2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

鯨統一郎『冷たい太陽』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ 「これは空想で書かれたものじゃない。すべて本当のことだ」/(…)/「小説だったら探偵社じゃなく出版社に送るだろ」(p.191) 冷たい太陽 (ミステリー・リーグ)作者: 鯨統一郎出版社/メーカー: 原書房発売日: 2014/06/13メディア: 単行…

近藤史恵『胡蝶殺し』(小学館)レビュー

胡蝶殺し作者: 近藤史恵出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (10件) を見る 作者の十八番という期待値込みで読むと、それは叶えられるが、それよりも思わぬところにカタルシスを企図されて、意表を突かれた感が…

西澤保彦『下戸は勘定に入れません』(中央公論新社)レビュー

下戸は勘定に入れません作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/05/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る いかにも作者らしい特殊論理の構築の仕方と、それによって巻き起こる悲喜劇の演出ぶり。作者が、緻密な論理的展開…

2014年上半期本格ミステリベスト5

2014年上半期(2013年11月〜2014年4月)のまとめだけれども、今年に入ってから読書の比重を変えて、ミステリーのウェイトを半減させたのだった。それで翻訳ものの数を増やしたので、日本ミステリの読書量は激減している。が、それでもベスト5を組めるだ…

麻見和史『聖者の凶数 警視庁捜査一課十一係』 (講談社ノベルス)レビュー

聖者の凶数 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)作者: 麻見和史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/12/05メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見る シリーズ第一作を取り上げて以来だけれども、本作も含めて既刊五冊はいずれも高いアベレージを…

2014年6月版

まずはボルトンの新作で、ホラーテイストたっぷりの味付けに、満腹満足。このひと、もっとコワいもの書いてくれそうな気がする。と、今月この後読んだ本がモノホンのホラーだったり(笑)、いろいろとヘンな物件にぶち当たったこともあって、メイスンに癒さ…

森晶麿『COVERED  M博士の島』(講談社)レビュー

COVERED M博士の島作者: 森晶麿出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/04/16メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る まあ、ミステリーというより、ホラーなんでしょう。設定が極端な分、サスペンスが小説を盛り上げるには至らないけれども、作者…

法坂一広『最終陳述』(宝島社)レビュー

最終陳述作者: 法坂一広出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2014/04/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 作者の本領発揮であろう力作で、従来型の法廷ミステリの間隙を突くような出来。性善説的な物語のまとめ方を、トリッキーな手際で実現さ…

真梨幸子『人生相談。』(講談社)レビュー

人生相談。作者: 真梨幸子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/04/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (14件) を見る 面白い。露悪系ミステリで我が道を行く作者が、あからさまなまでにギミックを利かせると、本当に小説全体がお化け屋敷っぽくなると…

山下貴光『イン・ザ・レイン』(中央公論新社)レビュー

イン・ザ・レイン作者: 山下貴光出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/04/09メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 作者の前作『シャンプーが目に沁みる』もそうだけれども、小説の上手さ、安定感は抜群なのだが、物語にどこか予定調和的なニュ…