2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

真保裕一『最愛』(新潮社)レビュー

最愛作者: 真保裕一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/01/19メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (44件) を見る メロドラマ。“愛”におけるキリスト的なるものが、もひとつうまく見えてこないのだけれども。にしても、ここのところの力作…

森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(角川書店)レビュー

夜は短し歩けよ乙女作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/11/29メディア: 単行本購入: 40人 クリック: 2,165回この商品を含むブログ (981件) を見る 現在の若手作家で一番才能のある人だけれども、本作では語りのスイッチングがとても絶妙…

蒼井上鷹『ハンプティダンプティは塀の中』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 問題はそれだけではない。ここで本格的な争いを起こしたら、結果がどうなろうと、もうこの部屋に平和は戻ってこない。毎日の生活は地獄に変わる。それに耐えられるか。(「第三話 我慢大会は継続中」P167より) ハンプティ・ダンプティは…

島田荘司・監修『本格ミステリー・ワールド』(南雲堂)レビュー

本格ミステリー・ワールド〈2007〉作者: 島田荘司出版社/メーカー: 南雲堂発売日: 2007/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る 一連の「X論争」のことを、“サロン”と“実践”の違いかななんてホザいたワタクシめからすると、本書は“実践”…

北山猛邦『少年検閲官』(東京創元社)

少年検閲官 (ミステリ・フロンティア)作者: 北山猛邦出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2007/01/30メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 105回この商品を含むブログ (128件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス6 アレゴリ…

法月綸太郎『名探偵はなぜ時代から逃れられないのか』『複雑な殺人芸術』(講談社)レビュー

法月綸太郎ミステリー塾 国内編 名探偵はなぜ時代から逃れられないのか作者: 法月綸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/01/23メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (35件) を見る法月綸太郎ミステリー塾 海外編 複雑な殺人芸術作者: 法…

内田樹『下流志向』(講談社)レビュー

本日のエピグラフ 変な言い方ですけれど、かなり努力しないと(、、、、、、、、、)そこまで学力を低く(、、、、、、、、、)維持するのは(、、、、、、)むずかしい(、、、、、)と思うからです。(P16より) 下流志向──学ばない子どもたち、働かない…

竹本健治『キララ、探偵す』(文藝春秋)レビュー

キララ、探偵す。作者: 竹本健治,安森然出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/01/27メディア: 単行本 クリック: 33回この商品を含むブログ (53件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル34 珍…

早瀬乱『サロメ後継』(角川書店)レビュー

サロメ後継作者: 早瀬乱出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/12メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (10件) を見る ジラールの「欲望」論と、行動療法として“演劇”と、サロメ。なんとも豪奢な三大噺だけれども、力業でまとめた。「欲望」…

歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り』(講談社ノベルズ)レビュー

本日のエピグラフ 対して今回のゲームはリアルタイムに進行している。(中略)譬えれば、従来の探偵ごっこがスタジオレコーディングで、今回のはライヴ。(P342〜343より) 密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社ノベルス)作者: 歌野晶午出版社/メーカー: …

大塚英志『「捨て子」たちの民俗学』(角川選書)レビュー

本日のエピグラフ 今の我々は「血」や「遺伝」をただ比喩的に文化現象に当てはめることに慣れているが、しかし、それはある時期までは「比喩」ではなく科学的記述であり、実態を伴うものとしてなされたことを忘れてはならない。(P169より) 「捨て子」た…

有馬哲夫『日本テレビとCIA』(新潮社)レビュー

日本テレビとCIA 発掘された「正力ファイル」作者: 有馬哲夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/10/17メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 349回この商品を含むブログ (31件) を見る かねてよりCIAによる「日本愚民化計画」なんてネタは、東スポ等々の…

平石貴樹『スノーバウンド@札幌連続殺人』(南雲堂)レビュー

スノーバウンド@札幌連続殺人作者: 平石貴樹出版社/メーカー: (株)南雲堂発売日: 2006/11/15メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (15件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37…

古野まほろ『天帝のはしたなき果実』(講談社ノベルズ)レビュー

天帝のはしたなき果実 (講談社ノベルス)作者: 古野まほろ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/01/12メディア: 新書購入: 2人 クリック: 41回この商品を含むブログ (125件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッシ…

2006年下半期本格ミステリベスト5

例によって読み残しが多々あるのですが、時期的にここらで仕切るのが適当と思われ、慙愧の念に耐えつつも、2006ミステリ年度下半期(2006年5月〜10月)の私的ベスト5をば開陳する次第でございます。凶鳥の如き忌むもの (講談社ノベルス)作者: 三津田信三…

清水義範『福沢諭吉は謎だらけ』(小学館)レビュー

福沢諭吉は謎だらけ。心訓小説作者: 清水義範出版社/メーカー: 小学館発売日: 2006/09/16メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る 今もなお世に広く流布する「福沢心訓」。この“心訓”は、福沢諭吉の手によるものではない…

岸田るり子『天使の眠り』(徳間書店)レビュー

本日のエピグラフ 「傷は深いの?」/「深いというよりも、複雑なんだ」/「複雑骨折みたいなもの?」/「(中略)治るのに時間がかかりそうだ」(P305〜306より) 天使の眠り作者: 岸田るり子出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2006/12メディア: 単行本 …

野崎六助『オモチャ箱 安吾探偵控』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 坂口安吾はそれを、他人の言葉であるかのように語り、かつ自分の耳に聞いていた。(中略)彼のなかのからくり仕掛けがどうしたはずみにか動きだしたといえばよほど事実に近いのだけれど、ではそのからくり仕掛けとはそもそも何ぞ。(後略)(P…