田口ランディ『逆さに吊るされた男』(河出書房新社)レビュー

逆さに吊るされた男

逆さに吊るされた男



 この作者がオウム真理教事件にアプローチするとは、似つかわしいのか却ってちぐはぐな感じがするのか。読了して、オウム真理教的な社会現象もしくは時代精神と、あと一歩のところですれ違った、という印象。スピリチュアリティの領域でなんらかの格闘をしたかったという感じを受けるが、主体の解体のされ方に焦点があっているのは、たぶん正解に近いんだろう。