2006年上半期本格ミステリベスト5

 はじめまして。「鳩時計」子です。
 ついこの間まで、他所のところで、同タイトルでブログっておったんですが、改めて仕切り直しということで、ここ、はてなダイアリーにて始めさせていただくことになりました。何卒よろしゅうお願いします。ちなみに、ミステリ書評サイト『政宗九の視点』にて行われた「インターネットで選ぶ本格ミステリ大賞2006」の投票に参加させていただいております。偉そうなこといってすみませんです。
 さて、ご挨拶代わりに、今年上半期(といってもベストテン年度である2005年11月〜2006年4月)の私的ベスト5をば開陳したく思います。とはいっても、読み残しが多々あって……特に、北森鴻の3冊がまだ……。

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

ホラーとミステリーの妙なる融合の謳い文句に偽りなし。特に、ホラー小説部分の筆致の臨場感がたまらない。それどころか、その部分がミスディレクションになっているのが、素晴らしい。
七姫幻想

七姫幻想

「織姫」という<巫女>をフィーチャーした歴史ミステリ連作。神話的ミステリアスさと情念のパトスが、禁忌を媒介に交錯する。折口信夫よりも、吉本隆明共同幻想論』特に「巫女論」を参照せよ。
イノチガケ 安吾探偵控 (創元クライム・クラブ)

イノチガケ 安吾探偵控 (創元クライム・クラブ)

坂口安吾連作の第二作目だが、これは野崎六助版『虚無への供物』。探偵小説とは、<廃墟>の文学であることを、まざまざと見せ付ける。アーバンミステリ連作。“ジャズミステリ”に託して、<本格>であるということと日本型(的)スノビズムの因果を問うている、一種の芸術小説でもある。御大山田正紀、いまだ枯れず。探偵小説でしか語れない“稗史”。

チョコレートコスモス

チョコレートコスモス

これは番外。佐々木飛鳥嬢はベストヒロインですね。今年、ということにかぎらず、ここ数年のうちで。