2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

篠田真由美『風信子(ヒアシンス)の家 神代教授の日常と(、)謎』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 消えていく、なにもかもが、溶けない雪の下に埋め尽くされるように……(「思いは雪のように降りつもる」P307より) 風信子(ヒアシンス)の家―神代教授の日常と謎作者: 篠田真由美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/04メディア: 単行…

原田武夫『国家の読み解き方 憲法学という教養』(勁草書房)レビュー

国家の読み解き方作者: 原田武夫出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2007/02/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 近代立憲主義に拘泥しすぎた「戦後日本憲法学」に対する、旧ドイツ「国法学」を援用した「民主主義の原則」を貫徹する立場か…

篠田真由美『王国は星空の下』(理論社)レビュー

王国は星空の下―北斗学園七不思議〈1〉 (ミステリーYA!)作者: 篠田真由美出版社/メーカー: 理論社発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (29件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス8 アレゴリカル7 …

大崎梢『サイン会はいかが?』(東京創元社)レビュー

サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ (ミステリ・フロンティア)作者: 大崎梢出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (67件) を見る ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス7 アレゴ…

京極夏彦『前巷説百物語』(角川書店)レビュー

前巷説百物語 (怪BOOKS)作者: 京極夏彦出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 19回この商品を含むブログ (141件) を見る 「作り事である。/作り事ではあるが――巷の者はそれを信じている。/そうじゃねェ。/誰も信…

三津田信三『首無の如き祟るもの』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ 「(前略)その祟りの度合いが、もし物凄いものだった場合、その家が無事に存続するよう、逆に淡首様は図るんじゃないかと思う」/(中略)/「もちろん、いつまでも(、、、、、)祟り続けるために……」(P324より) 首無の如き祟るもの (ミ…

永井均『西田幾多郎 とは何か』(NHK出版) 藤田正勝『西田幾多郎 ――生きることと哲学』(岩波新書)レビュー

とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)" title="西田幾多郎 とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)">西田幾多郎 とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)作者: 永井均出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2006/11/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人…

畠中恵『まんまこと』(文藝春秋)レビュー

まんまこと まんまことシリーズ 1作者: 畠中恵出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/04/05メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (64件) を見る 自社サイト内に特集サイトが立ち上げられているほどの文春のプッシュぶり。というこ…

柴崎友香『また会う日まで』(河出書房新社)レビュー

また会う日まで作者: 柴崎友香出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/01/01メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (61件) を見る 何気なくつづく描写のうちに、微細な亀裂がはいる。凪子のところ。「泣くんじゃないか、と急に思った。で…

北村薫『玻璃の天』(文藝春秋)レビュー

玻璃の天作者: 北村薫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/04メディア: 単行本 クリック: 24回この商品を含むブログ (107件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39 “大義”と“私情”(=“私怨…

宮台真司・鈴木弘輝・堀内進之介『幸福論』(NHKブックス)レビュー

幸福論―“共生”の不可能と不可避について (NHKブックス)作者: 宮台真司,鈴木弘輝,堀内進之介出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 43回この商品を含むブログ (64件) を見る 「幸福論」が「いかにして“幸福”…

第7回本格ミステリ大賞は、なんとなく重馬場で

1『顔のない敵』石持浅海 2『シャドウ』道尾秀介 3『邪魅の雫』京極夏彦 4『樹 霊』鳥飼否宇 5『時を巡る肖像』柄刀一 1‐2×2 2‐3×2 3‐4×15 1‐3×1 2‐4×10 3‐5×5 1‐4×10 2‐5×7 4‐5×20 1‐5×5 …………と、こんな感じなのか…

伊野上裕伸『赤ひげの末裔たち』(文藝春秋)レビュー

赤ひげの末裔たち―小説・お医者さま生態図鑑作者: 伊野上裕伸出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/04/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 医は仁術か算術か、はたまた権謀術数か――医療経済のバランスシートが、赤ひげの末裔たちを道化…

増田俊成『シャトゥーン ヒグマの森』(宝島社)レビュー

シャトゥーン―ヒグマの森作者: 増田俊也出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2007/02メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 48回この商品を含むブログ (25件) を見る 末は寿行かステキンか。ひたすらこわ〜いのねんのねん。にしても、これから温暖化が進んで、近…

恩田陸『朝日のようにさわやかに』(新潮社)レビュー

本日のエピグラフ こちらこそ助かったよ。学園の平穏を乱す人間は消えてもらった方がありがたい。(「水晶の夜、翡翠の朝」P48より) 城は落ちた。その人々は、今も彼女から遠く離れたところに棲む。(「邂逅について」P176より) 朝日のようにさわやかに…

第20回三島賞第20回山周賞は、二の足が要になる?  

第20回三島賞候補作倍率 西川美和 『ゆれる』 ×3 本谷有希子 『生きてるだけで、愛。』 ×7 柴崎友香 『また会う日まで』 ×5 いしいしんじ 『みずうみ』 ×3 佐藤友哉 『1000の小説とバックベアード』 ×10 西川が本命だと思うけれども。いしいと柴崎だっ…

楡周平『陪審法廷』(講談社)レビュー

陪審法廷作者: 楡周平出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/03/30メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る 時局柄からか、各紙誌で評判よろしく、山周賞にもノミネートされた。確かに、カタルシスは得られるけれども、リーガルサス…

加藤典洋『考える人生相談』(筑摩書房)レビュー

考える人生相談作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (16件) を見る 筑摩書房のウェブサイトで連載中のQ&Aコラムを単行本化したもの。人生相談、というより、まんま“批評…