2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

京極夏彦『書楼弔堂 破暁』(集英社)レビュー

書楼弔堂 破暁作者: 京極夏彦出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/11/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (27件) を見る 作者の持ち味は、衒学性とそれを喚起させる小説の表象性の妙であるけれども、今回はそれが、虚実のあわいというか、威厳と諧謔の…

薬丸岳『その鏡は嘘をつく』(講談社)レビュー

その鏡は嘘をつく作者: 薬丸岳出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/12/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 作者の前作は、メロドラマに流れすぎて、物語のアナクロさが強調されていて、残念だったが、本作はシリーズ主人公のものというこ…

河合莞爾『デビル・イン・ヘブン』(祥伝社)レビュー

デビル・イン・ヘブン作者: 河合莞爾出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/12/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 面白い、のだけれども、何かお勉強させられた気分。作風、といってしまっていいものかどうか。どうも、ディテールというよ…

森晶麿『名無しの蝶は、まだ酔わない  戸山大学〈スイ研〉の謎と酔理』(KADOKAWA)レビュー

名無しの蝶は、まだ酔わない 戸山大学〈スイ研〉の謎と酔理 (単行本)作者: 森晶麿出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2013/12/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見る 正直、作者の作風にはついていけないかなあ、と思っていたところ…

坪内祐三『昭和の子供だ君たちも』(新潮社)レビュー

昭和の子供だ君たちも作者: 坪内祐三出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/01/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る 著者にしては、意気軒昂な「世代論」宣言である。終戦(敗戦)や日共の路線転換など、時代を画する象徴的な“出来事”をいか…

2014年1月版

年の始めは、モートンのたおやかな小説世界に浸れて、満足でした。ライフ・ヒストリーの構築性に目を奪われていたら……という心憎さが花マル。ハンターのは、話題作という期待値は満足させてくれる。スワリー・サーガの読者以外には訴求するかしらん。ロマン…

蹉跌のアベノミクス

予想通り、アベノミクスは、アベコベの状況になってきたようだ。いまもなお、リフレ政策を信奉している者は、露骨にバブル経済を待望するようになっている。さもしさここに極まれりだが、バブルアゲインの遠吠えに、さらに冷や水を浴びせるために、昨年出た…

遠藤武文『原罪』(祥伝社)レビュー

原罪作者: 遠藤武文出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2013/12/11メディア: 単行本この商品を含むブログを見る どうも気になる作家の新作だけれども、率直にいって、小説が上手くいっているとは思われない。作者の目論んだ境地に到達するには、小説の構築性が…

笹本稜平『尾根を渡る風 駐在刑事』(講談社)レビュー

尾根を渡る風 駐在刑事作者: 笹本稜平出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/11/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る いやあ、気持ちのいい、いい心地のする小説を読ませていただきました。作者の警察小説の新作といった程度のつもりでいた…

皆川博子『アルモニカ・ディアボリカ』(早川書房)レビュー

アルモニカ・ディアボリカ (ミステリ・ワールド)作者: 皆川博子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2013/12/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る いやはや、まだまだ御大の膂力は衰えず。歴史ミステリーでありながら、“歴史”を表象する諸装…