2007-04-01から1ヶ月間の記事一覧

第60回日本推理作家協会賞に番狂わせあり?

候補作倍率 桜庭一樹 『赤朽葉家の伝説』×2 辻村深月 『ぼくのメジャースプーン』 ×5 樋口有介 『ピース』 ×10 森谷明子 『七姫幻想』×3 柳広司 『トーキョー・プリズン 』 ×4 「長編および連作短編集部門」だけ。『赤朽葉家の伝説』はド本命として、…

太田忠司『落下する花』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ 大切なものですよ。思いというのはどんなものであっても大切です。しかしたったひとつの思いで、そのひとのすべてが語られるわけではない。(「落下する花」P46より) 落下する花―月読作者: 太田忠司出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 200…

新井紀子『生き抜くための数学入門』(理論社)レビュー

生き抜くための数学入門 (よりみちパン!セ)作者: 新井紀子出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/02メディア: 単行本購入: 76人 クリック: 826回この商品を含むブログ (58件) を見る ただダラダラと生きているワタクシめのような“大人”にもわかりやすい数学入…

折原一『タイムカプセル』(理論社)レビュー

タイムカプセル (ミステリーYA!)作者: 折原一出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (29件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル…

山田正紀『雨の恐竜』(理論社)レビュー

雨の恐竜 (ミステリーYA!)作者: 山田正紀出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/03/01メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (44件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション7 トータル36 小説…

上遠野浩平『酸素は鏡に映らない』(講談社)レビュー

酸素は鏡に映らない (ミステリーランド)作者: 上遠野浩平出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/03/30メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 47回この商品を含むブログ (83件) を見る “不気味な泡”のかわりに、元「ヒーロー殿」が、幻の金貨をめぐる争奪戦の渦…

筒井康隆『巨船ベラス・レトラス』(文藝春秋)レビュー

巨船ベラス・レトラス作者: 筒井康隆出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (68件) を見る 狂セリ“日本文学”の末路は如何? 待てば海路の日和がありやなしや、それでも巨船=虚船は航行し…

佐藤友哉『1000の小説とバッグベアード』(新潮社)レビュー

1000の小説とバックベアード作者: 佐藤友哉出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 24回この商品を含むブログ (165件) を見る 「片説家」の役割が、「依頼人を恢復させること」で、「依頼人の精神のため、依頼人の人生…

柴田よしき『回転木馬』(祥伝社)レビュー

回転木馬作者: 柴田よしき出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2007/03/13メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (17件) を見る 松本清張っぽい物語の骨子を女探偵ものに換骨奪胎させた。ミステリーを人生のショーケースとして読ませる作者の筆致…

倉阪鬼一郎『騙し絵の館』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ (前略)ほかの人々はすべて仮面を脱いでしまった。/だが、自分だけは脱ぐことができない。(後略)(P86より) 騙し絵の館 (創元クライム・クラブ)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/03メディア: 単行本 クリック: 7…

松井今朝子『吉原手引草』(幻冬舎)レビュー

吉原手引草作者: 松井今朝子出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 46回この商品を含むブログ (136件) を見る 読書中、なぜか「♪みなとのヨーコ……」という例の歌が鳴り響きっ放しでした。――近世のアジールとして吉原の…

芦辺拓『からくり灯籠 五瓶劇場』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ いや、それとも……「実は虚となり、虚は実となる」あのときの正三との対話のように、彼ら物語作者の筆先から事実が生み出されてしまったのか。(「けいせい伝奇城」P70より) からくり灯篭 五瓶劇場作者: 芦辺拓出版社/メーカー: 原書房発…

新津きよみ『ママの友達』(光文社)レビュー

ママの友達作者: 新津きよみ出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/03/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る 不惑を過ぎた女たちのクロスロード。家父長制廃れども、“家”という存在の回帰は不可避であるなか、いかように自己の尊厳を確保し…

島本理生『大きな熊が来る前に、おやすみ』(新潮社)レビュー

大きな熊が来る前に、おやすみ。作者: 島本理生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 24回この商品を含むブログ (138件) を見る オトコは腕力に物を言わせ、オンナはやっぱ毒殺かあ。レンアイの不吉さを描いて、やや…

東浩紀『ゲーム的リアリズムの誕生』(講談社現代新書)レビュー

ゲーム的リアリズムの誕生~動物化するポストモダン2 (講談社現代新書)作者: 東浩紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/03/16メディア: 新書購入: 34人 クリック: 461回この商品を含むブログ (467件) を見る 久しぶりに粘り強い批評を読んだ気がする。柄谷…

藤野恵美『ハルさん』(東京創元社)レビュー

ハルさん (ミステリ・フロンティア)作者: 藤野恵美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/02/28メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 6回この商品を含むブログ (39件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレ…

長い「さよなら」

『ロング・グッドバイ』読了。当然/物好きにも、『長いお別れ』とチャンポンにして読んだのだけれども、いちいち訳文を比較していない。けれども、浮かび上がってしまう差異はあって、『長いお別れ』がミステリの結構というものを離れて、ある種のセンチメ…

松尾由美『九月の恋と出会うまで』(新潮社)レビュー

九月の恋と出会うまで作者: 松尾由美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/02/21メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (35件) を見る 涙腺の蛇口をゆるませるまでの物語の進ませ方に、間然するところなし。自己の行為がに意味あるものとして…

谷原秋桜子『砂の城の殺人』(創元推理文庫)レビュー

砂の城の殺人 創元推理文庫作者: 谷原秋桜子,ミギー出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/03/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (58件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッショ…

上遠野浩平『しずるさんと無言の姫君たち』(富士見ミステリー文庫)

しずるさんと無言の姫君たち―The Silent Princess In The Unprincipled Tales (富士見ミステリー文庫)作者: 上遠野浩平,椋本夏夜出版社/メーカー: 富士見書房発売日: 2006/12メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 17回この商品を含むブログ (87件) を見る ミス…

高橋源一郎『ニッポンの小説 百年の孤独』(文藝春秋)レビュー

ニッポンの小説―百年の孤独作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 40回この商品を含むブログ (74件) を見る 文豪タカハシさんによるモノローグとしてのニッポンの近代文学百年史。――さて、あなたな…