2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

小島正樹『十三回忌』(原書房)レビュー

本日のエピグラフ それにしてもあのようなことが起きるとは思わなかった。邪悪な神が現出せしめた、あれは冷ややかな奇跡だったのだろうか。(P49より) 十三回忌 (ミステリー・リーグ)作者: 小島正樹出版社/メーカー: 原書房発売日: 2008/10/10メディア: …

佐藤卓己『輿論と世論 日本的民意の系譜学』(新潮選書)レビュー

本日のエピグラフ 格差社会が進み、「想像の共同体」が危機に瀕してい二十一世紀の日本において、世論調査はこれからも同質性と均質性を再生産し続けることができるのだろうか。(P99より) 輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)作者: 佐藤卓己出版…

倉阪鬼一郎『紙の碑に泪を』(講談社ノベルス) レビュー

紙の碑に泪を (講談社ノベルス)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/09/05メディア: 新書 クリック: 10回この商品を含むブログ (22件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル37…

初野晴『退出ゲーム』(角川書店)レビュー

退出ゲーム作者: 初野晴出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/10/30メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 37回この商品を含むブログ (112件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 ト…

笹本稜平『素行調査官』(光文社)レビュー

素行調査官作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/10/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (10件) を見る 警察内部のアウトロー的ポジションを与えられたものたちの活躍を描くという点で、昨年の『越境捜査』のスタ…

海野碧『真夜中のフーガ』(光文社)レビュー

真夜中のフーガ作者: 海野碧出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/10/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 饒舌を恐れることなしに紡ぎ出される文章は、その実テンポよく、すぐに小説世界に引き込まれる。レトリシズムにもっと傾注すれば、…

伊坂幸太郎『モダンタイムス』(講談社)レビュー

モダンタイムス (Morning NOVELS)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/10/15メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 134回この商品を含むブログ (320件) を見る 我らがイサカ、“システム”とたたかう! というよりかは、このひとがミステリか…

大倉崇裕『生還  山岳捜査官・釜谷亮二』(山と溪谷社)

生還 山岳捜査官・釜谷亮二作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 山と溪谷社発売日: 2008/08/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る いかにもってな感じの山岳ミステリで、満足。シチュエーションと謎解きの要素の絡まり具合の妙が愉しめる前半二…

鈴木謙介『サブカル・ニッポンの新自由主義』(ちくま新書)レビュー

サブカル・ニッポンの新自由主義―既得権批判が若者を追い込む (ちくま新書)作者: 鈴木謙介出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/10メディア: 新書購入: 11人 クリック: 185回この商品を含むブログ (99件) を見る 今、時代のモードは紛れもなく新自由主義批…

パオロ・マッツァリーノ『ほろ苦教育劇場 コドモダマシ』(春秋社)レビュー

コドモダマシ―ほろ苦教育劇場作者: パオロマッツァリーノ,Paolo Mazzarino出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2008/09/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 25回この商品を含むブログ (33件) を見る 「数々の矛盾を抱えながら、答のない世界で生き延びること…

曽根圭介『あげくの果て』(角川書店)レビュー

あげくの果て作者: 曽根圭介出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/10/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (22件) を見る 表題作は完全に筒井康隆『銀齢の果て』への返歌ですね。「最後の言い訳」のグロテ…

長岡弘樹『傍聞き』(双葉社)レビュー

傍聞き作者: 長岡弘樹出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (44件) を見る 冒頭の一編は更生保護施設長だが、それも含め、セキュリティにかかわる職に奉ずる者たちの特別な事件を描いた佳品…

辻村深月『ロードムービー』(講談社)レビュー

ロードムービー作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/10/24メディア: 単行本 クリック: 18回この商品を含むブログ (69件) を見る 完全に児童文学・ヤングアダルト系のもの。子どもや若年世代の心理の繊細なところを描くのは、自家薬籠中のもの…

古川日出男『聖家族』(集英社)レビュー

聖家族作者: 古川日出男出版社/メーカー: 集英社発売日: 2008/09/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 68回この商品を含むブログ (213件) を見る 近世近代現代現在。空間(地理)的、時間(系譜)的、ふたつの次元を交錯・攪乱させて、ありえない/ありうべき…

三浦俊彦『戦争論理学 あの原爆投下を考える62問』(二見書房)レビュー 

戦争論理学 あの原爆投下を考える62問作者: 三浦俊彦出版社/メーカー: 二見書房発売日: 2008/09/01メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 4人 クリック: 34回この商品を含むブログ (23件) を見る 加藤尚武が対テロ戦争中(って、今もか)に『戦争倫理学』を世…

東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ 「君はまだ科学というものがわかってないな」/(…)/「神秘的なものを否定するのが科学の目的じゃない。(…)」(「第四章 指標す」P240より) ガリレオの苦悩作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/10/23メディア: 単行本…

東野圭吾『聖女の救済』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ 「だけど僕は科学者だからね。心理的に不自然な説と物理的に不可能な説では、どっちを選ぶかと訊かれれば、多少抵抗はあっても前者を選ばざるをえない。(…)」(P196より) 聖女の救済作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 200…

麻見和史『真夜中のタランテラ』(東京創元社)レビュー

本日のエピグラフ 「再生はあきらめて、機械に置き換えるということですか。それはつまり、義手や義足と同じ発想ですね? (…)」(P197より) 真夜中のタランテラ (ミステリ・フロンティア)作者: 麻見和史出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2008/10メディ…