2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

近藤史恵『エデン』(新潮社)レビュー

エデン作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/03メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 75回この商品を含むブログ (107件) を見る 作者のある意味でクールな文体が、スポーツ小説としての格を一段上げているのは間違いない。というか、はっきり…

山口芳宏『学園島の殺人』(講談社ノベルズ)レビュー

学園島の殺人 (講談社ノベルス)作者: 山口芳宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/02/05メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 19回この商品を含むブログ (14件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッショ…

古野まほろ『探偵小説のためのゴシック「火剋金」』 (講談社ノベルス)レビュー

探偵小説のためのゴシック 「火剋金」 (講談社ノベルス)作者: 古野まほろ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/01/08メディア: 新書 クリック: 6回この商品を含むブログ (15件) を見る シリーズの最終巻。作者のギミックたっぷりの語り口が、ラノベ的凡庸さ…

山口芳宏『100人館の殺人』(東京創元社)レビュー

100人館の殺人作者: 山口芳宏出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/03/24メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (13件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37 なんだ、赤川…

道尾秀介『光媒の花』(集英社)レビュー

光媒の花作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 集英社発売日: 2010/03/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 32回この商品を含むブログ (49件) を見る 作者がこういう路線に行ってしまうのは、ちょっと淋しい気がしないでもないけれども。ただ得るものはあった…

笹本稜平『越境捜査2  挑発』(双葉社)レビュー

越境捜査2 挑発作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2010/02/16メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (2件) を見る 続編は期待に違わぬサスペンスフルな力作。パチンコ業界の帝王が手を染めた悪事を追うために、ひょんなことから…

香納諒一『虚国』(小学館)レビュー

虚国作者: 香納諒一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/02/26メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る 個人的に近年の作者のもののなかでは、一番いい。やっぱりこのひとは正統的なハードボイルド作家なのだなあと思う。小説の巧…

大沢在昌『ブラックチェンバー』(角川書店)レビュー

ブラックチェンバー作者: 大沢在昌出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/03/26メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を含むブログ (6件) を見る 『欧亜純白 ユーラシアホワイト』の問題意識を先鋭化させた大作。作者は現在…

伊坂幸太郎『オー!ファーザー』(新潮社)レビュー

オー!ファーザー作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/03/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 124回この商品を含むブログ (165件) を見る じゅうぶん愉しめました。あとがきにあるとおり、この作品が作者のうちでそれまでの作風に区切り…

ロバート・スキデルスキー『なにがケインズを復活させたのか? 』(日本経済新聞出版社)レビュー

なにがケインズを復活させたのか?作者: ロバート・スキデルスキー,山岡洋一出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2010/01/21メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 45回この商品を含むブログ (13件) を見る 「経済学を理解する歴史家」による、資本主…

村田沙耶香『星が吸う水』(講談社)レビュー

星が吸う水作者: 村田沙耶香出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/02/27メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (9件) を見る 性愛を性行為に還元する視座は、たとえば富岡多恵子のように性に対する男性的幻想を剥ぎ取るのに行使されるのではな…

門前典之『屍の命題』(原書房)レビュー

屍(し)の命題 (ミステリー・リーグ)作者: 門前典之出版社/メーカー: 原書房発売日: 2010/02/19メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 156回この商品を含むブログ (12件) を見る ミステリアス8 アクロバット9 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション…

三崎亜記『コロヨシ!! 』(角川書店)レビュー

コロヨシ!!作者: 三崎亜記出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/02/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (44件) を見る 作者のイメージの喚起の仕方は、基本的に短編向きなのではないか、と思う…

乾ルカ『メグル』(東京創元社)レビュー

メグル作者: 乾ルカ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/02/24メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (17件) を見る 推理小説年鑑に収録された「モドル」だけが毛色が違ってたんですね。あとは奇妙な味系の「アタエル」が、作者の進境を…

桐野夏生『ナニカアル』(新潮社)レビュー

ナニカアル作者: 桐野夏生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/02/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 49回この商品を含むブログ (40件) を見る いやー、ぐいぐい読ませるよなあ。林芙美子の臆面のなさというより、時代の奇妙な熱気というのを彼女に体…

本田由紀『教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ』 (ちくま新書)レビュー

教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ (ちくま新書)作者: 本田由紀出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/12/01メディア: 新書購入: 13人 クリック: 286回この商品を含むブログ (63件) を見る 序章の「あらかじめの反論」で、すべて言い尽くされてい…

菅原琢『世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか』 (光文社新書)レビュー

世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書)作者: 菅原琢出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/12/16メディア: 新書購入: 12人 クリック: 458回この商品を含むブログ (69件) を見る 同じ新書で出ている吉田徹『二大政党制批判論』は、言わんとするこ…

鏑木蓮『救命拒否』(講談社)レビュー

救命拒否作者: 鏑木蓮出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/02/11メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (2件) を見る テーマの設定と掘り下げ方がいい。捜査小説のフォーマットに押し込めたのは、窮屈だったかな。もう少し重厚さを追求できた…

光原百合『扉守(とびらもり)』(文藝春秋)レビュー

扉守(とびらもり)作者: 光原百合出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/11/25メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (16件) を見る ファンタジーと怪談のあわいをいった作品集。表題作と「写想家」が個人的に好み。土着的な要素が沈子となっ…

太田忠司『甘栗と戦車とシロノワール』(角川書店)レビュー

甘栗と戦車とシロノワール作者: 太田忠司,ミギー出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/02/26メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (10件) を見る しばらくぶりの続編。ハードボイルドのパロディ的な意味合い…