2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

倉阪鬼一郎『留美のために』(原書房)レビュー

留美のために (ミステリー・リーグ)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 原書房発売日: 2007/09/20メディア: ハードカバー クリック: 8回この商品を含むブログ (14件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション8 …

香納諒一『第四の闇』(実業之日本社)レビュー

第四の闇作者: 香納諒一出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2007/09/19メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (11件) を見る 主人公や、彼と探偵行をともにする若者たちの肖像は、さすが陰影深いもの。最後の最後まで、予断を許さぬ展開だ…

島田荘司『リベルタスの寓話』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ 中立者の行動は、厳密に物的な証拠と、論の冷静な合理性に裏打ちされていなくてはならない。どの国へのひいきでもなく。それこそが、自由へのメッセージだ(「リベルタスの寓話」P158より) リベルタスの寓話作者: 島田荘司出版社/メーカ…

乾ルカ『夏光』(文藝春秋)レビュー 

夏光作者: 乾ルカ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/09/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (19件) を見る 有力なホラー小説の書き手がまたひとり。グロテスクな設定の物語に、カタルシスをきっちり与える手際は、安定し…

真瀬もと『キューピッドの涙盗難事件』(理論社)レビュー

本日のエピグラフ 「闇は美しいものですわよ、ホームズさん。無粋な真相よりもずっとね」(P390より) キューピッドの涙盗難事件―ベイカー街(ストリート)少年探偵団(イレギュラーズ)ジャーナル〈1〉 (ミステリーYA!)作者: 真瀬もと出版社/メーカー: 理論社…

朱川湊人『いっぺんさん』(実業之日本社)レビュー

いっぺんさん作者: 朱川湊人出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2007/08/17メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (24件) を見る 作者の独壇場。生理的な恐怖と哀切な雰囲気が、渾然となって、郷愁を醸しだす。バナキュラーな意識を物語に…

山田正紀『白の協奏曲』(双葉社)レビュー

白の協奏曲(コンチェルト)作者: 山田正紀出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2007/09メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (10件) を見る 時代背景が出てる出てる。刊行前に、どこまで手直ししたかどうかわからないけれど、ナラティブのレベルで…

笹本稜平『越境捜査』(双葉社) レビュー

越境捜査作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2007/08メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る 日本の警察小説における“仁義なき闘い”の設定、警視庁vs神奈川県警モノの新境地です。カネは天下の回り者、というか天下の…

荻原浩『サニーサイドエッグ』(東京創元社)レビュー

サニーサイドエッグ (創元クライム・クラブ)作者: 荻原浩出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/08メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (24件) を見る 長尺の話だけれども、軽ハードボイルド調を一切崩さないで間を持たせる力量は、さす…

滝田務雄『田舎の刑事の趣味とお仕事』(東京創元社)レビュー

田舎の刑事の趣味とお仕事 (ミステリ・フロンティア)作者: 滝田務雄出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/08メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (27件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッ…

石持浅海『Rのつく月には気をつけよう』(祥伝社)レビュー

Rのつく月には気をつけよう作者: 石持浅海出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2007/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (83件) を見る ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス6 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル3…

三咲光郎『砲台島』(早川書房)レビュー

砲台島 (ハヤカワ・ミステリワールド)作者: 三咲光郎出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/04メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見る という極限状況下でのPI小説。“公的なるもの”が、“私的なるもの”を破壊し、収奪していくリ…

古処誠二『敵影』(新潮社)レビュー

敵影作者: 古処誠二出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/07/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (22件) を見る における罪と罰という問題性を、“恥”という日本的意識に交錯させるというモチーフは、さらに深化している。この延長線上に…

島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』(新潮社)レビュー

あなたの呼吸が止まるまで作者: 島本理生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 26回この商品を含むブログ (83件) を見る “秘密”の共有をめぐる物語。というか、プライベートの領域をどう変成=編成させるかで、純粋な…

有田哲文 畑中徹『ゆうちょ銀行 民営郵政の罪と罰』(東洋経済新報社)レビュー

ゆうちょ銀行作者: 有田哲文/畑中徹出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2007/09/07メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 39回この商品を含むブログ (5件) を見る 2005年の「郵政選挙」のとき、「八年以内に残高を半減させる」という郵政リス…

小林敏明『廣松渉――近代の超克』(講談社)レビュー

廣松渉-近代の超克 (再発見 日本の哲学)作者: 小林敏明出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/06/21メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (23件) を見る これはもう、タイトルがすべてを物語っています。廣松思想そのものを語ってい…

近藤史恵『サクリファイス』(新潮社)レビュー

本日のエピグラフ もう勝つことは怖くない。ぼくの勝利はぼくだけのものではない。その尊さを僕は知っている。(P245より) サクリファイス作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/08メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 139回この商品を含む…

歌野晶午『ハッピーエンドにさよならを』(角川書店)レビュー

本日のエピグラフ しかし、一度出てしまった目は変えようがない。(中略)/問題は、過去ではなく未来だ。(「おねえちゃん」P40より) ハッピーエンドにさよならを作者: 歌野晶午出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/09メディア: 単行本購入: 2人 クリッ…

大崎梢『片耳うさぎ』(光文社)レビュー

片耳うさぎ作者: 大崎梢出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/08メディア: 単行本 クリック: 22回この商品を含むブログ (43件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37 表紙絵が物語の内質をす…

東谷暁『ビジネス法則の落とし穴』(学研新書)レビュー

ビジネス法則の落とし穴 (学研新書)作者: 東谷暁出版社/メーカー: 学習研究社発売日: 2007/07メディア: 新書購入: 2人 クリック: 1回この商品を含むブログ (11件) を見る アベさんがああいうことになってから、「人はえらくなるほどどんどん無能になる」とい…