2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

奥田英朗『沈黙の町で』(朝日新聞出版)レビュー

沈黙の町で作者: 奥田英朗出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2013/02/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (16件) を見る 「いじめ」事件をめぐる群像劇だが、事件関係者の様々な視点から描くのに並行して、当事者の中学生たちをクローズアップして…

安萬純一『ポケットに地球儀  探偵作家アマンと謎の密室魔』(創元推理文庫)レビュー

ポケットに地球儀 (探偵作家アマンと謎の密室魔) (創元推理文庫)作者: 安萬純一出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/12/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 個人的にはとってもいいのですけれどもねえ。マジメなひとも不マジメなひとも…

藤田宜永『探偵・竹花 孤独の絆』(文藝春秋)レビュー

探偵・竹花 孤独の絆作者: 藤田宜永出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/02メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 短編集。還暦といえども、オールド・ディックと呼ぶにはまだ枯れる境地には達していない、現役のP I が、大東京を駆けてい…

天祢涼『セシューズ・ハイ 議員探偵・漆原翔太郎』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)かくして子ども達は政治家を避け楽にほめてもらえる職業を選び、政治の空洞化が進んでいくのです。/そこで出番となるのが、僕ら世襲議員です。/(…)云ってみれば僕ら世襲議員は『政治家』という職業を守る、最後の砦なのです。(…)」(…

道尾秀介『笑うハーレキン』(中央公論新社)レビュー

笑うハーレキン作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/01/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る ある種の屈託を、ホームレスという存在に仮託したが、いやらしさを感じさせずに、人生の袋小路と…

江國香織『ちょうちんそで』(新潮社)レビュー

ちょうちんそで作者: 江國香織出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/01/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (19件) を見る 居心地がよく、しかし張り詰めた空気に満たされる小説世界を、作意を感じさせずに現前させてしまう技量には、脱…

真保裕一『ローカル線で行こう!』(講談社)レビュー

ローカル線で行こう!作者: 真保裕一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/02/13メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (19件) を見る 前作『デパートへ行こう!』よりも、こっちの方がいい感じ。波瀾万丈系起死回生ストーリーの王道を行って…

太田忠司『セクメト』(中央公論新社)レビュー

セクメト作者: 太田忠司出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/01/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 別に正攻法の刑事小説を書いてもおかしくはない作者だけに、この展開は思わず目を見張りました。大胆な設定でも、うまく消化でき…

乾ルカ『たったひとり』(文藝春秋)レビュー

たったひとり作者: 乾ルカ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る イヤミス的展開のホラーかと思えば、一筋縄ではいかない。時間の牢獄に閉じ込められた学生たちの、歪んだ内面を彫琢する手付きの冴え…

香納諒一『幸 SACHI』(角川春樹事務所)レビュー

幸SACHI作者: 香納諒一出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2013/01/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る タイトルに訴求性があるのかどうか分からないけれども、作者の近年のベスト作品であることは確か。意表…

湊かなえ『望郷』(文藝春秋)レビュー

望郷作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/01/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (16件) を見る 推協賞受賞作「海の星」を収録したシリーズ短編集。受賞作収録の短編集は、併録している作品が小粒な出来だと見劣りして…

2013年2月版

『ケンブリッジ・シックス』は、イギリスの諜報戦のトラウマが、国際政治上の外敵の形象と直結しているということが分かり、面白い。サスペンスも途切れることはなく、大満足。『六人目の少女』は、やや中だるみの感があるけれども、ギミック重視の作風はな…