2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

倉阪鬼一郎『ダークネス』(早川書房)レビュー

ダークネス (ハヤカワ・ミステリワールド)作者: 倉阪鬼一郎出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る ミステリアス8 アクロバット7 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル38 これ…

永井するみ『ダブル』(双葉社)レビュー

ダブル作者: 永井するみ出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2006/09メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (12件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス8 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル36 サイコ・スリラー。アプロ…

永井するみ『さくら草』(東京創元社)レビュー

さくら草 (創元クライム・クラブ)作者: 永井するみ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/05/27メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (13件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル6 インプレッション7 トー…

西澤保彦『春の魔法のおすそわけ』(中央公論新社)レビュー

春の魔法のおすそわけ作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2006/10メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (28件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス6 アレゴリカル7 インプレッション8 トータル35 “運命”…

大沢在昌『狼花 新宿鮫Ⅸ』(光文社)レビュー

狼花 新宿鮫IX (新宿鮫 (9))作者: 大沢在昌出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/09/21メディア: 単行本 クリック: 52回この商品を含むブログ (74件) を見る 『風化水脈』あたりから、都市論ミステリの構図をも視野に収めはじめてきたけれども、作者の選択は…

京極夏彦『邪魅の雫』(講談社ノベルズ)レビュー

邪魅の雫 (講談社ノベルス)作者: 京極夏彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/09/27メディア: 新書購入: 3人 クリック: 51回この商品を含むブログ (619件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス8 アレゴリカル8 インプレッション7 トータル…

北國浩二『夏の魔法』(東京創元社)レビュー

夏の魔法 (ミステリ・フロンティア)作者: 北國浩二出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/10/24メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (36件) を見る たおやかな小説作りに一定の成果を収めている。が、ここはサ…

荻原浩『四度目の氷河期』(新潮社)レビュー

四度目の氷河期作者: 荻原浩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/09/28メディア: 単行本 クリック: 29回この商品を含むブログ (40件) を見る いや巧い上手いひたすら小説作りの巧みさを堪能。貴種流離譚妄想の滑稽さを、第二次性徴発現後の自意識の置き所の…

恒川光太郎『雷の季節の終わりに』(角川書店)レビュー

雷の季節の終わりに作者: 恒川光太郎出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 48回この商品を含むブログ (77件) を見る 日ホラ賞デビューでいきなり直木賞が射程に入ってしまった作者の受賞第一作。うん、こんなスタン…

G・K・チェスタトン『マンアライヴ』(論創社)レビュー

本日のエピグラフ 「(前略)ちくしょう。自分がいた場所に戻りたいというのは、人間誰しも思っていることじゃないか! それが革命だ! 一周しろ! 革命という革命は、後悔にも似て、回帰することなんだ」(P202より) マンアライヴ (論創海外ミステリ)作者:…

石持浅海『顔のない敵』(光文社カッパ・ノベルス)レビュー

顔のない敵 (カッパ・ノベルス)作者: 石持浅海出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/08/22メディア: 新書 クリック: 6回この商品を含むブログ (85件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション8 トータル39 石…

内橋克人『悪夢のサイクル』(文藝春秋)レビュー

悪夢のサイクル―ネオリベラリズム循環作者: 内橋克人出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/10メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 25回この商品を含むブログ (17件) を見る “保守”と“教養”をブリッジさせたい文春としては、やっぱり立花隆や内橋克人とは…

松尾由美『安楽椅子探偵アーチー オランダ水牛の謎』(東京創元社)レビュー

(創元クライム・クラブ)" title="オランダ水牛の謎 (創元クライム・クラブ)">オランダ水牛の謎 (創元クライム・クラブ)作者: 松尾由美出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/10/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (21件) を見る ミ…

「予言」する探偵小説4-Ⅶ

今回の文章も東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています 「アンチ・フェミニスト」を自称する内田樹の、“フェミニズム批評”批評ともいうべき『女は何を欲望するか?』のなかで、ショシャナ・フェルマン『女が読むとき 女が書くとき』が、それが示した…

鯨統一郎『親鸞の不在証明』(祥伝社ノン・ノベル)レビュー

親鸞の不在証明 (ノン・ノベル)作者: 鯨統一郎出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2006/09/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 3回この商品を含むブログ (18件) を見る ミステリアス8 アクロバット8 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション7 トータ…

門井慶喜『天才たちの値段』(文藝春秋)レビュー

本日のエピグラフ 究極のところ科学鑑定には、絶対ににせものだという結論は出せても、絶対にほんものだという結論は出せないんです。(「論点はフェルメール」P229より) 天才たちの値段作者: 門井慶喜出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/09メディア:…

「予言」する探偵小説4-Ⅵ

今回の文章も東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています 笠井潔が指摘するように、たる石神の“像”は、あたかも多重人格の様相を呈するように、分裂している。先に、個々の批評戦略の故だと記したが、しかし石神の“像”がナラティヴな地平で、どこか把捉…

巽昌章『論理の蜘蛛の巣の中で』(講談社)レビュー

論理の蜘蛛の巣の中で作者: 巽昌章出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/10/13メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (24件) を見る “蜘蛛の巣”というのは、バルトの『テクストの快楽』の中で、(という)が解体する場面で出てくる比喩。「自分…

島田荘司『光る鶴』(光文社文庫)レビュー

光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)作者: 島田荘司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る ミステリアス6 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル7 インプレッション7 トータル34 「吉敷竹…

朱川湊人『水銀虫』(集英社)レビュー

水銀虫作者: 朱川湊人出版社/メーカー: 集英社発売日: 2006/09/26メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (30件) を見る 因果応報譚をベースに、ソツなく怪異を紡いでいく。たとえば、福澤徹三などの現在のホラー作家と比べると、予定調和っぽ…

「予言」する探偵小説4-Ⅴ

今回の文章も東野圭吾『容疑者Xの献身』の内容に触れています とは、に対する“差異”である。私たちは、本来は、の「“選択”の痕跡をのみ把捉することができるだけ」である。しかし、の目の前には、具象的な「他者」がいる。そうすると、本来のは、直面してい…

藤岡真『白菊』(創元推理文庫)レビュー

本日のエピグラフ (前略)むろんそうした事実を知りながら、自分との共犯関係を楽しんでいる。(中略)いや、思いたかった。(P40より) 白菊 (創元推理文庫)作者: 藤岡真出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/03メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含…

坂木司『シンデレラ・ティース』(光文社)レビュー

シンデレラ・ティース作者: 坂木司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2006/09/21メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 19回この商品を含むブログ (51件) を見る ミステリアス7 アクロバット7 サスペンス7 アレゴリカル8 インプレッション7 トータ…

天城一(日下三蔵・編)『天城一傑作集3 宿命は待つことができる』(日本評論社)レビュー

本日のエピグラフ 御一新でサムライがロクを召し上げられて俄か商人になったと同じで、マッカーサー維新で俺が追放だ。(中略)因果応報というのかな(「宿命は待つことができる」P148より) 宿命は待つことができる (天城一傑作集 (3))作者: 天城一,日下三…