2022-01-01から1年間の記事一覧

ことわざ寝正月

ことわざ生活あっちこっち2冊セット作者:しゅうご, あかいわ草思社Amazon ヨシタケシンスケの画って、ほんとにいいですよね。カリカチュアされているのに、哀愁がある。だから、シュールなネタの味わいに、深みが増してくるのです。いしいひさいちに匹敵する…

虚無への公文式

子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?作者:おおたとしまさ日経BP社Amazon まあ下らない本に引っかかったもんだよ。内田樹と福岡伸一の文章読んどきゃいいんだけれども。最悪なのは、坂東眞理子。東大に行った理由が「受験勉強なんてばかばかしい」って言…

パンデミックの不分明

パンデミックの文明論 (文春新書)作者:マリ, ヤマザキ,信子, 中野文藝春秋Amazon 2年前、パンデミック進行中の最中に刊行された本ですが、結論から言えば、欧米がいち早く新型コロナを抑え込めたという、いつものオチで、ポンニチのほうはまだずるずる続い…

ワンダーランドに卒アルはない? 

ワンダーランドに卒業はない (こどものみらい叢書)作者:中島 京子世界思想社Amazon これも柚木麻子の本と同じく、ブックガイドの体裁を取り繕った批評集。しかも、対象が児童文学でありながらも、普遍的な視野を確保しているのは、さすが。『秘密の花園』を…

注意毒本

注意読本作者:五味 太郎ブロンズ新社Amazon 大人の読める絵本の典型。いやあ、この本、シリーズ化されてないのかなあ。もっと〇〇に注意って、ネタが続くと思うけれども。これ一冊で打ち止めは、にくらしいダンディズムだなあ、このイケズ~ってな。

名作なんてかわいくない

名作なんか、こわくない (PHP文芸文庫)作者:柚木 麻子PHP研究所Amazon いやあ、柚木麻子のこの批評集(断じてブックガイドなんかではない)面白かったわあ。自分の日常的出来事における披歴を導入とするのは群ようこっぽい仕草だけれども、そこから仏日英米…

ところで焼き鳥にうまいもまずいもあるのか

実話BUNKAタブー 2023年1月号コアマガジンAmazon 今月号のブンタブは、巻頭記事はひろゆきネタで、こんな人間が、おフランスでブルジョワ生活ぶっこいてるのは、本邦の損害賠償制度の欠陥としかいいようもないですね。何のために労役場があるのだろうね。藤…

 目も手も足も口ほどに物をいう

目も手も足もよくしゃべる作者:五味太郎講談社インターナショナルAmazon ははは。よくしゃべるわれらのカラダ。五味太郎のナイスな絵で、カルタをつくりたいね。日本語の慣用句を英語直訳すると、ネイティブじゃなくても、キモい感じがするわね。でも、英語…

一信不乱、一神不乱

砂漠と鼠とあんかけ蕎麦―神さまについての話作者:太郎, 五味,哲雄, 山折アスペクトAmazon 山折哲雄って、ひっかからんのよねえ。日本の宗教民俗学を探ろうとすると、まだまだ柳田国男にあたっちゃうからかなあ。折口信夫もまだアクチュアリティはあるしなあ…

そくらてすのすてらくそ

変てこ小説 ソクラてすのすけ作者:藤谷治河出書房新社Amazon ジュブナイルで、小林信彦のオヨヨ大統領シリーズを想起させる……かな、と思ったけれども、ちょっと違ったかな。筒井康隆っぽくもないけれども、まあメタフィクション要素を取り入れたSF、っぽい…

下り腹のニッポン

下り坂のニッポンの幸福論作者:内田 樹,想田 和弘青幻舎Amazon ああいいな。するする読める。直線的な時間と循環する時間の双方がトレードオフ的な関係性にあるように読めるけれども、これは並行世界的に、双方が存立するものではないかと思う。ふたつの時間…

消しゴムで反抗

消しゴムはんこの世界に浸ってみた。で、やっぱり手先が器用じゃないと愉しめないのじゃないか、その前に下絵を描くセンスも必要じゃないか、と思うわけで、ナンシー関は20世紀末のテレビ業界を消しゴムはんこで彫りつくし語りつくし、どれだけ気力があっ…

近代を生きなきゃだいじょうぶ?

勉強しなければだいじょうぶ改訂版作者:五味 太郎,内海陽子株式会社 集文社Amazon 勉強しなければだいじょうぶ、するのは学習、というお話。近代日本/日本の近代批判なんだけれども、概ね合ってると思うが、基礎学力をどう植え付けるか、というのは、結構厄…

そして保守がいなくなった

自民党の統一教会汚染 追跡3000日作者:鈴木 エイト小学館Amazon まあ何はなくとも、ひたすら読むべし読むべし読むべし、だな。ここに戦後60年の宿痾がある。

志村覇権の大勝負だあ

志村けん 160の言葉作者:志村 けん青志社Amazon この本を今よんだけれども、よかった。志村けんの常識人的なところと、職人気質的なところ、そしてドリフや母へのリスペクト、すべて伝わってくる。加藤茶の序文も泣かせるね。ただ、志村けんの芸人としてのブ…

身体改造で身体快調?

生命倫理のレッスン: 人体改造はどこまで許されるのか? (ちくまQブックス)作者:小林 亜津子筑摩書房Amazon このシリーズは大人も読める。いまのところ、一番面白いのはこの本だな。生命倫理というより、身体改造の倫理学とでもいうべき内容で、美容整形、競…

児童文学始動ふんばる

大人のための児童文学講座作者:ひこ・田中徳間書店Amazon 児童文学のブックガイドとして、頗る面白い。ジュブナイルで批評集出せること自体、新鮮な驚きがある。大人の理想のキャラクターとしての子ども像、ただそれは、理想のおとな像も立ち上げてはなかっ…

セガゲーおじさん

異世界おじさん 第1巻 [Blu-ray] 子安武人 Amazon 今期のものでは、これがいちばん。会話やシークエンス同士をつなぐ間の取り方が完璧で、コンテを相当凝ってつくってるよね。カドカワ資本で作ってる作品のなかでは、最高ケッサクなのではないか。キャストも…

鳴く鳥山を濁さず

なつのやまのとり作者:piro piro piccolo山と渓谷社Amazon まあ、バード様はキャット様同様、いいもんですね。キャット様のほうは、獲物としてバード様をねらっているわけですが、お山の中にはキャット様はいませんもんね。まあ、山に登る気はさらさらないわ…

時代と世情のあいだに

にほんの詩集 中島みゆき詩集作者:中島 みゆき角川春樹事務所Amazon よくぞこういう体裁のものをだしてくれた。中島みゆきの「歌集」なら何冊もあるけれども、「詩集」は珍しい。なんといっても桜木紫乃の巻末解説がいい。いいというか、迫力があるね。そう…

実録・合一強会ってな感じかな

縮図・インコ道理教作者:大西 巨人太田出版Amazon 統一教会カルト騒ぎの折、ふいに読みたくなったのが、コレ。大西巨人は、皇国日本とオウム真理教の相同性を捉えて、前者が後者のテロリズムを死刑で裁断することを、「近親憎悪」とこの本で呼んだが、翻って…

いのちの知

いのちの秘義——レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』の教え作者:若松 英輔亜紀書房Amazon いい本読んだ。いまエコロジカルな批評的感度を探らせたら、著者がいちばんなんだろうな、と思う。生態系のなかの人間のポジションは、まさに「生態系」と…

いいもんであった

であいもん Blu-ray BOX島﨑信長Amazon 今季のアニメでは、なんやかんやいっても、これが一番だったね。和菓子屋に居候している娘とその母親のツーショットは、まあ眼福。ほんとにこんな母娘がファミレスにいたら、店内の視線集めるって、投稿されるって。と…

堪能したら負け

反応したら負け 仕事のストレスを受け流す33のヒント作者:カレー沢薫PHP研究所Amazon まさかこの著者がPHPから本を出していたなんて。というか、PHPがこの著者に連載を依頼していたとは。カイシャという組織のなかの人間関係サバイバルのヒケツは孤立…

しわよせにたりない件

しあわせになりたい研究作者:五味 太郎大和書房Amazon 面白かったね、しあわせになりたい研究。谷川俊太郎だったら、こうはいかないだろうなあ、と思わせるゆるい毒舌っぷりで、笑える。基本的に、フェミニスト的に怒られると思しき剔抉の仕方だけれども(特…

子伯の夏

琥珀の夏作者:辻村 深月文藝春秋Amazon 昨年の評判の作品をたまたま手に取ってみたけれども。新聞小説だから仕方ないのだけれども、まあとにかく長いなあ。この作者、もともと長いもの書くのが得意なのだけれども、読後二百枚くらいの分量の物語を読んだ気に…

慙愧IN選挙

右胸にありがとう そして さようなら: 5度の手術と乳房再建1800日作者:生稲晃子光文社Amazon こういう体験をしているひとが、自民党の改憲要員にされちゃうんだもの。なんかもう、すべてあきれちゃうよね。立候補者アンケートにほとんど無回答で話題になっち…

傘の詩を聴け

テロリストのパラソル (角川文庫)作者:藤原 伊織角川書店Amazon 重信房子祭りに感化されたのかもしれないけれども、テロパラまだ未読だったなあ、と思い出し、なんとなく手に取ってみた。感想は乱歩賞はわかるが、なんで直木賞まで、と。まあ90年代半ばく…

モテる鴨、しらない?

モテるかもしれない。作者:カレー沢 薫新潮社Amazon モテって何と問われたら、他者の欲望に迎合することなんじゃ、と思うのね。他者の欲望に切り刻まれることを快感に思えるようにならんと、他者の欲望の対象としての座に汲々としないと思うのだわ。だから、…

子ども偽者叢談室

はい! こちら子ども記者相談室デス!作者:かめおか子ども新聞新潮社Amazon おもろいおもろい。一番オモローなのは、ヨシタケシンスケのイラストでのツッコミですね。こどものフリしたオトナの回答なんて、さぶいわな。なんかこのフォーマット、相談に対する回…