2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

竹内真『イン・ザ・ルーツ』(双葉社)レビュー

イン・ザ・ルーツ作者: 竹内真出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2011/03/16メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (4件) を見る 分厚いけれども、作者の持ち味である軽妙なタッチで、三人の兄弟の成長と自らのルーツ探しの道程を描いて、飽かせ…

福田和代『怪物』(集英社)レビュー

怪物作者: 福田和代出版社/メーカー: 集英社発売日: 2011/06/03メディア: 単行本 クリック: 22回この商品を含むブログ (10件) を見る 『迎撃せよ』『タワーリング』など重量感あるサスペンスを連発する作者の次の作品は、異能力者の刑事を主人公にしたことで…

河野哲也『道徳を問いなおす リベラリズムと教育のゆくえ 』 (ちくま新書)レビュー

道徳を問いなおす リベラリズムと教育のゆくえ (ちくま新書)作者: 河野哲也出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/03/09メディア: 新書 クリック: 12回この商品を含むブログ (11件) を見る 「道徳的」であるということは、「利他的」であるということである…

横関大『グッバイ・ヒーロー』(講談社)レビュー

グッバイ・ヒーロー作者: 横関大出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/05/18メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る 乱歩賞受賞第一作は、大上段な物語ではないものの、語り口の上手さで読ませる。プロットは意表をついて面白いも…

柄刀一『バミューダ海域の摩天楼』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 彼らは、地を、空を、海を巡り……、そして、遥か昔に成層圏の上にまで達していたのかもしれない。(「熱波の摩天楼」p.280) バミューダ海域の摩天楼 (講談社ノベルス)作者: 柄刀一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/04/07メディア: 新書こ…

熊野純彦『埴谷雄高――夢みるカント』(講談社)レビュー

埴谷雄高――夢みるカント (再発見 日本の哲学)作者: 熊野純彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/11/30メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 12回この商品を含むブログ (6件) を見る カントのいう「可能性の一大帝国」を、ポジティブに反転させたの…

一田和樹『檻の中の少女』(原書房)レビュー

檻の中の少女 (a rose city fukuyama)作者: 一田和樹出版社/メーカー: 原書房発売日: 2011/04/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 42回この商品を含むブログ (17件) を見る 『鬼畜の家』と並んで福ミスを受賞した本作は、異色のハードボイルド。自殺サイ…

深木章子『鬼畜の家』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ (…)今考えれば、あたしは自分を意識的にコントロールしているつもりで、知らず知らずのうちに本当に病んでいたのだと思います。(p.128) 鬼畜の家 (a rose city fukuyama)作者: 深木章子出版社/メーカー: 原書房発売日: 2011/04/25メディア:…

海堂尊『ナニワ・モンスター』(新潮社)レビュー

ナニワ・モンスター作者: 海堂尊出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/04/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (32件) を見る 臆面もなくキャラ小説道を邁進する作者の妖刀の切っ先は、極東の島国の官僚制度の心臓部に向いてい…

樋口有介『片思いレシピ』(東京創元社)レビュー

片思いレシピ作者: 樋口有介出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2011/04/21メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (13件) を見る 柚木草平シリーズからのスピンオフは、完全にコージーだけれども、オヤジとムスメの会話のいい湯加減と、じい…

加賀美雅之『縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿 』 (講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)君があまりにも話を誇張して書くものだから、とうとう私は妖怪変化の専門家にされてしまったようだよ――」(「吸血鬼の塔」p.236) 縛り首の塔の館 シャルル・ベルトランの事件簿 (講談社ノベルス)作者: 加賀美雅之出版社/メーカー: 講談…

勢古浩爾『最後の吉本隆明』(筑摩選書)レビュー

最後の吉本隆明 (筑摩選書)作者: 勢古浩爾出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/04/15メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る 吉本の理論三部作『言語美』『心現』『共幻』をネグって、吉本思想の真髄に肉迫できるか――…

カレル・ヴァン・ウォルフレン『誰が小沢一郎を殺すのか? 画策者なき陰謀』(角川書店)レビュー

誰が小沢一郎を殺すのか?画策者なき陰謀作者: カレル・ヴァン・ウォルフレン,井上 実出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2011/03/02メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 770回この商品を含むブログ (23件) を見る シケた政局は…

太田忠司『ルナティック ガーデン』(祥伝社)レビュー

ルナティック ガーデン作者: 太田忠司出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2011/03/15メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 主人公の設定の妙が生きている。ディテールのユニークさの勝利か。月に行くところからトラブルに見舞われ…

太田忠司『琥珀のマズルカ』(講談社ノベルズ)レビュー

琥珀のマズルカ (講談社ノベルス)作者: 太田忠司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/01/06メディア: 新書 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る ファンタジー設定の状況下でサスペンスを醸成させる手際がいいんだよね。PI小説と本格ミステリ…

本城雅人『オールマイティ』(文藝春秋)レビュー

オールマイティ作者: 本城雅人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/03メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 新作も快調。プロ野球界の交渉代理人を主人公とするハードボイルドでありながらも、適宜やられる視点の転換がサス…