2008-01-01から1年間の記事一覧

このキナ臭い世界でオバマさんの行方を占うために……よいお年を

イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1作者: ジョン・J・ミアシャイマー,スティーヴン・M・ウォルト,副島隆彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/09/05メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 79回この商品を含むブログ (23件) を見るイスラエル・ロビー…

2008年下半期本格ミステリベスト5

お正月前に下半期2008年5月〜10月のベストを。後半に入ってやや失速した感が否めず。本格シーンは、世界恐慌に巻き込まれないでくれよお。ペガサスと一角獣薬局作者: 柄刀一出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/08/21メディア: 単行本 クリック: 14回この商…

西澤保彦『スナッチ』(光文社)レビュー

スナッチ作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/10/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (31件) を見る 「盗まれた」のは街ではなく、人格の方。寄生物ものを、記憶喪失テーマに接近させてみたワケで、設定を小説と…

内田樹『昭和のエートス』(バジリコ)レビュー

昭和のエートス作者: 内田樹出版社/メーカー: バジリコ発売日: 2008/11/21メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 20回この商品を含むブログ (21件) を見る 今回のはブログ本でなく、各紙誌に発表されたエッセーを集めたもの(でも、ブログのエントリーと重複し…

田中慎弥『神様のいない日本シリーズ』(文藝春秋)レビュー

神様のいない日本シリーズ作者: 田中慎弥出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/11メディア: 単行本 クリック: 43回この商品を含むブログ (18件) を見る 「図書準備室」と同様、モノローグとしての“語り”をフィーチャーしたもの。聞かせる相手に逃げられた…

柄刀一『紳士ならざる者の心理学』(祥伝社ノン・ノベル)レビュー

本日のエピグラフ ――助からないと絶望した後、自分なら冷静に知恵を絞ったりできるだろうか。(「第4話 見られていた密室」P241より) [rakuten:book:12525301:detail] ミステリアス10 アクロバット10 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション9…

村田沙耶香『ギンイロノウタ』(新潮社)レビュー

ギンイロノウタ作者: 村田沙耶香出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/10メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (21件) を見る フロイト的象徴がさほど変奏されずに挿入されているのは、ファルスをめぐる主題を際立たせるためか。世界を切り…

桜庭一樹『ファミリー・ポートレイト』(講談社)レビュー

ファミリーポートレイト作者: 桜庭一樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/11/21メディア: 単行本 クリック: 24回この商品を含むブログ (140件) を見る ビルドゥングスロマンとしては、むしろまっとうな部類に入るのかも。親殺しが不可能であるってことは…

七河迦南『七つの海を照らす星』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「海王さんはね、よく『真実っていうのは人を幸せにするものだ』って言うの。『真実と事実は違う』とも。(…)」(「第六話 暗闇の天使」P253より) 七つの海を照らす星作者: 七河迦南出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2008/10メディア:…

福田和代『TOKYO BLACKOUT』(東京創元社)

TOKYO BLACKOUT (Tokyo Sogensha mystery frontie)作者: 福田和代出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2008/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (35件) を見る 読む前は、初期の高村薫か篠田節子か、いったいどっちかなー、と…

芦辺拓『彼女らは雪の迷宮に』(祥伝社)レビュー

彼女らは雪の迷宮に作者: 芦辺拓出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2008/10/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37 変格的な雪の山荘モノ。大胆…

ティム・ワイナー『CIA秘録 上・下』(文藝春秋)レビュー

CIA秘録上作者: ティム・ワイナー出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/11/12メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 108回この商品を含むブログ (37件) を見るCIA秘録 下作者: ティム・ワイナー出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/11/12メディア: 単行…

“尊厳”社会の行方

大澤真幸プロデュース『アキハバラ発』は、なんというか、多面的なアプローチというよりかは、個々人言いっぱなし状態という感が無きにしもあらず、なんですが、まあ、秋葉原事件という枠組みをとっぱらって、別々のエッセーとして読めば、充実したものであ…

ロー・ダニエル『竹島密約』(草思社)レビュー

竹島密約作者: ローダニエル,Roh Daniel出版社/メーカー: 草思社発売日: 2008/10/01メディア: 単行本 クリック: 47回この商品を含むブログ (8件) を見る 「解決せざるをもって、解決したとみなす」。日韓国交正常化の五ヶ月前、竹島=独島問題が、「無任所大…

2008ベストテン始末記

いやー。某巨大匿名掲示板のガセネタにはふりまわされましたねえ。へえ、今年はこんなかあ、と思いきや、いざ現物を手に取ってみると、まるで違うやんけ(笑)。まあ、そんなことも含めて、年に一度のお祭り騒ぎです。下馬評どおりの作品が上位を占めるなか、…

笠井潔『青銅の悲劇 瀕死の王』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ 「一九七〇年代以降の伝奇小説は、天皇を最大の適役に祭りあげることで物語的な力を得てきた。(…)だから天皇の病状が気になるんだ」(P233より) 青銅の悲劇 瀕死の王作者: 笠井潔出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/07/25メディア: 単…

本格ミステリベスト10「MY BEST RANKING」投票のワタクシめのコメント

というわけで、年末各ベストテンが出そろいましたね。そっちのネタの前に、昨年と今年の本ミスのネット投票の内容を公開します。やっぱり、ベストテンなんかの投票内容は、きちんと曝しておかないと、なんか闇討ちしたみたいで、いやだし。昨年のネット投票…

多島斗志之『黒百合』(東京創元社)レビュー

黒百合作者: 多島斗志之出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2008/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (62件) を見る ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル38 まあ。なん…

連城三紀彦『造花の蜜』(角川春樹事務所)レビュー

本日のエピグラフ 「まだ有名じゃないけど、前に一度、意外なドンデン返しで二着に入ったことがある。いつもドラマチックに面白く見せてくれる私のお気に入り」(P298より) 造花の蜜作者: 連城三紀彦出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2008/11メデ…

真藤順丈『庵堂三兄弟の聖職』(角川書店)レビュー

庵堂三兄弟の聖職作者: 真藤順丈出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/10/24メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (47件) を見る このミスが平山夢明を首位に挙げた甲斐はあったなあ、みたいな。作者が影響うけているの…

小島正樹『十三回忌』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ それにしてもあのようなことが起きるとは思わなかった。邪悪な神が現出せしめた、あれは冷ややかな奇跡だったのだろうか。(P49より) 十三回忌 (ミステリー・リーグ)作者: 小島正樹出版社/メーカー: 原書房発売日: 2008/10/10メディア: …

佐藤卓己『輿論と世論 日本的民意の系譜学』(新潮選書)レビュー

本日のエピグラフ 格差社会が進み、「想像の共同体」が危機に瀕してい二十一世紀の日本において、世論調査はこれからも同質性と均質性を再生産し続けることができるのだろうか。(P99より) 輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)作者: 佐藤卓己出版…

倉阪鬼一郎『紙の碑に泪を』(講談社ノベルス) レビュー

紙の碑に泪を (講談社ノベルス)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/09/05メディア: 新書 クリック: 10回この商品を含むブログ (22件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37…

初野晴『退出ゲーム』(角川書店)レビュー

退出ゲーム作者: 初野晴出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/10/30メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 37回この商品を含むブログ (112件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 ト…

笹本稜平『素行調査官』(光文社)レビュー

素行調査官作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/10/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見る 警察内部のアウトロー的ポジションを与えられたものたちの活躍を描くという点で、昨年の『越境捜査』のスタ…

海野碧『真夜中のフーガ』(光文社)レビュー

真夜中のフーガ作者: 海野碧出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 饒舌を恐れることなしに紡ぎ出される文章は、その実テンポよく、すぐに小説世界に引き込まれる。レトリシズムにもっと傾注すれば、…

伊坂幸太郎『モダンタイムス』(講談社)レビュー

モダンタイムス (Morning NOVELS)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/10/15メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 134回この商品を含むブログ (320件) を見る 我らがイサカ、“システム”とたたかう! というよりかは、このひとがミステリか…

大倉崇裕『生還  山岳捜査官・釜谷亮二』(山と溪谷社)

生還 山岳捜査官・釜谷亮二作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 山と溪谷社発売日: 2008/08/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る いかにもってな感じの山岳ミステリで、満足。シチュエーションと謎解きの要素の絡まり具合の妙が愉しめる前半二…

鈴木謙介『サブカル・ニッポンの新自由主義』(ちくま新書)レビュー

サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書)作者: 鈴木謙介出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/10メディア: 新書購入: 11人 クリック: 185回この商品を含むブログ (99件) を見る 今、時代のモードは紛れもなく新自由主義批…

パオロ・マッツァリーノ『ほろ苦教育劇場 コドモダマシ』(春秋社)レビュー

コドモダマシ―ほろ苦教育劇場作者: パオロマッツァリーノ,Paolo Mazzarino出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2008/09/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 25回この商品を含むブログ (33件) を見る 「数々の矛盾を抱えながら、答のない世界で生き延びること…