2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

蒼井上鷹『堂場警部補の挑戦 』(創元推理文庫)レビュー

本日のエピグラフ 「しかもあいつは、別のところで『元警察官の書くミステリなんてろくなもんじゃない。そういうやつらが応募してきたら問答無用で落とす』とまで書いてる」(「第四話 堂場IV/切実」P228より) 堂場警部補の挑戦 (創元推理文庫)作者: 蒼…

鯨統一郎 『今宵、バーで謎解きを』(光文社カッパ・ノベルス)レビュー

今宵、バーで謎解きを (カッパ・ノベルス)作者: 鯨統一郎出版社/メーカー: 光文社発売日: 2010/04/20メディア: 新書購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (8件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション…

小路幸也『オール・マイ・ラビング  東京バンドワゴン』(集英社)レビュー

オール・マイ・ラビング (5) (東京バンドワゴン)作者: 小路幸也出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/04/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (26件) を見る 好評人情譚ももう5年目。いよいよ中間共同体小説として面白くなって…

柴田よしき『桃色東京塔』(文藝春秋)レビュー

桃色東京塔作者: 柴田よしき出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/05メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (5件) を見る こんなコンセプトで、連作短編集を編める作者の強み。遠距離恋愛の双方の刑事とも、読者が素直に共感できるようなキ…

柴田哲孝『早春の化石』(祥伝社)レビュー

早春の化石作者: 柴田哲孝出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2010/04/11メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る スタイリッシュなハードボイルドと思いきや、なかなかこちらの思惑を外してくれる展開に。土着的要素の取り入れ方が大…

島本理生『あられもない祈り』(河出書房新社)レビュー

あられもない祈り作者: 島本理生出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/05/13メディア: 単行本 クリック: 29回この商品を含むブログ (39件) を見る 「私」と「あなた」の関係性が、一人称小説のなかの“他者”としての二人称の機制をうまく取り込み、リリ…

柚月裕子『最後の証人』(宝島社)レビュー

最後の証人作者: 柚月裕子出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2010/05/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (25件) を見る 法廷ミステリかと思いきや…………という心憎い構成は、見事に決まった。小杉健治や深谷忠記のようなトリッキ…

北沢栄『官僚利権』(実業之日本社)レビュー

官僚利権作者: 北沢栄出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2010/05/20メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (10件) を見る 前著『亡国予算』刊行の後、政権交代が起きたものの、「霞が関の裏帳簿」からは、思ったほど大判小判をザクザク掘…

深水黎一郎『五声のリチェルカーレ』(創元推理文庫)レビュー

五声のリチェルカーレ (創元推理文庫)作者: 深水黎一郎出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/01/30メディア: 文庫 クリック: 20回この商品を含むブログ (24件) を見る 小説の上手さがトリックを支える。いつのまにか……というような技巧を、自然に扱える…

小杉健治『裁判員―もうひとつの評議』(日本放送出版協会)レビュー

裁判員―もうひとつの評議作者: 小杉健治出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2010/04メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る こちらは、裁判小説ではなく、裁判員小説。極刑判決をめぐる極限的な状況に、裁判員たちが直面す…

小杉健治『黙秘  裁判員裁判 』(集英社文庫)レビュー

黙秘 裁判員裁判 (集英社文庫)作者: 小杉健治出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/01/20メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る もう作者には、裁判員ものをどんどん書いてほしいですね。文庫書き下ろしだけれども、手抜きはない。裁判小説のツボ…

乾ルカ『あの日にかえりたい』(実業之日本社)レビュー

あの日にかえりたい作者: 乾ルカ出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2010/05/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 26回この商品を含むブログ (14件) を見る いやー、よかったよかった、大満足。作者のアベレージを示す短編集かと思いきや、新たなステ…

小池真理子『存在の美しい哀しみ』(文藝春秋)レビュー

存在の美しい哀しみ作者: 小池真理子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (2件) を見る 久しぶりに読んだ小池作品だったけれども、悲哀の提示の仕方の自然さはもとより、様々な関係性を、…

折原一『赤い森』(祥伝社)レビュー

赤い森作者: 折原一出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2010/04/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (12件) を見る あはは、いいなあ、この手付き。ホラ話なんだか、ホラーなんだか、人を食った小説で、袋とじも人を食っている。…

坂木司『和菓子のアン』(光文社)レビュー

和菓子のアン作者: 坂木司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2010/04/20メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 44回この商品を含むブログ (67件) を見る だんだんと、北村薫より北村薫っぽく思えてくるのは、成長小説的主題を把持しているからか。ミステリ的ア…

河合宏一『ユニオンジャックの政治パワー』(日本経済新聞出版社)レビュー

ユニオンジャックの政治パワー作者: 河合宏一出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2010/03/20メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (6件) を見る UKの議会制民主主義の現在的な構造が、詳らかにされて興味深い。先日、保…

棺を蓋いて事定まる、地の利は人の和に如かず

「日米同盟への影響心配」首相辞任に米も衝撃 【ワシントン=小川聡】鳩山首相が沖縄の米軍普天間飛行場移設問題での対応などを巡る支持率の低下を理由に辞任を表明したことについて、米オバマ政権に近い知日派の一人は1日夜(日本時間2日午前)、「米国の…