2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

山下貴光『屋上ミサイル』(宝島社) レビュー

屋上ミサイル (このミス大賞受賞作)作者: 山下貴光出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2009/01/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (61件) を見る 某作家のエピゴーネンというよりかは、エンタメ小説の現在の位相を、(意識的にか…

柚月裕子『臨床真理』(宝島社)レビュー

臨床真理 (このミス大賞受賞作)作者: 柚月裕子出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2009/01/24メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (46件) を見る リーダビリティは抜群。物語に膨らみが欠けるのが難。ただ、小説を書くセンスは十二分…

三崎亜記『廃墟建築士』(集英社)レビュー

廃墟建築士作者: 三崎亜記出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/01/26メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 32回この商品を含むブログ (76件) を見る アレゴリーの自家中毒になってきた感がややあり。「七階闘争」は典型でしょう。「図書館」「蔵守」は作者…

道尾秀介『鬼の跫音』(角川書店)レビュー

本日のエピグラフ 遠くから鬼の跫音が聞こえる。/私が聞きたくないことを囁いている。(「冬の鬼」P155より) 鬼の跫音作者: 道尾秀介出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2009/01/31メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 30回この商品を…

坂木司『短劇』(光文社)レビュー

短劇作者: 坂木司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/12/17メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (27件) を見る 素っ気ないタイトルのショートショート集だけれども、二十六編の収録作のほとんどがアタリという快著。本書をもって作者が“奇…

恩田陸『ブラザー・サン シスター・ムーン』(河出書房新社)レビュー

ブラザー・サン シスター・ムーン作者: 恩田陸出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2009/01/23メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (64件) を見る 作者の人となりをしっているひとには、私小説的要素のつよい青春小説として読まれるのは…

黒川博行『煙霞』(文藝春秋)レビュー

煙霞作者: 黒川博行出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る コンゲーム小説の醍醐味を満喫させてくれるけれども、なによりも文章の息遣いが相変わらずいい。学園の内紛が土地コ…

奥泉光『神器―軍艦「橿原」殺人事件― 上・下』(新潮社)レビュー

神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件作者: 奥泉光出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/01/01メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (64件) を見る神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件作者: 奥泉光出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/01/01メディ…

宮台真司『「世界」はそもそもデタラメである』 (メディアファクトリー)レビュー

「世界」はそもそもデタラメである (ダヴィンチブックス)作者: 宮台真司出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2008/11メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 48回この商品を含むブログ (20件) を見る 後期近代における表象のアレゴリカーを自認する…

佐藤健志『夢見られた近代』(NTT出版)レビュー

夢見られた近代作者: 佐藤健志出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2008/12/19メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 「戦後民主主義」者の大塚英志がサブカル批評なら、「本格保守」の著者が構築するのは、ポップ・カルチ…

鏑木蓮『エクステンド』 (講談社)レビュー

エクステンド作者: 鏑木蓮出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/12/20メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (3件) を見る 核心のアイデアに、社会派的要素を盛ったもの。最後までサスペンスは持続するけれども、プロットがやや直線的か。

佐々木譲『警官の紋章』(角川春樹事務所)レビュー

警官の紋章作者: 佐々木譲出版社/メーカー: 角川春樹事務所発売日: 2008/12/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (20件) を見る 道警シリーズ第三弾は、洞爺湖サミット警備を背景に、拳銃を持って失踪した警官の追跡と、警察官僚…

湊かなえ『少女』(早川書房)レビュー

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/01/23メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 176回この商品を含むブログ (160件) を見る アンチ・カタルシスによる訓話的寓話、というのを作風にしちゃうのかなあ。ワ…

諏訪哲二『学力とは何か』(洋泉社新書y)

学力とは何か (新書y)作者: 諏訪哲二出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2008/12/06メディア: 新書購入: 3人 クリック: 13回この商品を含むブログ (9件) を見る ポレミカルな筆致は相変わらず、学校=教育政策に関するあらゆる偽善を批判するスタンスは、まった…

津原泰水『たまさか人形堂物語』(文藝春秋)レビュー

たまさか人形堂物語作者: 津原泰水出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (39件) を見る さまざまな人形をめぐる綺譚を集めた。ミステリーから奇妙な味ものまで、アプローチは多様だけれど…

太田忠司『まいなす』(理論社)レビュー

まいなす (ミステリーYA!)作者: 太田忠司出版社/メーカー: 理論社発売日: 2008/11メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (14件) を見る このレーベルで最もカタルシスを覚えるもののひとつとして挙げられるだろう。ヒロインの少女の造形も違和…

折鶴の幻影

宇山日出臣さんが急逝されたときには、追悼しそこなった。今回は、その轍を踏む愚を避けるため、あまり深いことを考えず、哀悼の意を表させていただきたく思います。 泡坂妻夫さん、お疲れ様でした。 『幻影城』復活版に掲載されたものが、最後のものになる…

西尾維新『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』(講談社ノベルス)レビュー

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス) [ 西尾維新 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 文庫・新書 > 新書 > その他ショップ: 楽天ブックス価格: 864円 だははは。これって、揶揄されているのは、“本格”をめぐる批評的(自)意識なん…

初野晴『1/2の騎士』(講談社ノベルズ)レビュー

本日のエピグラフ 「(…)これからあなたたちが社会に出て不用意に傷つかないうちに、ここにはそれを教えてあげられる環境がある。(…)」(P14より) 1/2の騎士 harujion (講談社ノベルス)作者: 初野晴出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/10/07メディア: 新…