2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

真保裕一『アマルフィ』(扶桑社)レビュー

アマルフィ作者: 真保裕一出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2009/04/28メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (52件) を見る ひさびさにストレートなサスペンス。イタリアでの誘拐事件の収拾にあたる外交官が、政治テロの陰謀に巻き…

橋爪大三郎『裁判員の教科書』(ミネルヴァ書房)レビュー

裁判員の教科書作者: 橋爪大三郎出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2009/06/05メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 37回この商品を含むブログ (8件) を見る 名社会学者が一介の「しろうと」として、「裁判員をやることになってびっくりして、当惑して…

橋本治『橋本治という考え方 What kind of fool am I 』(朝日新聞出版)レビュー

橋本治という考え方 What kind of fool am I作者: 橋本治出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2009/04/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (20件) を見る 飄々とした筆致で、「文学」とそれをめぐる考察を綴ったエッセー集。…

北沢栄『亡国予算 闇に消えた「特別会計」』(実業之日本社 )レビュー

亡国予算―闇に消えた「特別会計」作者: 北沢栄出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2009/04/28メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 16回この商品を含むブログ (11件) を見る 一昨年よりクローズアップされてきた「特別会計」という存在――例えば、2008年度…

水原秀策『偽りのスラッガー』(双葉社)レビュー

偽りのスラッガー作者: 水原秀策出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2009/03/18メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見る 語り口がうまいので、プロ野球選手探偵という設定も違和感がない。狂言回しから、ある種の自己救済のストーリー…

水原秀策『裁くのは僕たちだ』(東京創元社)レビュー

裁くのは僕たちだ (ミステリ・フロンティア)作者: 水原秀策出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2009/05/22メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (11件) を見る 裁判員もののハードボイルドからのアプローチ。真相が急転直下に判明する憾みは…

中町信さん逝去

徳間文庫版『高校野球殺人事件』解説(結城信孝)より (…) 「本格という言葉の意味を、意外に知らない人が多いんですね。これは出版社サイドに問題があって、本格推理のジャンルに入らない作品を本格物扱いにしたり、またその逆があったりで、あいまいになって…

大倉崇裕『オチケン、ピンチ!!』(理論社)レビュー

オチケン、ピンチ!! (ミステリーYA!)作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 理論社発売日: 2009/05メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (16件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39…

恩田陸『訪問者』(祥伝社)レビュー

訪問者作者: 恩田陸出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2009/05/14メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (66件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル39 定番的クローズドな設定な…

桐野夏生『IN』(集英社)レビュー

IN作者: 桐野夏生出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/05/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 44回この商品を含むブログ (54件) を見る 個人的には、作者の近年の最高作と言ってしまいたい。臆面もない“自由”の追求という主題を期待する向きには手ごた…

奥村宏『徹底検証 日本の五大新聞』(七つ森書館)レビュー

徹底検証 日本の五大新聞作者: 奥村宏出版社/メーカー: 七つ森書館発売日: 2009/03/03メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 59回この商品を含むブログ (8件) を見る 株式会社批判、「法人資本主義」論を唱えて、この分野での代表的存在である著者が、株式会…

斎藤慶典『知ること、黙すること、遣り過ごすこと  存在と愛の哲学』(講談社)レビュー

知ること、黙すること、遣り過ごすこと 存在と愛の哲学作者: 斎藤慶典出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/01/14メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 私たちの生きる現実こそ、「表現」そのものであるとの認識からなされた、…

倉阪鬼一郎『遠い旋律、草原の光』(早川書房)レビュー

遠い旋律、草原の光 (ハヤカワ・ミステリワールド)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る 堂々たる書きっぷりに満足です。音楽と絵画、ふたつの芸術における…

道尾秀介『龍神の雨』(新潮社)レビュー

龍神の雨作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/05メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (68件) を見る 心理的なすれ違いの描き方がますます洗練されて、間然するところない。このディスコミュニカティブな要素を、家族テーマ…

霞流一『ロング・ドッグ・バイ』(理論社)レビュー

ロング・ドッグ・バイ (ミステリーYA!)作者: 霞流一出版社/メーカー: 理論社発売日: 2009/04メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (16件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル38…

中村文則『世界の果て』(文藝春秋)レビュー

世界の果て作者: 中村文則出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/05メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (13件) を見る 短編であるぶん、アレゴリーの志向性があからさまだけれども、上手い具合に“無意識”の領域に文章による測鉛を降ろすこ…

川島博之『「食糧危機」をあおってはいけない』(文藝春秋)レビュー

「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks)作者: 川島博之出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/03/26メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 69回この商品を含むブログ (36件) を見る 私自身は、「食糧危機」だなんだかんだとなんて騒がれても…

樋口有介『捨て猫という名前の猫』(東京創元社)レビュー

捨て猫という名前の猫 (創元クライム・クラブ)作者: 樋口有介出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2009/03メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (11件) を見る このシリーズの魅力って、結構セクシャリティに対するある種のイノセントな意識…

小路幸也『マイ・ブルー・ヘブン―東京バンドワゴン』(集英社)レビュー

マイ・ブルー・ヘブン (4) (東京バンドワゴン)作者: 小路幸也出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/04/24メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (32件) を見る 好評シリーズの番外編。語り手が物語の当事者です。本編と対照的にアクションシー…

田中久文『丸山眞男を読みなおす』(講談社選書メチエ)レビュー

丸山眞男を読みなおす (講談社選書メチエ)作者: 田中久文出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/03/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (11件) を見る 戦後民主主義、というのに限らず、今もなお、おそらくは現在の保守主義運動…

田山朔美 『霊降ろし』(文藝春秋)レビュー

霊降ろし作者: 田山朔美出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/04メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見る この世において異質な存在を、暗喩的というよりは、媒介者として扱ったのが、才気を感じさせるところ。表題作は、主人公…