辻村深月『鍵のない夢を見る』(文藝春秋)レビュー

鍵のない夢を見る

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 まあ、別に作者が「直木賞作家」という肩書きでやっていくとは、露ほども思ってないから、文春の編集者を満足させるという意味では、納得する短編集。最後の話は育児ノイローゼを扱うにしても、ストレートすぎて、だったらノンフィクションのほうがいい、ということになる。放火の話と、相田みつおのエピグラフがある話が、いい味を出している。