2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

東川篤哉『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか? 』(文藝春秋)レビュー

魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (18件) を見る ライト・ミステリ路線。ハメを外す匙加減もよいと思います。M男がまっとうな恋愛…

似鳥鶏『戦力外捜査官 姫デカ・海月千波』(河出書房新社)レビュー

戦力外捜査官 姫デカ・海月千波作者: 似鳥鶏出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/09/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る 警察小説のパロディと思いきや、そういうことでしたか、と。小説が上手いんだから、ヘンにデ…

島田荘司『アルカトラズ幻想』(文藝春秋)レビュー

アルカトラズ幻想作者: 島田荘司出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/09メディア: 単行本 クリック: 77回この商品を含むブログ (13件) を見る 『追憶のカシュガル』を読んだときには、肯定的な意味で、この作者らしい枯れ方だと思ったものだが、本書を読…

高橋源一郎『非常時のことば 震災の後で』(朝日新聞出版)レビュー

非常時のことば 震災の後で作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2012/08/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (11件) を見る 文学者、小説家としての著者のリアクション。焦点は、コミュニケーションの根底に…

石持浅海『煽動者』(実業之日本社)レビュー

本日のエピグラフ (…)僕たちはテロリストだ。けれど、決して人を殺さないテロリストなのだ。信念で殺人を犯す人間ほど、始末に負えない奴はいない。(…)(p.267) 煽動者作者: 石持浅海出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2012/09/20メディア: 単行本 クリッ…

道尾秀介『ノエル: a story of stories』(新潮社)レビュー

ノエル―a story of stories作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/09メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 8回この商品を含むブログ (23件) を見る 作者は新たに試行錯誤の時期に入ったのかな、と思う。この作品のモチーフはタイトルの通りだけ…

松尾匡『新しい左翼入門―相克の運動史は超えられるか』(講談社現代新書)レビュー

新しい左翼入門―相克の運動史は超えられるか (講談社現代新書)作者: 松尾匡出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/07/18メディア: 新書購入: 4人 クリック: 61回この商品を含むブログ (30件) を見る 説きがたり左翼運動史批判的入門。抽象的理論を振りかざし…

秋梨惟喬『天空の少年探偵団』(創元推理文庫)レビュー

天空の少年探偵団 (創元推理文庫)作者: 秋梨惟喬出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2012/08/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る シリーズ第二弾は長編で、物理的な大技を投入。それよりも、ジュブナイルとは微妙に一線を引いた内容が、創…

福田和代『ZONE 豊洲署刑事・岩倉梓』(角川春樹事務所)レビュー

ZONE 豊洲署刑事・岩倉梓作者: 福田和代,小林系(こばやし・けい)出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2012/08/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (8件) を見る 前作の近未来ものは、ワタクシ的にはウーンと唸ってしまった…

斎藤環『原発依存の精神構造: 日本人はなぜ原子力が「好き」なのか 』(新潮社)レビュー

原発依存の精神構造―日本人はなぜ原子力が「好き」なのか作者: 斎藤環出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (8件) を見る 「3・11」批評の中では、出色の作品。まず、著者の放射能危機に…

貫井徳郎『微笑む人』(実業之日本社)レビュー

微笑む人作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2012/08/18メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (28件) を見る ある事件が起こったとき、なぜその背後の“物語”が希求されるのだろうか。ある異常事が起こり、それがこちら側の…

深谷忠記『共犯』(徳間書店)レビュー

共犯作者: 深谷忠記出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2012/08/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 前作はミステリ色を薄めた社会派路線だったけれども、本作では、再びサスペンスを強く打ち出した会心作。反復された幼女誘拐事件に仕掛け…

2012年9月版

『ダークサイド』は、サイコスリラーだけれども、話の膨らませ方が上手い。日本人作家だと、まだこういかないんだよね。デュレンマットのは、初訳のよりも、改訳作品のほうがとっつきがいい。政治的なるものをめぐる寓話。政治、といえば『鷲たちの盟約』で…