2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

法月綸太郎『しらみつぶしの時計』(祥伝社)レビュー

しらみつぶしの時計作者: 法月綸太郎出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2008/07/23メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 44回この商品を含むブログ (66件) を見る パズルからパスティシュから奇妙な味からファンタジーから、どこを切っても、綸太郎印の綸太郎…

完璧の母

宇野常寛『ゼロ年代の想像力』は、「九五年の思想」〜「セカイ系」のラインを葬送する企図の過剰性によって特徴づけられている、と取りあえず見られるのは仕方のないところで、宇野が目論む、ゼロ年代的「決断主義」を「むしろ祝福し、めいっぱい楽しみなが…

内田樹『こんな日本でよかったね』(バジリコ)レビュー

こんな日本でよかったね─構造主義的日本論 (木星叢書)作者: 内田樹出版社/メーカー: バジリコ発売日: 2008/07/12メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 14人 クリック: 114回この商品を含むブログ (67件) を見る 著者の最新ブログ本のコンセプトは、「構造…

芝健介『ホロコースト』(中公新書)レビュー

ホロコースト―ナチスによるユダヤ人大量殺戮の全貌 (中公新書)作者: 芝健介出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/04/01メディア: 新書購入: 16人 クリック: 135回この商品を含むブログ (31件) を見る いや、やっぱり、重い。もう、「まえがき」を読ん…

木村純二『折口信夫――いきどほる心 』(講談社)レビュー

折口信夫――いきどほる心 (再発見 日本の哲学)作者: 木村純二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/05/27メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 8回この商品を含むブログ (9件) を見る 近代日本における国家神道、神道の「道徳」化(=「憲法に拠る自由信教を超…

有栖川有栖『妃は船を沈める』(光文社)レビュー

妃は船を沈める作者: 有栖川有栖出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/07/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 41回この商品を含むブログ (89件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39 “亡…

道尾秀介『カラスの親指』(講談社)レビュー

カラスの親指 by rule of CROW’s thumb作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/07/23メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 67回この商品を含むブログ (96件) を見る 『片眼の猿』が疑似家族テーマの射程内に留まっているとするならば、本作は、…

小森健太朗『星野君江の事件簿』(南雲堂)レビュー

星野君江の事件簿作者: 小森健太朗出版社/メーカー: (株)南雲堂発売日: 2008/06/24メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル36 冗談だか…

松尾匡『「はだかの王様」の経済学』(東洋経済新報社)レビュー

「はだかの王様」の経済学作者: 松尾匡出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2008/06/06メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 136回この商品を含むブログ (37件) を見る マル経のキモ、「疎外」論集中講義。この世における深刻な社会問題は、「疎外」論で…

柄刀一『黄昏たゆたい美術館』(実業之日本社)レビュー

本日のエピグラフ 「自然に対して手を加えるというのは、そういうことです。光の色が失われる。(…)」(「黄昏たゆたい美術館」P411より) 黄昏たゆたい美術館作者: 柄刀一出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2008/07/18メディア: ハードカバー購入: 2人…

近藤文恵『ヴァン・ショーをあなたに』(東京創元社)レビュー

[rakuten:book:12928365:detail] ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス6 アレゴリカル8 インプレッション9 トータル39 いやはや、上手いのなんのって。小説としてタイトながら、日常の哀歓を心憎い手つきでまとめてみせる。とりわけ、語り手を変え…

大崎梢『平台がおまちかね』(東京創元社)レビュー

[rakuten:book:12928367:detail] 出版社の営業マンの奮闘ぶりを描きたかった、というのは、よくわかる。小説はうまい。ミステリとしては薄味なのも、ご愛敬。問題は、予定調和が自己完結的な雰囲気を醸し出しているところにあるのだろうと思う。

深谷忠記『悲劇もしくは喜劇』(実業之日本社)レビュー

悲劇もしくは喜劇作者: 深谷忠記出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2008/07/18メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (5件) を見る 近年の作者の作風は、サスペンスフルな本格という体だったけれども、本作は純粋なサスペンスとして、ツイストの利…

鳥飼否宇『爆発的――七つの箱の死』(双葉社)レビュー

爆発的 七つの箱の死作者: 鳥飼否宇出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/06/17メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (12件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39 探偵小説論…

蒼井上鷹『ホームズのいない町』(双葉ノベルズ)

ホームズのいない町―13のまだらな推理 (FUTABA NOVELS)作者: 蒼井上鷹出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/03/19メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (21件) を見る 因果はめぐるよどこまでも。短編連作における数珠のつなぎかたそのものをパ…

探偵小説研究会・編著『ニアミステリのすすめ』(原書房)レビュー

ニアミステリのすすめ―新世紀の多角的読書ナビゲーション作者: 探偵小説研究会出版社/メーカー: 原書房発売日: 2008/06/25メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (16件) を見る これとはまた別に、『CRITICA』は出るんですね。…………前…

倉野憲比古『スノウブラインド』(文藝春秋)レビュー

[rakuten:book:12982572:detail] そりゃもちろん、作者のスタンスには、ひっじょーに共感を覚えるわけですよ。これって、現在の御手洗潔の立ち位置の問題にもつながってくるわけだし。だから、本作はクリティカルなメタミステリなのだけれども、まさか文春か…

本格ミステリ作家クラブ・編『本格ミステリ08』(講談社ノベルズ)レビュー

本格ミステリ08 二〇〇八年本格短編ベスト・セレクション (講談社ノベルス ホ A-08)作者: 本格ミステリ作家クラブ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/06/06メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (16件) を見る いくぜ。「はだしの親父」日…