2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

高橋克彦『完四郎広目手控 文明怪化』(集英社)レビュー

本日のエピグラフ 今の日本はこの前見た幻燈の絵のようなもの。(中略)中が空洞であっても、腐っていたとしても見た目には分からない。それを切って中身を見せてこそ幻燈の国ではなくなる。(「第十二話 幻燈国家」P311より) 文明怪化―完四郎広目手控作者:…

道尾秀介『ソロモンの犬』(文藝春秋)レビュー

ソロモンの犬作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/08/01メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (87件) を見る ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル37 青春ミステリと…

愛川晶『道具屋殺人事件』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ (前略)編集の妙とでもいうのかなあ、必要に応じて、長い噺をはしょることもできるし、短い噺をめんだい(、、、、)にもできる。(「勘定板の亀吉」P294より) 道具屋殺人事件──神田紅梅亭寄席物帳 [ミステリー・リーグ]作者: 愛川晶,解…

北村薫『1950年のバックトス』(新潮社)レビュー

1950年のバックトス作者: 北村薫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 28回この商品を含むブログ (48件) を見る 短編&掌編小説集。「秋」や「手を冷やす」は、掌編というより、ほとんど散文詩の域に達している。“日…

飯尾潤『日本の統治構造』(中公新書)レビュー

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)作者: 飯尾潤出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/07/01メディア: 新書購入: 15人 クリック: 202回この商品を含むブログ (148件) を見る 日本政治の流動化は避けられない状況下であればこそ、い…

曽根圭介『沈底魚』(講談社)レビュー

沈底魚作者: 曽根圭介出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/08/10メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (24件) を見る 時局柄、あてこすりや皮肉などは、味わいが出てる出てる。事件の構図は、シンプルに収斂するけれども、そこが物足りない…

秋梨惟喬『もろこし銀侠伝』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「(前略)“勢”は見えてきた。あとは細かい部分の辻褄が合えばいいんだ」(P244より) もろこし銀侠伝 (ミステリ・フロンティア)作者: 秋梨惟喬出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/08メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブ…

石崎幸二『首鳴き鬼の島』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 親子鑑定の場合、絶対違う、と判断するほうが簡単です。ひとつでも違えば親子ではないわけですから。(P158〜159より) 首鳴き鬼の島 (ミステリ・フロンティア)作者: 石崎幸二出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/08メディア: 単…

米澤穂信『インシテミル』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ 「(前略)このをデザインしたやつ、です。そこの人間は、少なくとも空気の読めないミステリ読みです」(P379より) インシテミル作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/08メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 598回この商…

上杉隆『官邸崩壊』(新潮社)レビュー

官邸崩壊 安倍政権迷走の一年作者: 上杉隆出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/08/23メディア: ハードカバー購入: 9人 クリック: 202回この商品を含むブログ (105件) を見る ちゅうことで、『官邸崩壊』刊行直後に、政権崩壊してしまったワケです。南無阿弥…

伊藤計劃 『虐殺器官』(早川書房)レビュー

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)作者: 伊藤計劃出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 26人 クリック: 817回この商品を含むブログ (326件) を見る “戦争器械”でなくて、「虐殺器官」なのね。対テロ体制下で、殺戮地…

深谷忠記『傷』(徳間書店)レビュー

本日のエピグラフ いずれにせよ、それは他人に負わされた傷ではない。(中略)責任は自分にある。だから、辛くても苦しくても自分でその痛みを引き受けて生きていかなければならない。(P329より) 傷作者: 深谷忠記出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2007/0…

柴田よしき『朝顔はまだ咲かない』(東京創元社)レビュー

朝顔はまだ咲かない―小夏と秋の絵日記作者: 柴田よしき出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/08メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (27件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 ト…

平川克美『株式会社という病』(NTT出版)レビュー

株式会社という病 (NTT出版ライブラリーレゾナント)作者: 平川克美出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2007/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブログ (23件) を見る 株式会社批判といえば、本文中にも言及がある奥村宏の一連の著作を…

柄刀一『密室キングダム』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ (前略)犯罪や事件に直面して人間が取る自然な行動が、ほとんど常に(中略)利用されているような気がする。(P698より) 密室キングダム作者: 柄刀一出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/07メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含む…

川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)レビュー

わたくし率 イン 歯ー、または世界作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/07/26メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 158回この商品を含むブログ (174件) を見る わわわ、まさかこんなカタチで、西田幾多郎的主題にアプローチするなんて。“於…

青木知己『偽りの学舎』(小学館)レビュー

偽りの学舎 (小学館ミステリー21)作者: 青木知己出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/06/30メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37…

「城内平和」の行方

バージョンアップした『CRITICA vol.2』。やっぱり目玉は千街晶之の全方位型リアルバウト「崩壊後の風景をめぐる四つの断章」でしょうね。二階堂黎人、つづみ綾の両氏のみならず反対側にいる人間にまで批判の矛先は向くのだけれども、誰彼かまわず喧…

青井夏海『雲の上の青い空』(PHP)レビュー

雲の上の青い空作者: 青井夏海出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2007/07/24メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル37 本作と同じ、…

久綱さざれ『神話の島』(東京創元社)レビュー

[rakuten:book:12083185:detail] 極限状況下のサスペンスとして、申し分のない出来。遠くは日本神話の伝説と、近くは旧日本軍とマラリヤの記憶が、乱反射しながら回帰する。一気読みで、手に汗握りましょう。

鯨統一郎『ルビアンの秘密』(理論社)レビュー

ルビアンの秘密 (ミステリーya!) [ 鯨統一郎 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 絵本・児童書・図鑑 > 児童書 > 児童書(日本)ショップ: 楽天ブックス価格: 1,512円 ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トー…