2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社)レビュー

本日のエピグラフ 眼球を摘出したのは夜を少しでも長く演出して、夢の訪れを容易にするためだった。(「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」P293より) 独白するユニバーサル横メルカトル作者: 平山夢明出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/0…

水原佐保『青春俳句講座 初桜』(角川書店)レビュー

青春俳句講座 初桜作者: 水原佐保,宮尾和孝出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/06/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (34件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス6 アレゴリカル8 インプレッション8 トー…

「予言」する探偵小説4-Ⅱ

今回の文章も東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています ラッセルにおいては、固有名は「短縮(省略)された記述」であるとされる。これに対して、クリプキは、固有名が記述に還元できないと論じた。――このにおいて、特個的な対象へ向けて、“名指し”の行…

島田荘司『UFO大通り』(講談社)レビュー

UFO大通り作者: 島田荘司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (49件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39 いやー、島…

霞流一『プラットホームに吠える』(光文社カッパノベルス)レビュー

プラットホームに吠える (カッパ・ノベルス)作者: 霞流一出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/07/21メディア: 新書この商品を含むブログ (16件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 「鉄道…

鳥飼否宇『樹霊』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「(前略)この土地は誰のもの?」/「すべての生きとし生けるものの共有地かな。(後略)」(P249より) 樹霊 (ミステリ・フロンティア)作者: 鳥飼否宇出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/08/30メディア: 単行本(ソフトカバー) クリ…

米澤穂信『ボトルネッグ』(新潮社)レビュー

ボトルネック作者: 米澤穂信出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/08/30メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 106回この商品を含むブログ (268件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39 「き…

夏樹静子『見えない貌』(光文社)レビュー

見えない貌作者: 夏樹静子出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/07/21メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル36 御大夏樹静子いまだ健…

深谷忠記『毒 poison』(徳間書店)レビュー

本日のエピグラフ まさに“毒人間”ともいうべき彼らは、ただただ他人を傷つけ、痛めつけるために、自身の邪悪な脳が生み出した毒をつかう。(P385より) 毒 poison作者: 深谷忠記出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2006/08メディア: 単行本 クリック: 3回こ…

「予言」する探偵小説4-Ⅰ

今回の文章は東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています 『容疑者Xの献身』という作品に対して、それを探偵小説的なアプローチで言及する場合、従来の「顔のない屍体」トリックがメインのモチーフとして、物語の屋台骨となっているという約め方は、し…

皆川博子『伯林蝋人形館』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ あなたは、すべての物語を書き終え、自殺の特権を得たが、行使することはないと、僕は思います。(中略)生に過剰な期待を持たないから、たとえ世界が自殺しても、あなたは、生き残る。(P336より) 伯林蝋人形館作者: 皆川博子出版社/メー…

折原一『行方不明者』(文藝春秋)レビュー

行方不明者作者: 折原一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/08メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (21件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル6 インプレッション7 トータル34 あ、ここにもさんが出て…

「予言」する探偵小説〜間奏

批評というテクストが、先行するテクストを俎上にのせている以上、その批評を論及する際には、必然的にそれが取り上げたテクストにも言及せざるをえない。さらに、そのような批評にも論及するとしたら――と、“批評”という言説は、さながらテクストでできたマ…

芦辺拓『千一夜の館の殺人』(光文社カッパノベルス)レビュー

本日のエピグラフ アラビアン・ナイト――千一夜の物語はまだまだ続く。だが、悲しいことに、喜々としてこれらを語り、また耳を傾ける彼女と彼には、あまりに限られた時間しか与えられてはいないのだった。(P282より) 千一夜の館の殺人 (カッパ・ノベルス)…

鏑木蓮『東京ダモイ』(講談社)レビュー

東京ダモイ作者: 鏑木蓮出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/08/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (24件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル35 ザッツア乱歩賞受賞作。ラーゲリ内部…

早瀬乱『三年坂 火の夢』(講談社)レビュー

三年坂 火の夢作者: 早瀬乱出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/08/10メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (24件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション7 トータル37 すでに賞歴のある人…

真瀬もと『お楽しみはこれからだ!―Jazzy Murder』(早川書房)レビュー

お楽しみはこれからだ!―Jazzy Murder (ハヤカワ・ミステリワールド)作者: 真瀬もと出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/07/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカ…

「予言」する探偵小説3

1998年に刊行された『戦後の思想空間』は、「現在が戦前だからなんですね」という刺激的な一節で始められる。大澤真幸がそのように言う根拠は、柄谷行人の「昭和・明治平行説」で、コンドラチェフの景気循環論を想起させる、六十年周期で歴史は一サイク…

朱川湊人『赤々煉恋』(東京創元社)レビュー

赤々煉恋作者: 朱川湊人出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/07/10メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (27件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション7 トータル36 フリークス小説連…