2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

安萬純一『青銅ドラゴンの密室』(南雲堂)レビュー

本日のエピグラフ 大ドラゴンとそのまわりの小ドラゴンたちが全身を光輝かせていた。雷がドラゴンたちを生き返らせ、雄叫びを上げさせたのだ。(p.30) 青銅ドラゴンの密室 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)作者: 安萬純一出版社/メーカー: 南雲堂発売…

門井慶喜『注文の多い美術館 美術探偵・神永美有 』(文藝春秋)レビュー

注文の多い美術館 美術探偵・神永美有作者: 門井慶喜出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/11/26メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る シリーズ新作。対象物がホンモノかニセモノか、という真贋判定モノのフォーマットから、いかに巧みに逃…

北山猛邦『オルゴーリェンヌ』(東京創元社)レビュー

オルゴーリェンヌ (ミステリ・フロンティア)作者: 北山猛邦出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2014/11/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 前作より七年ぶりの続編だが、率直な感想としては、“世界”の空間性に思ったほど奥行がないので…

細見和之『フランクフルト学派 -ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ 』 (中公新書) レビュー

フランクフルト学派 -ホルクハイマー、アドルノから21世紀の「批判理論」へ (中公新書)作者: 細見和之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/10/24メディア: 新書この商品を含むブログ (22件) を見る 思ってみれば、「フランクフルト学派」の入門書って…

麻耶雄嵩『化石少女』(徳間書店)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)俺は探偵の手伝いをすると云ったんです。犯人から推理を逆算するなんて、もはや探偵ではありません。(…)」(「第五章 幽霊クラブ」p.281) 化石少女 (文芸書)作者: 麻耶雄嵩出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2014/11/12メディア: 単行…

2014年下半期本格ミステリベスト5

2014年下半期(2014年5月〜10月)は、連城三紀彦の遺作長編二本で、なんとか引き締まった感じ。本格ミステリが、ラノベ的なるものとケーサツ小説的スノビズムに引き裂かれている状況があり、さらに、コストパフォーマンスと訴求性を狙った文庫初刊物の増加…

2014年12月版

クルーガーのは、いやはやじっくり読ませて飽かせない。基本的にアメリカの原罪と対峙するような小説には、弱いんですよ。そこのところは、説得力がすごくあって実に満足しました。ル・カレの新作は、アクチュアルな主題を捌く手際を味わいたい。にしても、…

連城三紀彦『処刑までの十章』 (光文社)レビュー

処刑までの十章作者: 連城三紀彦出版社/メーカー: 光文社発売日: 2014/10/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 遺作長編。飽くなき逆転劇の追求は、“他者”なるもののドラマティックな演出、つまりこの逃れ行くことを本質とする位格に、どう…

連城三紀彦『女王』 (講談社)レビュー

女王作者: 連城三紀彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/10/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 作者の、90年代後半に雑誌連載された作品で、埋もれていた、というより、作者自身が納得せず未だ埋めていた、というのが実相だろう。完成…

第1位 葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)作者: 歌野晶午出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/05/01メディア: 文庫購入: 40人 クリック: 204回この商品を含むブログ (369件) を見る 第2位 厭魅の如き憑くもの (講談社文庫)作者: 三津田信三出版社…

早野龍五 糸井重里『知ろうとすること。 』 (新潮文庫)レビュー

知ろうとすること。 (新潮文庫)作者: 早野龍五,糸井重里出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/09/27メディア: 文庫この商品を含むブログ (32件) を見る ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。「より脅かし…