古野まほろ『天帝のはしたなき果実』(講談社ノベルズ)レビュー

天帝のはしたなき果実 (講談社ノベルス)

天帝のはしたなき果実 (講談社ノベルス)


 
ミステリアス8 
クロバット9 
サスペンス7 
アレゴリカル7 
インプレッション8 
トータル39  


 おもしろーい。<本格>的興味からみれば、セカイな学園小説でベタな多重解決趣向をやるのは芸がないので、ペダンティックというよりはインターテクスチュアルというべき大伽藍を構築して、“前記号態”的エレメントをふんだんにばら撒いて、“セカイ”をカーニヴァル化したってわけ。いよっ、チベットワーグナー! なんて。にしても、“セカイ”系とダーウィニズムの関係性っていうのは、興味深い主題だわな。

平石貴樹『スノーバウンド@札幌連続殺人』(南雲堂)レビュー

スノーバウンド@札幌連続殺人

スノーバウンド@札幌連続殺人


 
ミステリアス8 
クロバット9 
サスペンス6 
アレゴリカル7 
インプレッション7 
トータル37  


 面白い、んだけれども…………あれれ。テクスト操作を露骨に暗示させる構成はネタ振りとしてOKだし、小ワザは連発してて、そこらへんは好感触なんだけれども…………やっぱり、動機が引っ張っちゃうんだよね。重い。こんなときこその<名探偵>なんだけれども、作者はそこのところに挑戦しているわけで…………面白い、んだけれどもなあ。ホントに。