2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

麻耶雄嵩『隻眼の少女』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ 要するに静馬はまんまと騙されたわけだ。だが不快感はなかった。むしろ幼い頃からの修練により、御陵みかげとして後天的に会得しなければならない厳しさと業の深さを感じた。(P347より) 隻眼の少女作者: 麻耶雄嵩出版社/メーカー: 文藝…

倉知淳『こめぐら』『なぎなた』(東京創元社)レビュー

こめぐら (倉知淳作品集)作者: 倉知淳出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/09/29メディア: 単行本 クリック: 32回この商品を含むブログ (40件) を見るなぎなた (倉知淳作品集)作者: 倉知淳出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/09/29メディア: 単行…

伊坂幸太郎『マリアビートル』(角川書店)レビュー

マリアビートル作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/09/23メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 168回この商品を含むブログ (161件) を見る タイトルにこめられた意味は、物語のクライマックスで示唆される…

大崎梢『背表紙は歌う』(東京創元社)レビュー

背表紙は歌う (創元クライム・クラブ)作者: 大崎梢出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/09/11メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (29件) を見る シリーズ第二弾は、ミステリーというより、出版流通業界の内情の物珍しさをストレート…

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』(小学館)レビュー

本日のエピグラフ 「いえ、わたくしはけっしてお嬢様のことを馬鹿にしたつもりは……」/(…)「確かにあなたはあたしを馬鹿にしなかった。だって、あなたはあたしをアホと呼んだんですもの! (…)」(「第一話 殺人現場では靴をお脱ぎください」P27より) 謎解…

西本秋『向日葵は見ていた』(双葉社)レビュー

向日葵は見ていた作者: 西本 秋出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2010/07/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る サスペンス・スリラーとして上々の出来映え。道具立てを虚仮威しに終わらせぬディテールの確かさがある反面、…

伊与原新『お台場アイランドベイビー』(角川書店)レビュー

お台場アイランドベイビー作者: 伊与原新出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/09/25メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (9件) を見る 選評では、ちょい辛目ですけれども、新人賞受賞作としては、じゅうぶ…

乾くるみ『セカンド・ラブ』(文藝春秋)レビュー

セカンド・ラブ作者: 乾くるみ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 49回この商品を含むブログ (42件) を見る 「『イニシエーション・ラブ』の衝撃、ふたたび。」って、もう、『イニ・ラブ』と言うだけで、通じちゃ…

香納諒一『熱愛』(PHP研究所)レビュー

熱愛作者: 香納諒一出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2010/09/08メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る 作者のアベレージを示す小説だけれども、当然読み応え十分。殺し屋の正体をめぐる追跡行は、それぞれの過去への落とし前…

本城雅人『嗤うエース』(幻冬舎)レビュー

嗤うエース作者: 本城雅人出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2010/08/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る 前作『スカウト・デイズ』は、カリスマ・スカウトマンの造型が劇画的で、球界のウラ話を下敷きにしたと思われる興味深…

真保裕一『ブルー・ゴールド』(朝日新聞出版)レビュー

ブルー・ゴールド作者: 真保裕一出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2010/09/07メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (15件) を見る 作者の本領発揮の力作。謀略のパズルを描かせたら、やっぱり、見せ方、間の持たせ方が、このひと上手いな…

酒井啓子『<中東>の考え方』(講談社現代新書)

の考え方 (講談社現代新書)" title="の考え方 (講談社現代新書)">の考え方 (講談社現代新書)作者: 酒井啓子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/05/19メディア: 新書購入: 6人 クリック: 65回この商品を含むブログ (28件) を見る 西洋近代の覇権主義に翻弄…

小路幸也『さくらの丘で』(祥伝社)レビュー

さくらの丘で作者: 小路幸也出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2010/08/31メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (13件) を見る 終戦直後の悲哀と希望を語る“戦後”小説のフォーマットを踏襲して、しかし軽やかさを維持しているのはさす…