2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

川中大樹『ラストボール』(光文社)レビュー

ラストボール作者: 川中大樹出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/03/16メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る 受賞後第一作目は、デビュー作と趣きを変えて、ストレートなスポーツ・ミステリ。各登場人物の面立ちがくっきりとしてい…

前川裕『アトロシティー』(光文社)レビュー

アトロシティー作者: 前川裕出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/02/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 受賞後第一作目。おぞましい暴力の偏在する世界を描いて、読者をイヤーな気分にさせるが、結末はミステリーとしてマトモに収斂する…

中山七里『切り裂きジャックの告白』(角川書店)レビュー

切り裂きジャックの告白作者: 中山七里出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/04/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る ここのところ、同じ題材を扱ったものをえらく読んでいるのだけれども、どういうブームなんだろう。ということはさて…

水生大海『熱望』(文藝春秋)レビュー

熱望作者: 水生大海出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/04メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 人生の転落譚という感じがしないのは、作者の鋭利な視点が、人間の欲得の交錯を剔抉しているからで、つまりは、(反)教養小説という枠組みを外してい…

有栖川有栖『幻坂』(メディアファクトリー)レビュー

幻坂 (幽BOOKS)作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2013/04/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 本格ミステリ以外では、結構、融通無碍に振る舞っている印象がある作者だけれども、改めて怪談集を上梓するとな…

月原渉『月光蝶 NCIS特別捜査官』(新潮社)レビュー

本日のエピグラフ 「今回の一連の事件では、基地の内と外を隔てる観念の壁が、内外の正義をも分かちました。それは真実から遠ざかる術であって、真実に寄りそう方法ではありません。(…)」(p.243) 月光蝶―NCIS特別捜査官作者: 月原渉出版社/メーカー: 新潮社…

藤田宜永『風屋敷の告白』(新潮社)レビュー

風屋敷の告白作者: 藤田宜永出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/05/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 竹花シリーズと対をなすような、バディものの登場。本作の前日談にあたる短編集は未読だけれども、これからでも十分愉しめる。設定…

法月綸太郎『犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題』(光文社カッパ・ノベルズ)レビュー

本日のエピグラフ 「論理的な一貫性という意味では、彼女の思考と行動は完全に筋が通っているからだ。(…)」/(…)/「論理的一貫性というより、一種の循環論法ですかね。(…)」(「【魚座】引き裂かれた双魚」p.267) 犯罪ホロスコープII 三人の女神の問題 (カッ…

東川篤哉『私の嫌いな探偵』(光文社)レビュー

私の嫌いな探偵作者: 東川篤哉出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/03/16メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 2回この商品を含むブログ (20件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39…

黒川博行『落英』(幻冬舎)レビュー

落英作者: 黒川博行出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2013/03/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る いまや悪徳警官もので異彩を放つ存在となった著者だが、「薬対」刑事の捜査過程のリアルなアプローチは、初期の作風を想起させた。そこから…

2013年5月版

特Qシリーズのいい読者ではなかったけれども、第四作目でやっとノレました。復讐のドラマをサブプロットに据えているのが、アイリッシュ=ウールリッチファンにはたまらないと思う。『ラッフルズ』はパロディというよりジョーク小説で、ある種の文学精神が…