2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

矢作俊彦『エンジン/ENGINE』(新潮社)レビュー

エンジン/ENGINE作者: 矢作俊彦出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05/31メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (8件) を見る 意味深長な献辞で始まる、十八番のハードアクション。劇画調の場面展開にスノビッシュな会話。意識的に…

石持浅海『ブック・ジャングル』(文藝春秋)レビュー

ブック・ジャングル作者: 石持浅海出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/05メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (16件) を見る 新奇な設定の料理の仕方に、作者の冴えが見られる。ある意味人を食ったような面があるけれども、徐々に不気味…

西澤保彦『必然という名の偶然』(実業之日本社)レビュー

必然という名の偶然作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2011/05/19メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (9件) を見る この作者ならではの知的アクロバットの堪能できる傑作短編集。論理的展開を斜め上どころかありえない方…

東野圭吾『真夏の方程式』(文藝春秋)レビュー

真夏の方程式作者: 東野 圭吾出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/06/06メディア: ハードカバー購入: 7人 クリック: 74回この商品を含むブログ (121件) を見る ガリレオシリーズ最新作は、きっちりと本格ミステリテイストを残しつつ、家族の内部の出来事…

2011年上半期本格ミステリベスト5

2010年11月〜2011年4月までの本格ミステリは、上半期としては、久々に充実してました。個人的には、『謎ディナ』のミリオンセラーのあとで、どれだけのものを生み出せるか、本格作家の踏ん張りを期待したいです。 システィーナ・スカル作者: 柄刀一出版社/メ…

中山七里『連続殺人鬼 カエル男』(宝島社文庫)レビュー

連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)作者: 中山七里出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2011/02/04メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 46回この商品を含むブログ (44件) を見る 受賞デビュー作と同時に投じられた本作と、近作を読むと、バイオレンスシーンに西村…

獅子宮敏彦『天命龍綺 大陸の魔宮殿』(講談社ノベルズ)レビュー

天命龍綺 大陸の魔宮殿 (講談社ノベルス)作者: 獅子宮敏彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/04/07メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る 波瀾万丈の運命に翻弄される少年少女の成長物語という主軸と、「天命」をめぐる政治的ド…

奥泉光『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』(文藝春秋)レビュー

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活作者: 奥泉光出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/05メディア: 単行本 クリック: 90回この商品を含むブログ (60件) を見る なんというか、文章それ自体を読んで、自然と笑えてしまうっていうのは、やっぱり幸福なこ…

辻村深月『オーダーメイド殺人クラブ』(集英社)レビュー

オーダーメイド殺人クラブ作者: 辻村深月出版社/メーカー: 集英社発売日: 2011/05/26メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 46回この商品を含むブログ (70件) を見る 思春期の少年少女の危うさを、という通俗型を避けられているかどうかこそ危うい、というか…

藤木稟『バチカン奇跡調査官 闇の黄金』(角川ホラー文庫)レビュー

バチカン奇跡調査官 闇の黄金 (角川ホラー文庫)作者: 藤木稟,THORES柴本出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2011/02/25メディア: 文庫 クリック: 19回この商品を含むブログ (15件) を見る 個人的に気に入っているシリーズだが、…

沢村凛『タソガレ』(講談社)レビュー

タソガレ作者: 沢村凜出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/11/25メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る 日常の謎系のありうべき方向性を模索した。それぞれが内にいる“世界”のずれが、日常における混乱と“他者”の受容、そしてそ…

小島正樹『龍の寺の晒し首』(南雲堂)レビュー

本日のエピグラフ 「探偵さんだ。看板は掲げていないが」/「探偵なの?」/「こうみえて、割と名探偵なんです」(p.104) 龍の寺の晒し首 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)作者: 小島正樹出版社/メーカー: 南雲堂発売日: 2011/03/08メディア: 単行本 …

大沢在昌『絆回廊 新宿鮫X 』(光文社)レビュー

絆回廊 新宿鮫?作者: 大沢在昌出版社/メーカー: 光文社発売日: 2011/06/03メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (39件) を見る シリーズ開始から二十余年。記念すべき第十作で、ターニングポイントを迎える。たぶん、現在の人間の…