米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』(創元推理文庫)レビュー

本日のエピグラフ

甘い甘い思い出が際限なく込み上げてきて、胸が焼けて、それでぼくはパフェだけは食べられない。(P235より)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

<ミステリアス>=8<アクロバット>=8<サスペンス>=8<アレゴリカル>=8<インプレッション>=9
トータル=41
 <名探偵>であることをトラウマに持つ我らが“小市民”小鳩くんの事件簿二集目。思わず笑いを噛み殺す「シャルロットだけはぼくのもの」から、物語は物騒な方向へ転がっていく。そして「スイート・メモリー」、ちょっと切ない結末へ。探偵小説でしか描けないボーイ・ミーツ・ガールストーリー、というセンで纏まるのは、ちょっと物足りないかも。続編が楽しみ。