2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

北山猛邦『猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条』(講談社ノベルス)レビュー

猫柳十一弦の失敗 探偵助手五箇条 (講談社ノベルス)作者: 北山猛邦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/01/09メディア: 新書 クリック: 9回この商品を含むブログ (17件) を見る 探偵小説の脱構築を、ギミック重視でも、あまりファース仕立てにせずに、正攻…

河合莞爾『ドラゴンフライ』(角川書店)レビュー

ドラゴンフライ作者: 河合莞爾出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/07/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 横正賞受賞後第一作目は、アイデアの質と量、予断を許さぬプロット展開で、愉しめる。が、小説の結構という点では、惜しいので…

相沢沙呼『マツリカ・マハリタ』(角川書店)レビュー

マツリカ・マハリタ (単行本)作者: 相沢沙呼出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/08/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (15件) を見る シリーズ第二集。主人公のヘタレさ加減に磨きがかかっているのに、日常の謎解きよりも、目がいってしまうのは、…

黒川博行『離れ折紙』(文藝春秋)レビュー

離れ折紙作者: 黒川博行出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/08/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 美術骨董業界のコンゲーム風ピカレスク短編集。作者のもうひとつの太刀筋で、虚飾の生臭さと皮肉な運命の背中合わせで、小説の渋みが…

柳広司『楽園の蝶』(講談社)レビュー

楽園の蝶作者: 柳広司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/06/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 満州・満映を舞台に張り巡らされる陰謀を描いているわりには、恬淡とした印象を抱かせる。作者であれば、もっと時代の空気を濃密に醸し出…

樋口有介『風景を見る犬』(集英社インターナショナル)レビュー

風景を見る犬作者: 樋口有介出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2013/08/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 沖縄に居を移したらしい作者の、原点(数ひねり)回帰の会心作。沖縄の泥臭いミクロコスモスを、青年期のちょいシ…

石持浅海『三階に止まる』(河出書房新社)レビュー

三階に止まる作者: 石持浅海出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/07/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る あはは、いいねえ。作者の独特のロジックの切れを、様々なシチュエーションで試してみたら……という関心で、読み手を引っぱる…

東川篤哉『ライオンの棲む街  平塚おんな探偵の事件簿1』(祥伝社)レビュー

ライオンの棲む街 ~平塚おんな探偵の事件簿1~ (平塚おんな探偵の事件簿 1)作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/08/09メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (10件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレ…

中山七里『七色の毒』(角川書店)レビュー

七色の毒作者: 中山七里出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/07/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 前作の主人公刑事が活躍するシリーズ…

綾辻行人『Another エピソードS』(角川書店)レビュー

Another エピソード S作者: 綾辻行人出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/07/31メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (21件) を見る いかにも、この作者らしいなあ、こういう質感を持った小説を書いてくれるのは、この人しかいないよね、と。ギミ…

真保裕一『正義をふりかざす君へ』(徳間書店)レビュー

正義をふりかざす君へ作者: 真保裕一出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2013/06/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る 一筋縄ではいかない構図のストーリーを得意としてきた作者が、権力悪との対決をストレートに描いた。といっても、プロ…

鳥飼否宇『憑き物』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)イヅナは『障る』動物なんだ。人間にとっては悪い霊だ。キミの言い方に従えば、イヅナはすべて黒イヅナなんだよ。善良な白イヅナなんて存在しない」(「幽き声」p.31) 憑き物 (講談社ノベルス)作者: 鳥飼否宇出版社/メーカー: 講談社発…

2013年8月版

フロストは、初紹介からもう二十年近く。果たして、日本の警察小説は、フロストから何か学んだのだろうかしらん。犯罪喜劇はUKのお家芸っていってもねえ。『ジェイコブ』は、家族小説でここまで「遺伝子」という問題性を劇的に扱ったのも、あまりないだろ…