2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

香納諒一『贄の夜会』(文藝春秋)レビュー

贄の夜会作者: 香納諒一出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/05メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (22件) を見る ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37 ローラーコースター“ト…

香納諒一『冬の砦』(祥伝社)レビュー

冬の砦―長編サスペンス作者: 香納諒一出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2006/07メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37 “トラウマ”…

若竹七海『猫島ハウスの騒動』(光文社カッパノベルス)レビュー

猫島ハウスの騒動 (カッパ・ノベルス)作者: 若竹七海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/07/21メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (56件) を見る ミステリアス7 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル…

笠井潔『探偵小説と記号的人物(キャラ/キャラクター)』(東京創元社)レビュー

探偵小説と記号的人物(ヨミ キャラ/キャラクター) (キイ・ライブラリー)作者: 笠井潔出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/07/27メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (30件) を見る 著者が本論の最終章で、ラノベの美少女「キャラ」に対…

「予言」する探偵小説2

柄刀一『ゴーレムの檻』は、“内”と“外”という認識、その対抗(もしくは非対抗)関係という問題意識が、個々の収録作を貫く通奏低音として流れる。表題作は、一六三〇年の大英帝国、そのとある領主町にある監獄の“永久無洗礼独房”に収監された囚人ゴーレムの脱…

山田正紀『カオスコープ』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 壊れたぼくが、壊れた世界を、壊れた万華鏡のなかに覗き込んで。(P293より) カオスコープ (創元クライム・クラブ)作者: 山田正紀出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/07/27メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2…

東野圭吾『赤い指』(講談社)レビュー

赤い指作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/07/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 57回この商品を含むブログ (219件) を見る ミステリアス6 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル9 インプレッション8 トータル37 大衆小説の勘…

「予言」する探偵小説  

大澤真幸が社会学の観点から、戦後思想の構造を分析・批評した『戦後の思想空間』(ちくま新書)のなかで、「歴史」(の記述)について、言及している。「歴史を記すということは、その過去の出来事を、(中略)既に存在している、と見なすことだからです」。「…

“探偵”の転回について

内田樹の近著『私家版・ユダヤ文化論』のあとがきで、内田が講義のときにツカミに以下の台詞を言ったという。「キャロル・キングとリーバー&ストーラー抜きのアメリカン・ポップスが想像できないように、マルクスとフロイトとフッサールとレヴィナスとレヴ…

MYSCON『どのミステリーがすごい!?2006年・上半期編』に投票しました

1位:『厭魅の如き憑くもの』 三津田信三:本格ミステリとホラーの融合、というより止揚。とにかく怪異に遭遇するときの場面の臨場感に圧倒された。 2位:『七姫幻想』森谷明子:“情念”をモチーフにしながら、十分に洗練された本格ミステリ。 3位:『文章…

北川歩実『運命の鎖』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ (前略)羨ましいって言いました(中略)あなたのいらない遺伝子は取り除けるけど、わたしのいらない遺伝子は取り除けない、って(第三話「子供の顔」P158より) 運命の鎖 the geneticfuture (創元クライム・クラブ)作者: 北川歩実出版社/メ…

広川純『一応の推定』(文藝春秋)レビュー

一応の推定作者: 広川純出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/06メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (18件) を見る ミステリアス6 アクロバット7 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル33 基本的には人情噺で、展…

北村薫『ひとがた流し』(朝日新聞社)レビュー

本日のエピグラフ 小さなことの積み重ねが、生きてくってことだよね。そういう記憶のかけらみたいなものを共有するのが、要するに、共に生きたってことだよね。(P203より) ひとがた流し作者: 北村薫出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2006/07メディア:…

“憲法”風景論

本日のエピグラフ シュミットは、議会制民主主義における立法過程の偽善性を攻撃する。だが、(中略)一般的公益を掲げた以上、それに即して偽善的に振舞うよう強いる点に、この政治体制の特長がある。(長谷部『憲法とは何か』P54より) 先に紹介した鈴木邦…

鮎川哲也『山荘の死 鮎川哲也コレクションⅠ』(出版芸術社)レビュー

山荘の死―鮎川哲也コレクション 挑戦篇〈1〉 (鮎川哲也コレクション (挑戦篇1))作者: 鮎川哲也出版社/メーカー: 出版芸術社発売日: 2006/06/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (10件) を見る 名作幾度目かの復活に、ひたすら涙するこの…

天樹征丸『東京ゲンジ物語』(講談社)レビュー

東京ゲンジ物語作者: 天樹征丸,田島昭宇出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/05/23メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (76件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル38 ワタク…

星浩 逢坂巌『テレビ政治』(朝日新聞社)・佐藤卓巳『メディア社会』(岩波新書)レビュー

本日のエピグラフ 「世論とは、論争的な争点に関して自分自身が孤立することなく公然と表明できる意見である。あるいは、世論とは孤立したくなければ、公然と表明しなくてはならない態度や行動である。」/大変シニカルな定義だが、それはこの「沈黙の螺旋」…

日本推理作家協会編『推理小説年鑑 ザ・ベストミステリーズ2006』(講談社)レビュー

ザ・ベストミステリーズ2006 (推理小説年鑑)作者: 日本推理作家協会出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/07/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る いくぜ。「独白するユニバーサル横メルカトル」“語り口”が“騙り口”に転化しなかった/「影…

日向旦『世紀末大(グラン)バザール』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ この滑稽と崇高、下品さと高貴、貪欲で繊細、卑劣で犠牲的、そしてすべての連鎖。この譬えようのないもの。それがモール。源さんの創った太平天國。(P270より) 世紀末大バザール 六月の雪作者: 日向旦出版社/メーカー: 東京創元社発売…