2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

テロルの考現学

北村薫『鷺と雪』が直木賞を結果的に受賞したのは、背景に政治テロを扱っていたからかもしれない。時代の空気を読んだ*1、ってことだけれども、そう思うのは、長山靖生『テロとユートピア』、中島岳志『朝日平吾の鬱屈』と、昭和維新テロに至る精神史とでも…

山口芳宏『妖精島の殺人 上・下』(講談社ノベルス)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)でも現在のテクノロジーなら、自分が生きているうちに理想郷をつくることも可能だ。(…)」(上巻 P166より) 妖精島の殺人(上) (講談社ノベルス)作者: 山口芳宏出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/08メディア: 単行本 クリック:…

東谷暁『エコノミストを格付けする』 (文春新書)レビュー

エコノミストを格付けする (文春新書)作者: 東谷暁出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/09メディア: 新書購入: 3人 クリック: 77回この商品を含むブログ (26件) を見る 帰ってきたエコノミスト閻魔帳企画。今回は、未曾有の繁栄を謳歌していた金融=新自…

原田泰『日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学』(新潮選書)レビュー

新潮選書 日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学作者: 原田泰出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/09/26メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 275回この商品を含むブログ (53件) を見る データも方便、という名言を吐いたのは、パオロ・マ…

犬走文彦『反経済学講座』(新潮社)レビュー

反経済学講座作者: 犬走文彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/08/20メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 読んでる途中で何か似たようなタイトルの本のことがしきりに頭に浮かんできましたが、たぶん気のせいでしょう。金子…

相沢沙呼『午前零時のサンドリヨン』(東京創元社)レビュー

午前零時のサンドリヨン作者: 相沢沙呼出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2009/10/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 173回この商品を含むブログ (73件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トー…

鯨統一郎『空海 七つの奇蹟』(祥伝社ノン・ノベル)レビュー

空海 七つの奇蹟 (ノン・ノベル)作者: 鯨統一郎出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2009/08/29メディア: 新書購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータ…

貫井徳郎『後悔と真実の色』(幻冬舎)レビュー

後悔と真実の色作者: 貫井徳郎出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (27件) を見る 久しぶりの警察小説は、大満足。それぞれの刑事たちの肖像がくっきりとしているけれども、必要以上にア…

仲正昌樹『なぜ「自由」は不自由なのか 現代のリベラリズム講義』(朝日新聞出版)レビュー

なぜ「自由」は不自由なのか 現代のリベラリズム講義作者: 仲正昌樹出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/08/20メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (5件) を見る 著者の入信時代を綴ったものも刊行されているが、その前に著者の最新…

伊集院光『のはなし に』(宝島社)レビュー

のはなしに作者: 伊集院光出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2009/10/01メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 162回この商品を含むブログ (103件) を見る 伊集院光の生活と意見ならぬ異見の第二集。読み終わるのが、とっても惜しかったですが、再読再々読に耐…

小島寛之『使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理』(ちくま新書)レビュー

使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理 (ちくま新書)作者: 小島寛之出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/10/01メディア: 新書購入: 78人 クリック: 1,969回この商品を含むブログ (40件) を見る 『現代思想』のケインズ特集でのインタビ…

辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』(講談社)レビュー

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 93回この商品を含むブログ (103件) を見る 母と娘の相克という斉藤環的主題を、知ってか知らずか、みごとに具現…

初野晴『初恋ソムリエ』(角川書店)レビュー

初恋ソムリエ作者: 初野晴出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/10/02メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 44回この商品を含むブログ (69件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッ…

倉阪鬼一郎『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』(講談社ノベルス)レビュー

三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 (講談社ノベルス)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/08メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 104回この商品を含むブログ (33件) を見る こういう作品こそ、泡坂妻夫の追悼に相応しいですよね。倉阪さん…

詠坂雄二『電氣人間の虞』(光文社)レビュー

電氣人?の虞作者: 詠坂雄二出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/09/18メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 40回この商品を含むブログ (19件) を見る “本格”におけるシニカル路線を突き進む作者による今作は、前作に入れ込んだひとなら、間…

お詫び 『2010本格ミステリ・ベスト10』読者投票の締め切り日を11月6日24時と当ブログに載せましたが、正しくは11月5日24時だったそうです。くわしくは、こちらを参照されてください。 誤った情報を、再確認もせず載せ続けてしまったこと、…

麻生荘太郎『闇の中の猫』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「ぼくには、この不一致が犯人の行動を暗示しているような気がするのです。それに犯人が『狂った』シリアル・キラーであったとしても、彼なりの論理が存在するはずです」(P238より) 闇の中の猫 (ミステリ・フロンティア)作者: 麻生荘太…

愛川晶『うまや怪談  神田紅梅亭寄席物帳』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ 「『厩火事』っていえば、ほら、有名なマクラがあるでしょう」/(…)/「『だって、寒いんだもん』てやつ」(「うまや怪談」P150より) うまや怪談 (神田紅梅亭寄席物帳) (ミステリー・リーグ)作者: 愛川晶出版社/メーカー: 原書房発売日:…

深水黎一郎『花窗玻璃  シャガールの黙示 』(講談社ノベルス)レビュー

花窗玻璃 シャガールの黙示 (講談社ノベルス)作者: 深水黎一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (21件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレ…