2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

門井慶喜『血統(ペディグリー)』(文藝春秋)レビュー

血統(ペディグリー)作者: 門井慶喜出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/06/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 物語の設定の妙味。テーマは題名に刻印されている通りだけれども、それにしても、日本画家の末裔とアングラ…

幕内秀夫『子どもが野菜嫌いで何が悪い! 』 (バジリコ)レビュー

子どもが野菜嫌いで何が悪い!作者: 幕内秀夫出版社/メーカー: バジリコ発売日: 2010/03/19メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 41回この商品を含むブログ (4件) を見る いいですね、100%の反栄養学。基本的に支持します。子どもが野菜…

伯方雪日『死闘館  我が血を嗣ぐもの』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)そのマナを持つに値しない人の体に流れこんだマナは、その人を傷つけ、殺すことにもなるだろう」(P118より) 死闘館 (我が血を嗣ぐもの) (ミステリ・フロンティア)作者: 伯方雪日出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/06/29メ…

乾くるみ『スリープ』(角川春樹事務所)レビュー

スリープ作者: 乾くるみ出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2010/07/01メディア: 単行本 クリック: 44回この商品を含むブログ (35件) を見る 『夏への扉』が露骨なミスディレクションだけれども、思ってみれば、タイトルがもっとそうでございました。サ…

麻耶雄嵩『貴族探偵』(集英社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)私の頭脳はそこにいる三人ですよ。彼らは私の所有物である以上、推理などといった下らないことは、彼らにやらせておけばいいのです」(「春の声」P291より) 貴族探偵作者: 麻耶雄嵩出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/05/26メデ…

湊かなえ『夜行観覧車』(双葉社)レビュー

夜行観覧車作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2010/06/02メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 162回この商品を含むブログ (114件) を見る おお、ちょっと澄ましたドメスティック・スリラーには終わらせまいとする作者の踏ん張りどころが、後半…

貫井徳郎『明日の空』(集英社)レビュー

明日の空作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/05/26メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (24件) を見る 仕掛けが、あざとさを感じさせない。重量感のある諸作を物してきた作者の新作としては軽量級だけれども、持ち重りはし…

石持浅海『この国。』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ この国のどこが不満だ?/(…)これほど成功した国は、他にない。それなのに、なぜ体制を覆そうとする? 一党独裁の、何が悪いのか。(「エクスプレッシング・ゲーム」P292より) この国。 (ミステリー・リーグ)作者: 石持浅海出版社/メー…

米澤穂信『ふたりの距離の概算』(角川書店)レビュー

ふたりの距離の概算作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/06/26メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 134回この商品を含むブログ (129件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 …

近藤史恵『薔薇を拒む』(講談社)レビュー

薔薇を拒む作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/05/27メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 6回この商品を含むブログ (30件) を見る 作者の美意識が前面に出た、久しぶりの心理サスペンス。ゴシック調の設定を違和感なく使いこなして…

柳広司『キング&クイーン』(講談社)レビュー

キング&クイーン (100周年書き下ろし)作者: 柳広司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/05/26メディア: 単行本 クリック: 35回この商品を含むブログ (30件) を見る ストレートなサスペンス。でも、ギミックがメインだったのかなあ。小説が上手いだけに、お…

2010年上半期本格ミステリベスト5

2009年11月〜2010年4月のベストですが、今回は看板に偽りあり。また、下半期だのみかしらん。 水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)作者: 三津田信三出版社/メーカー: 原書房発売日: 2009/12/07メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 91回この商品を含む…

高橋源一郎『「悪」と戦う』(河出書房新社)レビュー

「悪」と戦う作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/05/17メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 107回この商品を含むブログ (101件) を見る 「悪」と戦うのは、何かを守るため。しかし「悪」と戦うときには、代償を支払わなければなら…

田中慎弥『実験』(新潮社)レビュー

実験作者: 田中慎弥出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/05メディア: 単行本 クリック: 57回この商品を含むブログ (7件) を見る やっぱり、このひとは外界の状況と心理的な低回の拮抗を主題にしたものが、小説に深みが出る。で、それが亜種的な教養小説の趣…

森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』(角川書店)レビュー

ペンギン・ハイウェイ作者: 森見登美彦,くまおり 純出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/05/29メディア: 単行本購入: 30人 クリック: 1,716回この商品を含むブログ (200件) を見る 上手いもんです。センス・オブ・ワンダーの…

京極夏彦『死ねばいいのに』(講談社)レビュー

死ねばいいのに作者: 京極夏彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/05/15メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 317回この商品を含むブログ (142件) を見る 「死ねばいいのに」というキメ台詞に表されるように、一対一のやり取りのうちにサスペンスが高まり…

長谷川幸洋『官邸敗北』(講談社)レビュー

官邸敗北作者: 長谷川幸洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/05/21メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 58回この商品を含むブログ (17件) を見る 「緊急出版」された副島隆彦と佐藤優の『小沢革命政権で日本を救え』(日本文芸社)のなかで言及されている…

萱野稔人『暴力はいけないことだと誰もがいうけれど 』(河出書房新社)レビュー

暴力はいけないことだと誰もがいうけれど (14歳の世渡り術)作者: 萱野稔人出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/02/19メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 55回この商品を含むブログ (15件) を見る サンデルの本でコミュニタリアニズムに目覚めたひと…

『蝦蟇倉市事件 1・2』(東京創元社)レビュー

蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア)作者: 道尾秀介,伊坂幸太郎,大山誠一郎,福田栄一,伯方雪日出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/01/27メディア: 単行本 クリック: 57回この商品を含むブログ (46件) を見る蝦蟇倉市事件2 (ミステリ・フロンティア…

石持浅海『攪乱者』(実業之日本社ジョイ・ノベルズ)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)日本でテロリストをやっていても、それだけでは食えないからね。(…)だから庶民の幸せを日常生活に取り入れるのも、テロリストとしては大切なことだ」(「Mission:2 一握の砂」P60より) 攪乱者 (ジョイ・ノベルス)作者: 石持浅海出…

勢古浩爾『ビジネス書大バカ事典』(三五館)レビュー

ビジネス書大バカ事典作者: 勢古浩爾出版社/メーカー: 三五館発売日: 2010/05/21メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 79回この商品を含むブログ (19件) を見る 世に言う「ビジネス書」をペラペラとめくってみて、ああマトモな読書人層はか…

横山秀夫『臨場 スペシャルブック 』(光文社文庫)レビュー

本日のエピグラフ 「パニックはただ頭ん中が真っ白になるわけじゃねえ。一瞬にして膨大な情報や感情が脳内を駆け巡るってことだ。だから瞬時にすべてが見えちまうこともある。今日、明日、明後日、先々。食べる。生きる。(…)」(「未来の花」P173より) 臨…

今野敏 『初陣 隠蔽捜査3.5』(新潮社)レビュー

初陣 隠蔽捜査〈3.5〉作者: 今野敏出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 40回この商品を含むブログ (20件) を見る おお、これはいいぞ。竜崎のキャラには、この立ち位置が、オレ的にはオッケーです。警視庁刑事部内の…