2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

法月綸太郎『犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題』(光文社カッパ・ノベルス)レビュー

犯罪ホロスコープ1 六人の女王の問題 (カッパ・ノベルス)作者: 法月綸太郎出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/01/22メディア: 新書 クリック: 41回この商品を含むブログ (75件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプ…

竹田青嗣 山竹伸二『フロイト思想を読む』(NHK出版)レビュー

[rakuten:book:12858951:detail] フロイト思想の脱構築、ではなく再構築である。キーワードは「他者」によって「承認」される「欲望」。ラカンと同じくコジェーヴのヘーゲル読解が下敷きになっているけれども、ラカンよりもずっとわかりやすい。さすがに。論…

ニッポン無責任時代

東浩紀+桜坂洋『キャラクターズ』の刊行後に、ああいうことが起こったっていうのは、やっぱり災難だったと思うわけですよ。「そして、彼が朝日新聞社ではなく秋葉原に突っ込んだという事実を前に、いささか自分の想像力の限界を感じたりもしました」という…

有栖川有栖『壁抜け男の謎』(角川書店)レビュー

壁抜け男の謎作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/05/01メディア: 単行本 クリック: 18回この商品を含むブログ (51件) を見る 表題作をタイトルに掲げたのは、編集者の見識(作者だったらごめんなさい)。タイトな推理ク…

山口雅也『キッド・ピストルズの最低の帰還』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 「……私が見たと蠅は言う――よ。(…)蠅男(フライマン)は、壁にへばりついて、雀だか駒鳥だかの殺しについても目撃しているはずなんだわ」(「誰が駒鳥を殺そうが」P54より) キッド・ピストルズの最低の帰還作者: 山口雅也出版社/メーカー:…

香納諒一『記念日 anniversary』(光文社)レビュー

記念日anniversary作者: 香納諒一出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/05/22メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (9件) を見る 作者の本領発揮、問答無用のジェットコースターノベルだぜ。双子だぜ、記憶喪失だぜ、CIAだぜ、チャイナマ…

本田由紀『「家庭教育」の隘路』(勁草書房)レビュー

「家庭教育」の隘路―子育てに強迫される母親たち作者: 本田由紀出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2008/02/25メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 82回この商品を含むブログ (30件) を見る すでに各紙誌で取り上げられているが、さまざまな母親たちへのイン…

諏訪哲史『りすん』(講談社)レビュー

りすん作者: 諏訪哲史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/04/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (30件) を見る 小説家の本懐というのは、嘘くさくない嘘をつき通すことなのか、それとも嘘というマコトを彫琢することなのか…

西澤保彦『腕貫探偵、残業中』(実業之日本社)レビュー

本日のエピグラフ 「一般的な市民にとって役人の杓子定規ぶりは、彼らの常識に馴染むものではありませんからね」(「体験の後」P59より) 腕貫探偵、残業中作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2008/04/18メディア: 単行本購入: 2人 クリッ…

石持浅海『賢者の贈り物』(PHP)レビュー

本日のエピグラフ ひょっとしたら、と思う。磯風ははじめからすべてを了解していて、あえて知らないふりをしていたのではないか。(「賢者の贈り物」P136より) 賢者の贈り物作者: 石持浅海出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/03/25メディア: 単行本…

竹本健治『キララ、またも探偵す。』(文藝春秋)レビュー 

キララ、またも探偵す。作者: 竹本健治出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/05メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (24件) を見る 基本的には、アンドロイドとキャラ装置とセックスのビミョーな相関を、揶揄してるわけです。書きっぷり…

W・A・フレッケンシュタイン F・シーハン『グリーンスパンの正体 2つのバブルを生み出した男』(エクスナレッジ)レビュー

本日のエピグラフ グリーンスパンは世界最大の株式バブル後の苦境にあえぐアメリカを、世界最大の不動産バブルで救済した。この2つのバブルの組み合わせは、アメリカ(そして世界)がそれまで目にしたことのなかった規模の投機熱、そして負債増大の代名詞にな…

薬丸岳『虚夢』(講談社)レビュー

虚夢作者: 薬丸岳出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/05/23メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 12回この商品を含むブログ (23件) を見る 小説は上手い。のだけれども、なんというか、作者の内なるPC的良心といったらいいのか、そういうのが、おさまり…

小路幸也『東京バンドワゴン スタンド・バイ・ミー』(集英社)レビュー

スタンド・バイ・ミー (3) (東京バンドワゴン)作者: 小路幸也出版社/メーカー: 集英社発売日: 2008/04/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (44件) を見る 卓袱台ドラマの定型をなぞって、退屈させることがないのは確か。語り口…

柴田よしき『謎の転倒犬』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)口以外のいろんなところが、いろんなことを喋ってる。(…)つまり、いろんな物に喋らせているの。わたしはこんな人です。僕はこんな奴なんですよ、って(…)」(「七セットふたたび」P240より) [rakuten:book:12947732:detail] ミステ…

松尾由美『フリッツと満月の夜』(ポプラ社)レビュー

フリッツと満月の夜 (Teens’ entertainment) [ 松尾由美 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 絵本・児童書・図鑑 > 児童書 > 児童書(日本)ショップ: 楽天ブックス価格: 1,404円 ピアスをつけた猫たちの姿が絵に浮かぶ。ダビデの星のネタからお話を拡げた感…

浅羽通明『昭和三十年代主義――もう成長しない日本』(幻冬舎)レビュー

昭和三十年代主義―もう成長しない日本作者: 浅羽通明出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2008/04メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 188回この商品を含むブログ (60件) を見る まさに渾身の力作で、著者以外の書き手が同じコンセプトでやったら、気の抜けたも…

安富歩『生きるための経済学』(NHKブックス)レビュー

生きるための経済学 〈選択の自由〉からの脱却 (NHKブックス)作者: 安冨歩出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2008/03/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 11人 クリック: 245回この商品を含むブログ (70件) を見る 反経済学の極めつき。経済学批判とし…

篠田真由美『闇の聖杯、光の剣』(理論社)レビュー

闇の聖杯、光の剣―北斗学園七不思議〈2〉 (ミステリーYA!)作者: 篠田真由美出版社/メーカー: 理論社発売日: 2008/04メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (9件) を見る このシリーズは、コミック化されないかねえ。第三帝国オカルトの世界へ…

上田早夕里『ショコラティエの勲章』(東京創元社)レビュー 

[rakuten:book:12855931:detail] つかみはミステリ、後半は菓子職人をめぐるトラブルとその収束が直截に描かれるが、違和感は全然ない。小説が文句なくうまい。ワタクシ的には、3番目の話が好み。