虎 (講談社ノベルス)作者: 丸山天寿出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/12/07メディア: 新書 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見る 二作目も快調。因縁譚の印象が強いけれども、ネタの振り方やとぼけたユーモア、クライマックスの大活劇…

植村和秀『昭和の思想』(講談社選書メチエ)

昭和の思想 (講談社選書メチエ)作者: 植村和秀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/11/11メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見る エジプト動乱の最中に、二十世紀的思想の中核をなす「政治的なるもの」…

佐藤亜紀『醜聞の作法』(講談社)レビュー

醜聞の作法 (100周年書き下ろし)作者: 佐藤亜紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/12/21メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 162回この商品を含むブログ (55件) を見る 小説、だと19世紀的になってしまうので、書簡体風にした、というわけでもないんで…

天野節子『烙印』(幻冬舎)レビュー

烙印作者: 天野節子出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2010/12メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (2件) を見る うはは。やっぱり、このひとイイ感じですわ、オレ的には。清張的アプローチの一方で、大風呂敷を広げて畳み上げる手さばきが、…

石崎幸二『記録の中の殺人』(講談社ノベルス)レビュー

記録の中の殺人 (講談社ノベルス)作者: 石崎幸二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/11/03メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログ (13件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル38 …

大倉崇裕『白虹』(PHP)レビュー

白虹作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2010/12メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る 山岳ミステリー、というよりPI小説的味わいがメイン。堅実な筆致と巧緻なプロットで安心して小説世界に身をゆだねられるが…

今野敏『エチュード』(中央公論新社)レビュー

エチュード作者: 今野敏出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/11メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (8件) を見る 中盤の展開が、後期クイーン問題っぽいのが面白い。プロファイリングものに作者独特の人情話的味付けがなされ、職人…