2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

大沢在昌『雨の狩人』(幻冬舎)レビュー

雨の狩人作者: 大沢在昌出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2014/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る まだ書く、こういうのを書く、まだまだ作者の力は衰えていない、枯れていない。作者の、現在に偏在する暴力という事象を剔出するその執…

柳広司『ナイト&シャドウ』(講談社)レビュー

ナイト&シャドウ作者: 柳広司出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/07/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る あまりに推薦文を多く載っけると、却って鼻白まれるのではないかしらん。小説の間口が広い作者の新作は、SPを主人公にしたサス…

真保裕一『アンダーカバー 秘密調査』(小学館)レビュー

アンダーカバー 秘密調査作者: 真保裕一出版社/メーカー: 小学館発売日: 2014/06/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 緻密なプロットを組む作者への期待値は満足させてくれる。サスペンスは、予断を許さぬ展開から醸し出されるのが作風だ…

大倉崇裕『蜂に魅かれた容疑者 警視庁総務部動植物管理係』(講談社)レビュー

蜂に魅かれた容疑者 警視庁総務部動植物管理係作者: 大倉崇裕出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/07/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (6件) を見る 前作から四年ぶりの新作は長編で、現実事件のパロディ的設定も、ファース要素を…

2014年7月版

やっぱりこいつを一等賞に挙げなきゃアカンのだろうなあ。『駄作』っていうのは、小説の創作講座で一番始めに読ませて、生半可な作家志望者を挫折させるために書かれた、というのであれば、ひどく納得するけれども。『セバスチャン』は、シナリオライターの…

石持浅海『御子を抱く』(河出書房新社)レビュー

御子を抱く作者: 石持浅海出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2014/07/14メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見る 前著『二歩前を歩く』を読んで、作者はこっちの方向性にいきたいのかなあ、と思ったりしたのだった。ただ、本作にしてもそうだ…

樋口有介『金魚鉢の夏』(新潮社)レビュー

金魚鉢の夏作者: 樋口有介出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/06/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る なんともユーウツでちょいダウナーな気分にさせられる、作者の描いた近未来日本。小説の上手いひとが、日本社会の袋小路を書かざるを…

大沢在昌『ライアー』(新潮社)レビュー

ライアー作者: 大沢在昌出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/04/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 最近渋めの作品が続いた作者の、ノンストップ・スリラー。いやでも、女性主人公で相変わらずエッジの利いたのを書いてくれますな。何気…

長沢樹『リップステイン』(双葉社)レビュー

リップステイン作者: 長沢樹出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2014/06/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (12件) を見る 作者の追求しようとしている小説のニュアンスが、前面に出てきた感じ。ロマンティックな切り口が、現在的な悪意の跳梁を矯めて一…

岸田るり子『パリ症候群 愛と殺人のレシピ』(講談社)レビュー

パリ症候群 愛と殺人のレシピ作者: 岸田るり子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/11メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る いいですね。ギミックの構築と関係性のパトスの絡ませ方が堂に入ってます。悪意、というより、情況にか…

乾くるみ『セブン』(角川春樹事務所)レビュー

セブン作者: 乾くるみ出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2014/05/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る 作者の前著である短編集は、学園ミステリというフォーマットがありながら、どこか焦点が合っていない印象があった。本書はバラエ…